いやぁ、深いなぁ。
しかーし、IIIはともかく、IIのRLカットUS初盤はいまやバカ高くなってしまって、ホントの初盤の特徴をおしえてもらったところでもはや手が出ないのである。
幸いMO(西海岸のモナーク工場)産のMatrix末尾C(RLカット)は持っているので、ボクはもうこれでいいや。
っていうか、ボクはUS初期盤(レーベル上の住所表記が"1841 BROADWAY"となっている1973年までにプレスされたものを便宜上初期盤としておく)を3枚持っているのだが、音質的にはRLカット盤がとにかく飛びぬけている。
この差に比べたら、RLカット盤相互の違いなんて、「気のせい」程度の差に違いない。
うん、きっとそうに違いない。
ってことで、初盤については紙ジャケ探検隊の初盤道におまかせして、ボクはセカンド・プレスからサード・プレスあたりの気になることについて、ちょっと考えてみようと思うのである。

写真の一番手前がMOプレスのRLカット盤だが、今回の主役は背後の二枚だ。
まずはRIAAゴールド・ディスクのステッカー付の向かって左側の盤である。
この盤は、裏側に曲目ステッカーも貼付されている。

このステッカー、あんまり見ない気がするんだけど、そこそこレアなのかな?
レアといえば、このレーベルはレアである。
価値があるかといえば、まったくないとは思うが(笑)

まさに間違い探しのようだが、このブログに興味を持つ方ならみんな即座に気づくよね。
Side表記が逆のミスレーベルなのだ。
反対側もミスレーベルなので、このレコードしかもってない人は混乱する(笑)

まあ、内ジャケと裏のステッカーを見れば、レーベルのほうがが間違いだとわかるだろうが。
さて、もう一つ、この盤がRLカット廃棄騒ぎ直後のセカンド・プレスだとすると、一つおかしなことがあるのだが、気づくだろうか?
逆に言えば、このレーベル上には、この盤が
もっとも、スタンパー自体は70年頃に製造されたものである。
RunoutにLW刻印があるからだ。
このLW刻印はLongwear Plating社でメッキ処理がおこなわれた証拠だが、70年10月にリリースされたIIIにはLW刻印がないので、Longwear Plating社でメッキ処理が行われていたのはそれより前ということになる。

メッキ処理は確かに69年か70年に行われているのであるが、そうして作られたスタンパーでいつプレスされたかはわからない。
Matrix末尾のほうを見てみよう。

Side 1(レーベル上はSide Twoとなっているが、ホントはSide Oneのほうね。あーややこしい 笑)のMatrix末尾は"N"である。
いじわるをして見にくく撮っているわけではなく、腕が悪いだけなので、あしからず。
もう一度言おう。
Matrix末尾は"N"である。
"NNN"ではなく、"N"なのである。
ちなみに、Side 2(レーベル上はSide Oneとなっているが、ホントはSide Twoのほうね。あーややこしい 笑)のMatrix末尾は"R"である。
こちらも"RRR"ではなく、"R"なのである。
そう、RI工場(PRC Recording Company, Richmond, IN)産のくせにMatrix末尾がアルファベット一つで終ってしまっているのだ。
これがどういうことなのかを考えてみて、一つの仮説にたどりついた。
RI工場は長い歴史をもつ古い工場だが、PRC Recording Companyと名乗るようになるのは
それ以前はどうだったかというと、1966年から1970年6月までは Mercury Record Manufacturing Company、1970年6月から1972年4月まではPhilips Recording Co. Inc、1972年4月(12月という説もある)からPRC Recording Companyと名乗るようになったという。
アトランティックの中部メイン工場となり、RIという略称を使うようになったのは、1970年6月のPhilips Recording Co. Incへの改称のときからではないか。
ってことでDiscogsを探してみると、Matrix末尾N/Rの盤が見つかった。しかも、ME工場である。
Discogsには、「ME工場なんて調べてもわからんかった」みたいなことが書いてあるが、MErcueyのMEなんじゃ?
つまり、こういうことだ。
RLカット廃棄騒ぎで、大量のプレスを短期間に行わなければならなくなったアトランティックは、当時からメイン工場だった東のPR工場や西のMO工場以外にもプレスを外注せざるをえなくなった。
その一つが、リッチモンドにあるマーキュリーの工場で、LW工場でメッキ処理をしたMatrix末尾N/Rのスタンパーを送った。
こうしてME工場産のMatrix末尾N/Rの盤が産まれた。
この時点でアトランティックの中部メイン工場になったのかはわからないが、Zep IIのプレスについては、ME工場時代から使っているスタンパーでプレスした。
スタンパーはそのまま使ったが、レーベルは作り直さざるをえず、その作り直しで大チョンボのエラーレーベルが産まれたと、まぁ、こんなところなんじゃないかと。
さて、Matrix末尾については、ほかにも不可解なことがある。
Discogs上で確認するとアルファベットがかなり飛んでいるが、これは単に発見されていないだけということではなさそうなのである。
というのも、ボクの持っているもう一枚のUS初期盤はMO工場産のMatrix末尾L/Lというものなのだ。

よく見てほしい。
これははっきりわかる。
”L"である。
"LL"ではなく"L"なのである。
しかも、RunoutのどこにもLW刻印はない。
Matrix末尾MやNやRの盤にはLW刻印があるのに、何故Lの盤にはないのだ?
素直に考えれば、Lのほうが後でカッティングされたってことだろう。
実際、この末尾Lの盤は、末尾N/Rの盤よりも、さらに少し眠い音になる。
それに、CSを見ても、どうも後のプレスっぽい(まぁ、CSは入れ替わってる可能性もあるが)。
RLカットのMOプレス盤についていたCSはこれだ。SD8170番台までしか載っていない。

末尾N/RのRIプレス盤についていたCSはこれだ。SD8210番台まで載っている。

末尾LのMOプレス盤についていたCSはこれなんである。IVまで出てる(笑)

そんなわけで、末尾Lが末尾NやRより後にカッティングされたんだとすると、カッティング順にアルファベットがふられたわけではないということになる。
RLカットの末尾ABCは、おそらくアルファベット順にカッティングされたんだろう。
しかし、廃棄騒ぎの後のカッティングは、どうも違うルールでアルファベットを決めていたような気がするのだ。
そうは言っても、それがどんなルールかはまったく見当がつかないんだけどね(笑)
ラベル:Led Zeppelin