2019年10月31日

許されない愛

「ジャケ買い?それを知らないわけないだろ~」って声が聴こえてきそうだが、知らなかったんだから仕方ない。

沢田研二さんのソロになって二枚目のシングル『許されない愛』(Polydor DR 1679)である。


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このシングルがリリースされたのは1972年3月だ。
歌詞の内容からいっても、当時9歳だったボクが興味をもつはずもないじゃないか(笑)

前にも書いたことがあるが、『時の過ぎゆくままに』は、ボクにとって楽曲的にもジャケット・アート的にも昭和歌謡における不動のナンバー・ワンではあるのだが、だからといって沢田研二さんの熱心なファンかと言えば、そういうわけでもないのである。

知らなくても当然なのだ(完全に開き直る 笑)

それにしても、このシングルのジャケットは良い。
日本のシングルにしては珍しく、スリーブの形(つまり袋状)になっている。

ひっくり返せば、ほらこの通り、折り返しが見える。


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さらに、特筆すべきは、(すでに上の写真でわかったかもしれないが)テクスチャー加工がされている点である。
テクスチャーがはっきりわかるように、もう少し近づいてみよう。


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いやぁ、ホントに素晴らしいっ!

しかも、このシングル、ロンドン録音である。
なんだか昭和時代のロンドンの空気がパッケージされている気がする(笑)

楽曲自体も悪くないが、ボクはアレンジがすごく気に入った。
左チャンネルで鳴っているオルガンが、実に効果的でかっこいいのである。

レコードを聴きながら、「許されない愛」という言葉にリンクしてふっと甦る記憶をたどる。


     ♪ 忘れられないけど 忘れようあなたを
     ♪ めぐり逢う時が 二人遅すぎた


「めぐり逢う時」自体は、遅すぎたわけじゃない気がするなぁ・・・
ラベル:沢田研二
posted by 想也 at 23:25| Comment(0) | ジャケ買い倶楽部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月30日

Billy Taylor Trio: My Fair Lady Loves Jazz

先日、久しぶりに(2か月ぶり、いや3か月ぶりくらいかな?)レコード・ショップに行ったとき、一目惚れしてしまったレコードがある。

ビリー・テイラー・トリオ(Billy Taylor Trio)の"My Fair Lady Loves Jazz"(Impulse! AS-72)だ。


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ビリー・テイラーなんて、名前ぐらいは聴いたことあるようなないような・・・程度(つまり演奏は聴いたことはない 笑)だったから、もちろん、このレコードのことは知らなかった。

でも、このジャケットである。
フォントの色使いも含めて、これほど素敵なレコード・ジャケットは、そうそうないんじゃないだろうか。

しかも、このジャケット、アートワークそれ自体がとても素敵だというだけでなく、60年代Impulse!らしい厚手のコーティングに覆われていて、実に美しい。

さらに、内容だって、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の楽曲を演奏したものなのだ。
クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)のアレンジによるバンドがバックをつとめているし、少なくとも、聴いてガッカリということはなさそうじゃないか。

レーベルだって、艶有りのオレンジ・レーベルである。


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気になるレーベル下部のクレジットは、"A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC."で、裏ジャケットと一致している。


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送り溝を見れば、”VAN GELDER"刻印だってはっきり確認できるのである。


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「正真正銘のオリジナルだぜ~」と思ったのも束の間・・・


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「てくにかりー・おーぐめんてっど?」って何だよ?
これは、要するに、疑似ステレオってことか?
ってことは、モノラルのオリジナルがあるってことじゃないかー

で、調べてみると、オリジナルは、Impulse!がこのジャケットで再発した1965年から遡ること8年、1957年にABC-Paramountからリリースされているのがわかった。
しかし、オリジナルは、ジャケットがまったく違うのだ。

ボクはジャケットに惚れたんである。
だから、この再発でいいんである。
しかも、ボクには、疑似ステ相手なら、強い味方がいる。
そう、SPU-MONOだ。

このカートリッジ、CG 25 Diと違ってステレオ盤が再生できる。
ステレオ再生すると何だか違和感がかなり大きい疑似ステレオだが、SPU-MONOで再生するとあら不思議、かなり奥行きがはっきり出て、なかなか気持ち良いモノラル再生をしてくれるのである。

もう、これでいいやーと思ったのだが、なんとなくヤフオクで検索してみたら、ちょい難ありということで、オリジナルのモノラル盤が格安の即決で出品されているではないか。

疑似ステをSPU-MONOで聴くなんてのは、アボカドをわさび醤油で食べて「トロみたいだ~」と悦に入っているようなもんで、ホンモノのトロに敵うわけはない。

再発のジャケを見ながら、オリジナルのモノラルを再生すればいいんである。
それが完璧な楽しみ方じゃないか(そうか? 笑)

で、これがABC-Paramountから1957年にリリースされたオリジナル(ABC-177)である。


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コーティングされたジャケットは、デザインも含めて、決して悪くはないと思う。
しかし、再発のジャケットが圧倒的なのだ。

まぁ、音は、やっぱり、オリジナルのモノラルが良いんだけどね。
RVG録音ではないので、オリジナルにRVG刻印はないのだが・・・

レーベルはこんなデザインで、これがオリジナル・レーベルでいいんじゃないかと思う。
DiscogsにはMatrix末尾のある盤が出ているが、うちのはABC-177-A/ABC-177-Bで終ってて末尾はないしね。


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内容については、ボクはとても気に入った。
クインシー・ジョーンズのなんともセンスの良いアレンジが光っているし、ビリー・テイラーのピアノもとても品が良くて心地よい。
Impulse!の再発ジャケットを眺めながら聴けば、至福の時間が過ごせるのである。
ラベル:Billy Taylor
posted by 想也 at 21:39| Comment(0) | ジャケ買い倶楽部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

羊の声で

”あなたでも本気で怒ることってあるの?”

お酒が入って少し陽気になった彼女がそう訊いた。

”そりゃ、僕だって怒るときは怒るさ。でも、狼の血筋じゃないから、吠えるとしても羊の声でだけどね。”

”なにそれ?”

なにやらツボにはまったようで、彼女はケラケラと笑い出した。

僕と彼女は「Mr.Childrenが好き」というので意気投合したのがきっかけで親しくなった。
だから、当然通じると思ったのだが、どうやら『SUPERMARKET FANTASY』はあまり聴きこんでいないらしい。

”ミスチルに、「羊、吠える」って曲があるんだけど、知らない?”

”どんな曲だっけ?”

僕はポケットから取り出したiPodで「羊、吠える」を再生して、彼女に渡した。
彼女はイヤホンを耳に挿し込んで、じっと聴いている。
ときどきクスリと笑いながら。

聴き終えた後、まっすぐに僕の目を見ながら、彼女は笑った。

「馬鹿みたい」
ではなく、
「あなたらしい」
と言ながら。





♪「音楽が奏でる情景」は、好きな音楽にインスパイアされて書きとめた(たぶん 笑)フィクションです♪
ラベル:Mr.Children
posted by 想也 at 01:36| Comment(0) | 音楽が奏でる情景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする