2019年03月23日

Don Shirley, Tonal ExpressionsのUSオリジナル

ツイッターのTLに映画『グリーンブック』のプロモーションがやたら流れてくるので、そういや一枚、ドン・シャーリー(Don Shirley)のレコードを持ってたなぁと思い出し、棚を漁って引っ張り出してきた。

20年近く前にジャズのオリジナル盤を集め始めた頃、右も左もわからない中、なんとなくオリジナル盤ぽいというだけの理由で(確か1000円くらいで安かったし)買ってみたもので、ドン・シャーリーのことを知っていて買ったわけではない(笑)

だから、すっかり忘れていたのを、映画『グリーンブック』が思い出させてくれたわけである。


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引っ張り出してみると、この”Tonal Expressions”というアルバム(Cadence CLP 1001)、どうやら彼のファースト・アルバムらしい。

Discogsを見ると、レーベル上のクレジットにASCAPがあるものとないものがあるようだ。
ASCAPを後で消すというのも考えにくいので、ないほうが先だろう。


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うちのにはASCAPがない。
ってことはファースト・プレスかな?

ファースト・アルバムのファースト・プレスを持ってるって、なんか気持ち良いぞ(笑)

超久しぶりに聴いてみたところ、確かにジャズではあるものの、クラシカルな要素も感じられ、なかなかにおもしろい。
ガーシュインの”The Man I Love”とか、”Rhapsody in Blue”をちょこっと引用したイントロから惹きこまれてしまう。

でも、はっきり言って、音はあまり良くない。
というか、それ以前に、これはRIAAカーブではないんじゃ?

このアルバム、ジャケットにも書いてあるように、ピアノのドン・シャーリーとベースのリチャード・デイヴィス(Richard Davis)のデュオで演奏されているのだが、ベースがほとんど聴こえてこない。
そりゃ、耳を凝らせば聴こえてはくるが、ピアノの低音部も含めて、実に弱いのである。

で、「RIAAから低音をもちあげないといけないカーブなんてあるのか?」と、古いイコライザ―・カーブの可能性があるときにいつも参考にしている資料を見てみると、1952年以前のRCA Victorのカーブでは、Bass(50Hz)を+5dB、Treble(10KHz)を+2dBとある。


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Cadenceってのは、RCA Victor系だってことだから、辻褄があう。
Runoutを見たら、やっぱりRCA Victor系のマトじゃないか。


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まぁ、このドン・シャーリーのレコードは1955年なんで、教科書通りならRIAAでなきゃいけないんだけど、すぱっと切りかわらずに、52年以降も古いカーブでカッティングされたものもあったのだとしたら、その古いカーブとはRCA Victorの旧カーブのはずだ。

ってことで、とりあえず、アンプのトーンコントロールで、古いRCA Victorのカーブに合わせて聴いてみる。

これでしょ。

どう聴いても、こっちがベストのバランスだ。


それにしても、このイコライザ―・カーブ問題は厄介だなぁ・・・
ラベル:Don Shirley
posted by 想也 at 19:35| Comment(0) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする