
奥が以前から持っていたもので、手前が先日入手したものである。
一見してわかるように、今回入手したものには、左上部にステッカーがない。
このステッカー、Discogsを見ると1978年にリリースされたEMI配給のUKオリジナル(MCA Records – MCF 2853)のところのジャケット画像にはなく、翌1979年に配給がCBSに移ったあとの再発( MCA Records – MCL 1622)のところのジャケット画像にはあるので、「UKオリジナルの初盤には貼ってあっちゃいけないんじゃないの?」と、ちょっと疑問に思ってはいた。
もちろん、以前から所有していたステッカー付の盤も、EMI配給のUKオリジナルである。
Matrix末尾は両面1Uで、竪琴のシンボルマールがあるので、ロンドンのユートピア・スタジオ(Utopia Studios)でマスタリングされたものであることがわかる。
ちなみに、CBS配給に変わったあとのCBSプレスでは、両面Matrix末尾1にBILBO TA1PE刻印(ロンドンのマスタリング・スタジオTape OneのDenis Blackhamによるマスタリング)となるようだが、これは聴いたことがない。
そういえば、CBS配給に切り替わった直後は、まだレコード番号もMCF 2853のまま、EMIから引き継いだスタンパーを使ってCBS工場でプレスされていたものがあったようなので(ジャケット裏の下部の配給表記がシールでCBSに修正されているもので、盤のほうは、レーベルはほとんど初盤と同じだが、下部のリム先頭のEMI RECORDS LTDが削られている)、いつ頃にラッカーの切りなおしが行われたのかは、ちょっとわからない。
話がちょっとそれた。
「初盤にはステッカーが貼ってなかったんじゃないか?」という話だった。
ステッカーに書いてあるのが"Includes Parisienne Walkways and Back on the Streets"というのも微妙である。
これが"Hit Single"とでも書いてあれば、("Parisienne Walkways"は先行シングルではなく、翌年にシングルカットされたものなので) 明らかに初盤には貼ってなかったことがわかるのだが、"Includes"というだけなら、初盤に貼ってあってもおかしくはない。
ってことで、買ってみたのである。
えっ?どういうことかわからない?
それは裏を見ればわかる(笑)

奥が以前から持っていたもので、手前が先日入手したものである。
えっ?光っててよくわからない?
では、拡大しよう(わざとらしいっちゅうの 笑)

とはいえ、この手のゴールド・プロモ・スタンプは、通常盤に押してあるだけなので、初回リリース時のプロモーション用に配られた可能性もあるが、その後の何か別のプロモーションの機会に配られた可能性もある。
まぁ、EMIのスタンプなんで、CBSに配給が移る前であることだけは確かだが・・・
そこで見るのは、9時3時である。
そう、英EMIでプレスされたレコードのRunoutの9時3時(Runoutを時計に見立ててメインのMatrixを6時に置いたときの9時と3時の位置のこと)にはマザー(9時)とスタンパー(3時)の情報がある。
英EMIの場合、1Gが最初のスタンパーだ。
そう、今回ボクが入手した盤の9時3時は、両面1G(Matrix末尾はもちろん両面1U)だったのだ。
初回リリース時のプロモーション用に配られたものとみて間違いないと思うのである。
もちろん、プロモーション用だからステッカーが貼ってないということもありえないことではないが、逆に、ステッカーがすでにできていたのなら、プロモーション用にはなおのこと貼りたくなるんじゃないかって気もする。
ラミネート・コーティングのジャケットのため剥がそうと思えば綺麗に剥がせるので断定はできないのだが、初回出荷分にはステッカーが貼ってなかった可能性が否定できないと思うのである。
ちなみに、以前から持っていた盤(Matrix末尾はもちろん両面1U)の9時3時は、2RM/1RG(24番目と21番目のスタンパー)でかなり進んでいる。
レーベルはまったく同じである。

ただ、ステッカー以上に大問題の違いが一つあるのだ。

以前から持っていた盤のインナースリーブは実に美しい両面ラミネート・コーティングだったのだが、今回入手したプロモ盤のインナースリーブはラミネート・コーティングではないのだ。
このインナースリーブについてはまったく情報を持っていないのだが、仮にレイトでラミネート無しのインナースリーブが存在するとしても、それが入れ替わったということは考えにくい気がする。
「中古なんだから、入れ替わった可能性は否定できないだろう」と言われればその通りなのだが、とにかくレイトっぽくないんである。
この手のインナースリーブってレコードの出し入れをするところや4つの角とかが、かなり特徴的にカットされていて、レイトになると、そのカットの具合が変わることが多いし、紙質も変わる(だいたい薄くなる)ことが多いのだが、ラミネート・コーティングのインナースリーブと、カットも紙質(紙の色自体はちょっと違うが紙の質は同じに見える)もまったく同じなのである。
ってことで、これもごく初期だけ、「インナースリーブはラミネート・コーティングじゃなかったんじゃないか?」という疑問がわいてくるのである。
そもそも、インナースリーブにまで両面ラミネート・コーティングされているのってあんまり見ない。
思い浮かぶのはクイーン(Queen)の"Jazz"ぐらいである。
そして、"Jazz"がリリースされたのが1978年11月10日で、"Back on the Streets"がリリースされた9月30日と一月ほどしか違わないのだ。
インナースリーブにまで両面ラミネート・コーティングしろなんて言い出したのはむしろクイーンで、ゲイリーのほうは「あっ、じゃ、俺も!」なんてことだったとすると、"Back on the Streets"の初回出荷分についてはラミネート・コーティングじゃなかったって可能性もあるんじゃないかと思ったりするわけである。
いやぁ、ここまで空想(妄想?)を繰り広げられるなんて、レコードってホントにいいもんですね(笑)
ラベル:Gary Moore