2025年02月02日

庶民の味方~Chuden MG-3605

一昨日の記事で、ボクが日常的に使っているカートリッジは、庶民の味方みたいな安くて丈夫なものだと書いたのだが、そういえば、まだ紹介していなかった。

庶民の味方のカートリッジは、Chuden MG-3605である。

紹介が遅れたのは、最初は気に入らず、そのままカートリッジ収納箱で眠りについてしまったからだ。

気に入らなかった理由は、確かに圧倒的なパンチ力はあるものの、なんだか少し歪みっぽく感じてしまった点にある。
もしかしたら初期不良かもと思いつつ、歪みっぽいというのは、はっきりと歪んでいるというのとは違うので、不良品とは言えないかなーと放置してしまった。

ところが最近、なんとなく引っ張り出してあれこれ試してみたら、歪みっぽく感じるのは針圧を重めにかけたときだけだと気づいた。
このカートリッジの適正針圧は2.5g~3.5gなのだが、ボクの耳には3.5gかけると歪みっぽく感じてしまう。
しかし、3.0gならまったく歪みっぽさを感じない。

歪みっぽさから解放されれば、9.5mVという出力が生み出す圧倒的なパンチ力は、ロックやジャズの再生にとってきわめて魅力的である。
ってことで、いまは日常的に使っている。

今日はちょうど、山下達郎さんがオーディオ・チェックのリファレンス・レコードに使っているというアース・ウィンド&ファイアー(Earth, Wind & Fire)"I Am"のUSオリジナル(Columbia ARC FC 35730)(このレコードのことは、https://sawyer2015.seesaa.net/article/2023-01-22.html をどうぞ。)を引っ張り出したので、Chuden MG-3605の音をチェックしてみることにした。

2年前は、どこをどう聴けばいいのかわからなかった(https://sawyer2015.seesaa.net/article/2023-04-10.html)が、ちょっと調べてみると、達郎さんは、1曲目の"In the Stone"でチェックしているようだ。
(サンデーソングブックを書き起こしているすごいブログ(https://yamashitatatsuro.com/)があって、2020年05月10日放送分の書き起こしに、そんな記述があった。)

ボクも、"In the Stone"でチェックである。


20250202-02.jpg


達郎さん的にどこをどう聴くのが正解なのかはわからないのだが、ボク的には、左右の広がり、前後の奥行き、個々の楽器の分離、音色のリアリティ、ボーカルの明快さ、低域のキレ、高域の伸びなどが、満足のいくものになっているかをチェックした。

圧倒的なパンチ力でグイグイ迫ってくるカートリッジなので、繊細さというものはない。
その意味では音色のリアリティは一歩後退するし、その他の要素もパワフルさと両立する限りにおいて認められるようなものではあるが、全体的には非常に満足のいく音である。

音色の点では、リード線を付属の細いものから、WE単線を使った太いものに交換していることも大きい。
リアリティという点では限界があるものの、その艶と深みは、なかなかのものだ。


20250202-03.jpg


"In the Stone"を聴いていてとりわけゾクゾクするのは、コーダ?部分で一気に広がる音空間である。
もしかして、ここでゾクゾクできるかが、一番のチェックポイントなのか?(笑)

それはさておき、このカートリッジ、もう一つ大きな魅力がある。

モノラルの交換針CN-36MN1に差し替えるだけで、モノラル・カートリッジになるのだ。


20250202-04.jpg


設定はそのまんまで大丈夫である。
針圧は、3.5gまで上げたのほうが好結果に感じられたけど。

この圧倒的なパンチ力でガツンとくるモノラル再生は、なかなか魅力的だと思うよ。
posted by 想也 at 22:52| Comment(2) | オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月31日

でかいっ!

先日、ちょっと確かめたいことがあって、ヤフオクで一枚のレコードを落札した。

そのアルバムを聴くためのオリジナル盤レコードはすでに所有しているので、あくまで確かめるための入手であって、聴くための入手ではない。

だから、「プレスミスあり」で格安で出品されているのは、むしろありがたかった。

つまり、この記事はクレームではない(笑)


いや、でも、それにしても、でかいっ!


20250131-01.jpg


直径2mmを超えてるじゃないか。

しかも、これ、反対の面の同じところにも同じ突起がある。

どうやら、プレスの際に直径2mmほどの異物が混入し、上下のスタンパーを同じように2mmほど凹ませてしまったのだが、それに気づかず、その凹んだスタンパーでプレスしたために生じたもののようだ。

このパターンは初体験だなぁ。

「こりゃ音飛びするかな?」と恐る恐る再生してみたのだが、こうした突起特有のボンという周期ノイズが入りはするものの、音飛びはしないで再生できたのであった。

ある意味、レコードって凄いな(笑)

でも、針先やカンチレバーに負担はかかるだろうから、高いカートリッジで再生したくはないやね。

ボクが日常的に使ってるカートリッジは、庶民の味方みたいな安くて丈夫なものだから、いいんだけどさ。
posted by 想也 at 21:45| Comment(0) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月30日

Phil Collins, Face Valueのこと

<UK盤のカッティングの変遷について、うまく整理できたので、追記しました。>(2025年1月31日追記)

今日1月30日は、フィル・コリンズ(Phil Collins)の誕生日だということで、彼のファースト・ソロ・アルバム"Face Value"を引っ張り出してみた。

持っていたのは帯付き日本盤(ワーナー・パイオニア Atlantic P-10984A)とUS盤(Atlantic SD 16029)だった。
UK盤は持ってなかったかー
ちょっと残念。

っていうか、このレコード、あんまり聴いた記憶がない。
それこそ、一応持っておこうと買っただけで、棚の肥やしにしてしまっていたらしい。
ごめん、フィル・・・
今日は誕生日だし、ちゃんと聴くよー

日本盤は国内カッティングだったので、US盤の方をターンテーブルに載せた。


20250130-01.jpg


ヒットしただけあって、良いアルバムである。
これからは、もっとちゃんと聴こう。

うちのUS盤は、マト末尾が両面ともKで、@tGPというサインがあるので、アトランティック・スタジオのジョージ・ピロス(George Piros)のカッティングである。
「マトは進んでるけど、US初回盤でいいのかな?」とジャケットを眺めていたら、内ジャケ右側の下部に"Mastered at Sterling Sound N.Y."のクレジットを発見・・・

だめじゃん。
けっこう良い音だったんだけどなー

気を取り直してDiscogsの登録情報を確認したのだが、どれだけ探してもSTERLINGカッティングの盤が出てこない。
STERLINGカッティング、ボツになったのか?

登録をざっと見た限りでは、US盤は、最初はTMLカッティングで、その後ジョージ・ピロスのカッティングに変わる。
ついでにUK盤もチェックすると、やはり最初はTMLカッティングだが、その後TOWNHOUSEカッティングとなり、さらにEMIカッティングに変わるようだ。

キタカツさんにいただいたコメントに返信していて気づいたのだが、1982年にリリースされたセカンド・ソロの"Hello, I Must Be Going!"の初回がTOWNHOUSEカッティングのCBSプレス、1985年にリリースされたサード・ソロの"No Jacket Required"はカッティングはMASTERDISK RLだがEMIプレスである。

ってことは、”Face Value”UK盤のカッティングの変遷は、初回がTML、1982年の"Hello, I Must Be Going!"のリリースに合わせた追加プレスのときがTOWNHOUSE、1985年の"No Jacket Required"のリリースに合わせた追加プレスのときがEMIカッティング、ってことなんじゃないだろうか。


UK盤は、ジャケットも、テクスチャーありからテクスチャーなしに変わるらしい。
そういや、日本盤もテクスチャー・ジャケットだった。
UK盤やUS盤が見開きジャケットなのに対して、日本盤はシングル・ジャケットだけどさ。
US盤にはテクスチャー・ジャケットってないのかな?

ジャケットのことはともかく、TMLカッティングの音は聴いてみたいよね。
とりあえず、US初回盤かUK初回盤を探すとしましょうかね。
ラベル:Phil Collins
posted by 想也 at 21:00| Comment(6) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする