2018年03月25日

青いエアメイル

この季節になると無性に聴きたくなるレコードがある。
ユーミンの”OLIVE”だ。


20180325.jpg


”最後の春休み”というドンピシャな曲も収録されているのだが、何と言っても”青いエアメイル”である。

「おい、まて。”青いエアメイル”の設定は冬だろう。」って声が聴こえてきそうだが、実はこの季節に聴くのに相応しくないわけでもないのだ。

いろいろ解釈はあるのかもしれないが、この歌は、海外赴任をきっかけに恋人と別れることになった女性のことを歌っているんじゃないかと思う。

海外赴任が決まり、「ついてきてほしい」という恋人の気持ちに、主人公の女性は何か事情があって応えられなかった。
ひとり海外に赴任したかつての恋人から、ときおりエアメイルが届く。
でも、それもきっと、やがて途絶えてしまう。
恋人の気持ちに応えないことを選んだのは、まさに自分自身なのだから。


  ♪ 選ばなかったから 失うのだと
  ♪ 悲しい想いが 胸をつらぬく
  ♪ けれどあなたがずっと好きだわ
  ♪ 時の流れに負けないの


最後のフレーズが胸を衝く。

選ばない」のは、普通、「好きじゃない」からだ。
でも、「好き」なのに、「選ばない」こともある。

好き」だけど「選ばれなかった」ときは、その事実が普通は「好き」という気持ちを打ち消す方向に働く。
「選ばれなかった」そのときには強く残っていた「好き」という気持ちも、やがて薄れていくだろう。
だから、海外へと旅立ったかつての恋人からの便りは、やがて途絶えてしまうのだ。

じゃぁ、「好き」なのに「選ばなかった」ときはどうだろう?
「好き」という気持ちを打ち消す方向に働くものは何もない。
その気持ちは、時の流れに負けずに、ずっと変わらないかもしれない。


「好き」だけど「選ばれなかった」ことはやまほどあれど、「好き」なのに「選ばなかった」ことなんて一度もないから、この最後のフレーズの意味にはなかなか気づかなかったよ・・・

ね、この別れの季節に聴くのに相応しくないわけでもないでしょう?

好き」なのに「選ばない」決断をしている人は、覚悟しましょうね。
ラベル:松任谷由実
posted by 想也 at 23:12| Comment(0) | 松任谷由実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月17日

The Who– Meaty, Beaty, Big & BouncyのUKオリジナル

レコード・コレクターズ4月号の初盤道は、「奇妙なマト1」という、これまでとはちょっと違う切り口から興味深い話を展開していた.

「奇妙なマト1」といえば、ボクがすぐに思い浮かべるのは、ザ・フー(The Who)のシングル・ヒットを集めた1971年リリースの編集盤"Meaty, Beaty, Big & Bouncy"のUKオリジナル(Track Record ‎2406 006)だ。

初盤道で「恋のピンチ・ヒッター」(Substitute)のUK盤シングルがとりあげられていた("Meaty, Beaty, Big & Bouncy"にはもちろんこの曲も収録されている)からすぐに思い浮かんだのかもしれないが、この「奇妙なマト1」の話はいずれ記事にしようとは思っていたのである。


20180317-0.jpg


このレコードの場合、「奇妙なマト1」といっても、「二つあるマト1のどっちが初盤かわからない」という話ではない。

というのも、確かにどちらも「マト1」なのだが、レーベル形状からどちらが初盤なのかは明らかだからである。

1971年リリースだから、初盤は当然、フラットでマットなこのレーベルである。


20180317-1.jpg


ところが、リムが凸になっているこのレーベルにも「マト1」が存在する。


20180317-2.jpg


「ずっとマト1だっただけだろー」と思ったあなた!
違うんである。
どちらも、George Peckhamのカッティングであるにもかかわらず、違うんである。

初盤のマト1はこうだ。


20180317-3.jpg


B面もマト1で、Runoutの刻印は次のようになっている。

Side A - PORKY 2406 006 A//1
Side B - PECKO 2406 006 B//1


それに対して、レイトのマト1はこうだ。


20180317-4.jpg


これまたB面もマト1で、Runoutの刻印は次のようになっている。

A PORKY PRIME CUT 2406 006 A//1 M
MASTER ROOM 2406 006 B//1 M

A//1やB//1の後のMはMaster Roomでカッティングされたことを示すものだし、B面にMASTER ROOMと手書きされているし、Master Roomカッティングであることは間違いない。
Peckhamが1970年代前半にMaster Roomに所属していたこととも符合する。

Discogsで確認すると、どうやらMaster Roomができたのは1973年のようなので、この2番目のマト1はおそらく1973年か74年にカッティングされたんじゃないかと思う(Peckhamは74年にI.B.C. Studiosに移っている)。

さらに、ボクは持っていないのだが、Discogsを見ると、Side AがPORKY A//1でSide BがMELY ! B//4という盤が存在するようだ。
これはおそらく、Side Bだけスタンパーが足りなくなって、Melvyn Abrahamsがあらたにカッティングしたんだろう。

要するに、こういうことだ。
1971年に初盤のためにPeckhamがカッティングをした(PORKY刻印盤)のだが、1973年か74年に大々的な追加プレスをすることになったとき、再び(そのときはMaster Roomに所属していた)Peckhamがカッティングを依頼された(A PORKY PRIME CUT刻印盤)。
このどちらもが、末尾A1/B1のマト1なのである。

同じPeckhamのカッティングなのだが、時間的にあいていることもあり、音はだいぶ違うので注意が必要だ。

ちなみに、初盤とレイト盤では、ジャケットもだいぶ違っている。

まず、表ジャケのタイトルのフォントが違う。


20180317-6.jpg


手前が初盤ジャケで、奥がレイト盤ジャケである。

見開きの内側左のクレジットもかなり違っている。


20180317-7.jpg


向かって右が初盤ジャケで左がレイト盤ジャケだ。
初盤ジャケはE.J.Day製だが、レイト盤ジャケはHowards Printers製なので、レイト盤ジャケではE.J.Dayのクレジットが削られている(Howards Printers製であることは裏ジャケ右下に書いてある)。
そのほか、楽曲ごとのプロデューサー・クレジットや疑似ステレオ関係のクレジットが初盤ジャケにはない。
あと、何故だか、カタログ番号"2406 006 SUPER"がレイト盤ジャケでは消されているが、裏ジャケにも背表紙にも同じカタログ番号が残っているので、何故消したのか謎である。


しかし、初盤と同じ人間がリカッティングしてまたマト1って、なんでこんなことが起こるんだろう?
実に奇妙なのである。
ラベル:The Who
posted by 想也 at 23:10| Comment(2) | George Peckhamの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月12日

竹仲絵里Live at 原宿LaDonna

昨日、ふと思い出して、YouTubeでこの動画を探した。





よかった。
残っていた。


ついでに、最近アップされたライブ動画が11個ほどあったので、プレイリストを作ってみた。





竹仲絵里さんのライブには、一度行ってみたいなぁ。
ラベル:竹仲絵里
posted by 想也 at 12:45| Comment(0) | 竹仲絵里 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする