2016年12月18日

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート2)

<The Police, SynchronicityのUSオリジナルについては、現在でも探究を続行しており、後に誤りが明らかになったものについては、打消し線で対応しています。正しい情報については、新しい記事をご覧ください。>

ポリス(The Police)"Synchronicity"の米オリジナルで紙ジャケ探検隊とシンクロしたということは、以前記事にしたところだが、つい最近、新たな事実が判明した(大袈裟だっちゅうの 笑)。

ボクが入手したものは「米オリジナル」ではなかったのである。
嗚呼、なんということだろう!(芝居がかってるな 笑)

なんと、このステッカー、うそつきステッカーだったのだ。
すっかり騙されてしまったよ・・・(涙)


20161218-1.jpg


このKC-600という高音質ビニール、光にかざすと青紫に透けるということだったが、特に確認はしていなかった。
そりゃ、ステッカーが残ってなければ確認しただろうけど、残ってるわけだからさ。

ところが、先日、他の半透明レコードを確認していたとき、これと違う見え方なのかを確認したくなって、こっちも光にかざしてみたのだが・・・透けないっ!
まったく透けないのである。

ボクは真っ青になった(ウソです 笑)。

ってことで、もう一枚買ってみた。


20161218-2.jpg


シュリンクがはずされていてステッカーも残っていないので、KC-600なのかは光にかざして確認する必要がある。


20161218-3.jpg


透けました(笑)
めでたしめでたし。

って、話はこれで終わりではない。
アナログ・コレクターとしては、オリジナルとレイトの違いを見極めたいわけである。

レーベルを見てみると、KC-600盤はマットな紙質なのに対して、レイト盤はツヤのある紙質だ。


20161218-4.jpg
<光にかざして青紫に透けたKC-600盤のレーベル>



20161218-5.jpg
<光にかざしてもまったく透けなかったレイト盤のレーベル>



とはいえ、こういうレーベルの違いは工場違いの可能性も高い。
KC-600盤のほうのMatrix末尾は、RCA3/RCA1。
レイト盤は以前も紹介したように、Matrix末尾はEUR4/EUR1だ。
いずれも両面にMASTERDISK刻印があり、Side1にのみRL刻印がある。

うーん、このレーベル違いは、インディアナポリスのRCA工場とニューヨークのEUROPADISKの違いかぁ・・・
と諦めかけた瞬間、レイト盤のレーベル形状が気になった。

この二段レーベル(写真だとわかりにくくてすみません)って、ロサンジェルスのモナーク工場(Monarch Record Mfg. Co.)でプレスされたレコードのレーベル形状なんじゃ?

あらためてレイト盤のRunoutをしげしげと見つめると、うすーい文字が目に入ってきた。
そう、レイト盤のほうには、メインのMatrixのほかに、うすい手書きでかなりいろいろ書いてあるのだ。

両面に確かにMR △26117と手書きされている。
やっぱりモナーク工場産じゃん!
Matrix末尾のプリフィックスがEURで、しっかりEDP刻印(楕円内にEDPのマシンスタンプ)もあるが、それでも、このレコードはモナーク工場産に間違いない。

実は、先日、米ワーナーの工場違いを調べていてわかったことがある。

70年代にはキャピトル系のプレス工場(ウインチェスター、ジャクソンヴィル、ロサンジェルス―Matrix末尾のプリフィックスはそれぞれWW、JW、LW)を利用していたワーナーは、78年にスペシャルティ(Specialty Records Corporation)を、翌79年にアライド(Allied Record Company)を買収してWEA Manufacturing Inc.を創設し(このあたりの情報はDiscogsによる)、(たぶん)1982年頃にメインのプレス工場をスペシャルティとアライドに本格的に移す。

その際、キャピトル系の工場に残っていたスタンパーを引き上げてきて、そのスタンパーを使って、(少なくとも)スペシャルティでプレスしていたようだ。
その証拠が、うちにあるヴァン・ヘイレン(Van Halen)の"Woman and Children First"である。
このレコード、Side1のMatrix末尾がWW2(ウインチェスターで使われていたスタンパー)、Side2のMatrix末尾がJW4(ジャクソンヴィルで使われていたスタンパー)で、センターホールをぐるっとまわってEASTのエンボスがある(スペシャルティでのプレスの証拠)のだ。

まぁ、これはワーナーの話なのだが、話としては、利用していた工場をもはや利用しないということになれば、そこに残っているスタンパーについては、まだ使えるものは引き上げてきて、別の工場でのプレスにまわされるということであって、どこのレーベルでも起こりうることだと思うのだ。

透けない"Synchronicity"についても、そんな風にプレスされたレイト盤だとみて間違いないと思うのである。

さて、音質についてだが、そりゃ透けるオリジナルが良いに決まっている(笑)
もっとも、ラディック・カッティングだから、レイト盤だってそれだけ聴いてりゃ幸せなレコードではある。
ただ、やっぱり、ヴィニールの材質の違いは明らかだ。
それに、やっぱり、レイト盤は少しなまっている。

問題は、今回ボクが手に入れた盤がRCA工場産だってことだ。

Discogsに山ほど出ているこのレコードのMatrix情報から推測すると、メインの工場は、EUR、RCA、ESの三工場とみて間違いなさそうだ。
東部向けがEURのEUROPADISKで、中部向けがRCAのインディアナ工場だとすると、西部向けはESのElectrosound Group Midwest, Inc.ってことでいいのかな?

Electrosound Group Midwest, Inc.って、インディアナ州シェルビービル(Shelbyville)の所在なんだけどな。
でも、西海岸の代表的なプレス工場のモナークが、85年にはElectrosound Groupの傘下に入って、Electrosound Los Angelesを名乗るようになるわけだから、西海岸に拠点があったのかな?

いずれにせよ、Matrix末尾ESの透ける盤は手に入れないといかんなぁ。

しかし、まぁ、すっかり沼にはまり込んでしまったなσ^_^;


<続きの記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート3)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート4)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート5)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート6)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート7)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート8)

<前の記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート1)
ラベル:Bob Ludwig The Police

2016年12月17日

BLUE & LONESOME

発売日から2週間、思いっきり待たされたローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の新譜"BLUE & LONESOME"のアナログ(DLコード付で16bit/44.1kHzのWAVとMP3がDLできる)がようやく届いた。

思えば、「届くのはもはやセカンド・プレスなのか?」とか、「それ以前に、未入荷でキャンセルされたらどうしよう?」とか(実際、とあるアーティストのアナログで、発売日の2か月前に予約したのに、未入荷でキャンセルされた経験あり)、不安に苛まれた2週間であった(大袈裟! 笑)。

何はともあれ、届いてよかった。


ジャケは、まぁ、ストーンズらしいといえばストーンズらしい(笑)
ただ、メンバーひとりひとりがクローズアップされたインナースリーブは、実にかっこいい。


20161217-1.jpg


スタジオライブの様子を生き生きと伝える内ジャケも実に秀逸だ。


20161217-2.jpg


ちなみに、うちに届いたのは、「最近のアナログはEU製先行」という例にもれず、フランス製だった。


20161217-3.jpg


盤もしっかりフランス製である。
見にくいかもしれないが、2段リムの下の方の終わりの方にMADE IN FRANCEとある。


20161217-4.jpg


フランス製以外に、オランダ製とかイタリア製とかドイツ製とかもあるのかな?


さて、さっきも書いたように、あまりにも遅れたんで、「セカンド・プレスが届くんじゃないか?」と不安だったのだが、幸いMatrix末尾はオール1で、なんとかファースト・プレスの仲間に入れてもらえそうだ。

プレスは最近のEU製に多いMPOだ。

マスタリングは、インナースリーブには"Ron McMaster at Capitol Studios"となっているが、少なくともEU盤については違っている。
Runoutを見ると、"Bazza Alchemy"というサインがあり、どうやら、ロンドンにあるAlchemy MasteringのBarry Grintがマスタリングを行っているようだ。

内容については、すでにいろんなところで絶賛されているし、ボクなんぞが何か言う必要もないだろう。
ただただ、激しく”生”を感じるアルバムである。
それは演奏も音もすべてひっくるめて。

ボウイの遺作で始まったこの一年、年の瀬も押し迫ったこの時期に、このアルバムが聴けたことが、ボクは単純に嬉しい。

ってことで、夕方に届いてから、すでに5回以上は聴いている。

ストーンズ、やっぱりすげーな。
ラベル:The Rolling Stones
posted by 想也 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | The Rolling Stones | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

Bill LaBounty, This Night Won't Last ForeverのUSプロモ・シングル

ちょっと前のことになるが、レコード・コレクターズで「黄金時代のAOR」という特集があった(2016年9月号)。

ボクは、AORというジャンルを特に聴き漁ったということもなく、レココレで紹介されていたアルバムも知らないもののほうが多かったのだが、それでも何枚か、かなり思い入れのあるものを見つけた。

ビル・ラバウンティ(Bill LaBounty)のアルバムもその一つだ。

と言いたいところなのだが、実は、紹介されていた1982年リリースのセルフタイトルのアルバムはレココレを読んだ時点では未聴だった(笑)

ビル・ラバウンティについては、紹介されていたアルバムではなく、紹介記事の中で言及されていた曲のほうに思い入れがあった。

「78年にバラード'This Night Won't Last Forever'がヒットして注目されたシンガーソングライター、ビル・ラバウンティ。・・・」

ボクは78年のヒットのときに彼を知ったわけではなく、90年に放送された中山美穂主演のドラマ「すてきな片想い」の挿入曲として知ったのだが、速攻で同タイトルのアルバムを手に入れ、当時ほんとうによく聴いた。

その頃いろいろあって、どうしようもなく落ち込む夜も多かったのだが、この曲に救われていたような気がする。

ってことで、レココレのAOR特集以来、ビル・ラバウンティのレコードを集めている。


そして、一昨日だったか、"This Night Won't Last Forever"のUSプロモ・シングルが届いた。

落札後20日くらい経っていて時間かかりすぎである。
セラーは翌日か翌々日くらいには発送したって言ってきてたから、どこで止まっていたのやら・・・

考えられるとしたら、この梱包が、あらぬ疑いを招いたか?(笑)


20161211-1.jpg


これにダンボール7枚に挟まれてシングル盤1枚が送られてきた。
シングル盤一枚を送るにはでかすぎである(大きさはシングル盤の大きさなので、問題は厚さ)。
何か別のいけないものが入っていると疑われたか?(笑)

それはそれとして、このFragileとAIR MAILの色とスタンプの仕方が、なんだかちょっとオシャレである。
ダンボールなんて速攻で捨てちゃうのだが、なんだかとっておきたい気持ちになっている。

って、そんなことはどうでもいいか。
肝心の中身はこちら。


20161211-2.jpg


早速聴いてみたのだが、モノラルに聴こえる。
”COMPATIBLE STEREO"って何さ?

このレコード、This Night Won't Last Foreverのショートバージョンとロングバージョンがおさめられているのだが、両面とも"COMPATIBLE STEREO"と表記されている。
でも、聴いてみるとモノラルに聴こえる。

同じく1978年だが、レコード番号的に少し若いヴァン・ヘイレン(Van Halen)の"You Really Got Me"のプロモ・シングルを見てみると、ちゃんと"MONO"と表記されている(ちなみに、裏面は”STEREO"バージョン)。


20161211-3.jpg


翌1979年のレーベル・デザインが変更された後の、リッキー・リー・ジョーンズ(Rickie Lee Jones)の”Chuck E.'s in Love"のプロモ・シングルだって、ちゃんと"MONO"表記である(ちなみに、これも裏面は"STEREO"バージョン)。


20161211-4.jpg


モノラルなら"MONO"って表記されるんだとすると、"COMPATIBLE STEREO"ってのはモノラルじゃないのか?
でも、どう聴いてもモノラルなんだよなぁ・・・

どなたか"COMPATIBLE STEREO"の正体、知りませんか?
ラベル:Bill LaBounty
posted by 想也 at 22:52| Comment(4) | TrackBack(0) | Bill LaBounty | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする