2017年05月28日

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 50周年記念

グレッグ・オールマン(Gregg Allman)の訃報があったりして、オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)のレコードを1枚聴いたりはしたのだが、昨日の夕方届いてから、ビートルズ(The Beatles)「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)」をずっと聴いている。

オールマン・ブラザーズ・バンドだって、一時期毎日のように「フィルモア・イースト・ライヴ(At Fillmore East)」を聴いてたこともあるので、それなりに思い入れもあるのだが、「サージェント・ペパーズ」はその存在自体がボクの中では別格なうえに、今回のリミックスには、もう完全にノックアウトだったのである。

まずは、5.1サラウンド・ミックスにぶっ飛んだ。
こりゃ、確かにすごい!


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<サラウンドを聴けるのは映画部屋だけなので暗くてよく見えないかもしれないが、手前のテーブルの上にスーパー・デラックス・エディションのでかい箱が広げてある。>


サラウンドは確かにすごいのだが、リビングのメインシステムでは聴けない。
それに、個人的にはオリジナルのステレオ・ミックスにいろいろ不満があったから、ステレオ・リミックスにはかなり期待していたところがある。

ってことで、サラウンドを一通り聴いたあと、リビングのメインシステムでステレオ・リミックスを聴いてみたのだが、これがまた素晴らしい!
こんなステレオ・ミックスが聴きたかった。
本来こうあるべきだったステレオ・ミックスというか・・・
リミックスというより、ボクには、新たなオリジナルという印象なのだ。

オリジナルなら、アナログで欲しい。
ってことで、アナログは見送ろうかと思っていたのに、さっき発注してしまったよ。

さて、ボクが手に入れたのはスーパー・デラックス・エディション日本盤なので、いろいろ楽しめるものがたくさんついている。
これからしばらくは、「サージェント・ペパーズ」漬けになりそうだ(笑)

それはそうと、今回のリミックスでは、"A Day in the Life"の後のSgt.Pepper Inner Grooveの最初のとこが15kHzのモスキート・ノイズになってたんだけど、これっていつから?
(何を隠そう、オリジナルのステレオ・ミックスが苦手だったので、CDで「サージェント・ペパーズ」をちゃんと聴いた記憶がない 笑)

UKオリジナルのアナログでは、笛みたいのがかすかに聴こえる程度だったのに、このモスキートは耳障りでしかないぞ・・・
ラベル:THE BEATLES
posted by 想也 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | The Beatles | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月24日

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート4)

<The Police, SynchronicityのUSオリジナルについては、現在でも探究を続行しており、後に誤りが明らかになったものについては、打消し線で対応しています。正しい情報については、新しい記事をご覧ください。>

またもやポリス(The Police)"Synchronicity"USオリジナルの話である。

必死になって探しているわけではないが、一応ES(Electrosound Group Midwest, Inc.)工場産の半透明盤を手に入れる努力はしている。
といっても、ヤフオクで定期的に検索をかけている程度ではあるが(笑)

でも、そんなことをしてると気づくこともある。

何に気づいたかというと、10年前の紙ジャケ探検隊の特集記事に掲載された一枚とボクが入手したもののジャケットが同じ版だったことは、実は、「シンクロニシティ♪」なんて言うほど珍しいことではなかったんじゃないか、ということに気づいたのである。

確かに93種もあれば、同じ版にめぐりあうのは奇蹟に近い。
しかし、それは、初期盤に限った話なんじゃないか。

いや、だってね。
探検隊とボクとがシンクロしたジャケットと同じ版のジャケットが、現時点でヤフオクに2点出ているんである。

3日ほど前までは3点出ていたのだ。
そのとき、ヤフオクにはUS盤は7枚しか出品されていなかったのだ。
93種もあるのに、US盤が7枚しか出品されていないヤフオクで、なんで3つも同じのがあるわけ?

そこで、ボクは気づいた。

ボクの手持ちの盤は、ステッカーは貼ってあるがうそつきステッカーで、初期盤ではなく、透けないレイト盤であることは前に書いた。
そうだとすると、一番可能性の高い仮説は、レイトになるとジャケットの種類はぐーんと減って、場合によっては日本盤みたいに1種類になってしまうというものだ。

レイトのジャケットが1種類だとすれば、同じジャケットのがゴロゴロしててもなんの不思議もないのである。

ってことで、このジャケットと同じ版の場合は、透けないレイト盤の可能性がかなり高いんじゃないかと思う。
まぁ、93分の1で初期盤にも存在するはずなので、必ずレイトとも言い切れないのだが・・・

ステッカーが貼ってあっても要注意なので、ジャケット表裏両面の写真を載せておこう。
初期盤を手に入れたいなら、これと同じ版のジャケットは避けるのが無難である。


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さて、この事実に気づいたので、逆に、このジャケットと違う版のものであれば、初期盤の可能性が高いだろうと、もう一枚買ってみたのが、今日届いた(笑)
ワンコイン価格だったので、もちろんマトなんぞ聴かなかったのだが、日本でテキトーに買えばRCA工場産が届くのか、もう一度実験してみたかったというのもある。

ところが、届いたのはなんと末尾M2/M1というモナーク工場産だった。
でもって、この盤、実に興味深い特徴を備えていたのである。

両面にMASTERDISK刻印があり、Side1にのみRL刻印があるのは当然として、問題は、透けるか透けないかである。

透けるか透けないかと言えば、透ける。

確かに透けるのだが、その透け方が問題なのである。

まず、初期盤の透け方を確認しておこう。
初期盤(マトRCA3/RCA1盤)はこんな風に青紫に透ける。


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今回入手したM2/M1の盤は、こんな風に透けるのである。


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青紫じゃない!

モナーク工場産はこうだったのか?

念のため、スティング(Sting)のソロと比較してみよう。
たとえば、1985年の"The Dream Of The Blue Turtles"と同じような透け方なら、同時期にプレスされた可能性が浮上する。


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"The Dream Of The Blue Turtles"は透けまくりである(笑)
どうやら、これと同時期ではなさそうだ。

では、1987年の"...Nothing Like The Sun"はどうだ?


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"The Dream Of The Blue Turtles"ほどじゃないが、けっこう透けていて、これと同時期でもなさそうだ。

写真だとわかりにくいが、実際は、青紫か否かという違いはあるが、透明度的には青紫に透ける盤と同じくらいな気がする。
やっぱりモナーク工場産だけ、青紫じゃなかった?

ここで、ボクは、重大なことに気づいてしまった。
モナーク工場の△番号の刻印である。

△26117/△26117-X

なんとこの番号は、うそつきステッカー盤のRunoutに刻印された番号と同じなのである。

レコードコレクターズ最新号(2017年6月号)掲載の「初盤道」第2回によれば、この番号はメタル処理されたときに刻印されるもので、この番号が同じならほぼ同時期にメタル処理されたものとみていいらしい。

もっとも、キャロル・キング(Carole King)"Tapestry"がリリースされた70年代初頭まではそうだったとしても、80年代のこの盤にも同じことが言えるのかはわからない。
わからないが、こういうルールはそんなにかわるものでもないだろうし、同じだと仮定しよう。

そうすると、EUR工場のマザーがモナーク工場に送られメタル処理を施されてスタンパーが作られた時期と、モナーク工場向けのラッカーが切られてモナーク工場に送られメタル処理を施されてスタンパーが作られた時期が、ほぼ同時期ということになる。

手持ちのEURマトの盤は透けないので、プレス時期自体はずっと後なのだろうが、スタンパーは同時期に作られたわけだ。

では、その時期はいつだったか?

EUR工場のマザーがモナーク工場に送られるという事態が最初期に生じていたのというのはちょっと考えにくい気がする。

それに、聴いてみると、マトM2/M1盤より、マトRCA3/RCA1盤のほうが圧倒的に鮮度の高い音だ。

ってことで、少なくとも、このマトM2/M1盤は、最初期ではなくてちょっと後のプレスってことなんだと思う。
だから、透けるには透けるが、青紫には透けないんだと。

この透けるけど青紫じゃない盤てのが、モナーク工場産以外にも存在するのかは現時点では不明だ。
(Discogs上には末尾M以外の盤で透けるけど青紫じゃない盤てのも存在するのだが、なにせモナーク工場は、少なくともレイトプレスでは、他工場向けのマザーを持ってきてスタンパー作ってプレスしていたので、末尾Mじゃないからといってモナーク工場産ではないとは言い切れないのである。)

逆に、モナーク工場産にも青紫に透ける盤があるのかというと、これはDiscogsで確認できた。
確かに存在する。

ってことで、今回入手した盤は、セカンドプレスと認定するのである(笑)

それにしても、あと何枚買えば、沼の底が見えてくるんだろうなぁ?σ^_^;


<続きの記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート5)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート6)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート7)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート8)

<前の記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート1)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート2)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート3)
ラベル:The Police

2017年05月22日

Clannad, Clannadのアイルランド・オリジナル

<レーベルの種類が色違いで2つと思い込んでいましたが、Discogsをよく見たら、4種類ありました。ってことで、加筆・修正・追記しました。あと、色につき紫としていたのをバイオレットに、それに合わせて青をブルーにあらためました。5月21日0時>

<ツイッター上で情報をいただいてさらに判明したことがあるので追記しました。5月21日22時>

<ブルーレーベルの写真等をご提供いただいたので、追加しました。5月22日18時>

さて、思わぬ出会いの話である。

それは、”The Pretty Maid"という曲との出会いだ。
「あぁ、そういうことか」と気づく人は気づくよね(笑)

この曲、アイリッシュ・トラッドの中では英訳(もともとの歌詞はゲール語)されていろんな人(有名なところではJudy Garland)がカバーしているらしいが、ボクはまったく知らなかった。

だから、YouTubeでクラナドの”The Pretty Maid"を聴いたときに初めて、テレビドラマ『深夜食堂』のオープニングテーマとして使われていた鈴木常吉さんの「思ひで」という曲が、このアイリッシュ・トラッドの日本語カバーだということを知ったのである。
(ちなみに、英語版のタイトルとしては”The Pretty Maid"よりも"A Pretty Girl Milking Her Cow"の方が一般的であるが、英語版Wikipediaの"A Pretty Girl Milking Her Cow"に関する解説には、最後に鈴木常吉さんの「思ひで」も日本語カバー・バージョンとして載っている。)

なんとも味わい深い鈴木常吉さんの「思ひで」も沁みるが、クラナド・バージョンはまた違った味わいで実に沁みる。

ボクはもう、オリジナルのアナログで聴きたくて、我慢できなくなってしまった。

ということで、”The Pretty Maid"収録のファーストアルバム(Philips 6392 013)を買ってみた。
アイルランド・オリジナルである。
たぶん、生まれて初めて買ったアイルランド盤だ。


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アイルランドのナショナルカラーである緑がうまく使われていて、良いジャケットだ。
ジャケットは表裏ともにテクスチャー加工がなされている。


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内容は素晴らしい。
そして、音もまた素晴らしい。
鮮度抜群の実に生々しい音で鳴る。

この内容でこの音で鳴るのに、安い(笑)
要するに、それなりに売れて、それなりの数が市場にあるんだろう。
ってことは、アイルランド・オリジナルといっても、それなりに種類がある可能性がある。

そう思ってDiscogsとにらめっこしてみたのだが、詳細情報はほとんど書いてないσ^_^;
レーベルが二種類あるくらいしかわからなかった。
ただ、どうやらレーベルが4種類はありそうだということはわかった。
やっぱり、いろいろ種類がありそうなのである(笑)


ボクが手に入れたものは、こんなレーベルだ。


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フィリップスは通常ならブルーレーベルだが、これはバイオレットである。
ブルーレーベルの盤ももちろん存在している。
しかもブルーレーベルには3種類あるようだ。

写真の通りバイオレットレーベルは、下部に"Made In Ireland"と表記されている。
ブルーレーベルには、①このバイオレットレーベルと同じデザインのもの、②レーベル中央右のボックス内のレコード番号6392 013の下に"Made In Ireland"と表記されていて、レーベル中央左のボックス内にパブリッシャー表記のあるもの、③②と同じデザインだが、"Made In Ireland"のところが"Made In the Republic of Ireland"と表記されているもの、以上の3種類がある。

ブルーレーベル③の写真をご提供いただいたので、載せておこう(提供:ささもたん@赤腹魔王さん)。


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これら4種のレーベルの前後関係は、よくわからない。
ただ、パブリッシャー表記は有りから無しになるのは考えにくいので、バイオレットレーベルとブルーレーベルの①が先で、そうだとすると、そのあと②→③という順で推移したと考えるのが、一番合理的な気がする。
でも証拠はない(笑)

レーベルの推移について一応の仮説を立てたのだが、ツイッターで情報をいただいて、どうも単純な前後関係ではなく、アイルランド国内向けと輸出用の違いではないかという説が浮上した。

新たな情報(Discogsにも出ているのだが見落としていた)として、これがある。


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手持ち盤の裏ジャケ右上はこうなっているのだが、パブリッシャー表記のあるブルーレーベルの②と③が入っているジャケの裏ジャケ右上には、"Also available on cassette"表記がないという。


ブルーレーベル③の盤が入っていたジャケットの裏ジャケ写真をご提供いただいたので、載せておこう(提供:ささもたん@赤腹魔王さん)。


Clannad02.jpg


この「カセットもあるでよ」って表記を後で削ったというのは、パブリッシャー表記を後で削るのと同じくらい考えにくい。

ってことで、初盤決め勝負は1勝1敗の引き分けである。

そこで、これらを矛盾なく説明できるものとして浮上してきたのが、国内向けと輸出用で最初から二種類あったんじゃないかという説であった。

パブリッシャー表記ありレーベル上に表記されているのは、"Intersong"と"Essex Music Ltd."だが、前者が"Intersong Music Ltd."のことだとすると、これらはいずれもロンドンにある音楽出版社だ。

だとすると、パブリッシャー表記ありレーベルはUK向けの輸出用で、パブリッシャー表記なしレーベルはアイルランド国内向けということになる。
カセットは同時に輸出する予定がなければ「カセットもあるでよ」表記は入れないほうがいいので、輸出用にはなく、国内向けにのみ存在する。
国内向けのバイオレットとブルー、輸出用の②と③の前後関係はわからない。

さしあたり、こんな仮説を立ててみたのだが、どうだろう?


手持ちのバイオレットレーベル盤のMatrix末尾は手書きでA-1/B-1だ。
かなり薄くて見にくいが、Side1の写真だけ載せておこう。


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A-1の隣に刻印されているシンボルマークみたいなものは、おそらくCarlton Productions(ダブリンにあったマスタリング・メタル処理・プレスを行っていた工場)を表すものだと思うのだが、Discogsに載っているマークとちょっと違うのが謎である。

何故、Carlton Productionsのマークだと思うかと言えば、これははっきり、そこのマスタリングとメタル処理のエンジニアだったTBの刻印があるからだ。
(Side1にも同じ刻印があるが、なぜだか二重になっているので、よりはっきりしているSide2のほうの写真を載せている。)


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TBというイニシャルのエンジニアの名前は、Discogsにも書いてないのでわからない。
でも、このアイルランドのエンジニア、実に良い仕事をしているのである。

<以上のMatrix等の情報は、パブリッシャー表記ありレーベルの盤でも同じとのことである。>

さてさて、Discogsにもほとんど詳細情報のないレコードなので、ファーストプレスの特徴はまったく確定できていない。
ぜひ皆さんが所有されているアイルランド・オリジナルの情報を教えていただきたいのである。

よろしくお願いしますm(_ _)m
ラベル:CLANNAD