しかし、このプレス年月刻印というやつには、ここのところずいぶんお世話になっている。
(まぁ、ボクの場合は、日本のフォークやニューミュージック、いまで言えばシティ・ポップのレコードの初盤を探す手段としてだけど 笑)
で、しばらく前から、ここはひとつ、その謎を解明してくれた菅田氏に敬意を表する意味でも、『60年代ロックLP図鑑 洋楽編』については購入せねばなるまいと考えるようになっていた。
(ほとんど知識のない日本盤LPについて、ビートルズを中心に知識を得たいという欲求も少しだが出てきていた。)
とはいえ、この本、Amazonとかでは絶版扱いである。
そこまで高いプレミアがついていない出品もあるので価格的に買う気にならないというわけではないのだが、中古品を買って敬意を表したことになるのかという根本的疑問もわいてきて、なんとなく躊躇っていた。
そしたら、なんと、『ジスボーイ』のWEBサイトでは、普通に販売中だというじゃないか(菅田氏は、広島にある中古CD&レコードショップ『ジスボーイ』の店長さんである)。
『ジスボーイ』のWEBサイトはこちら(著書の購入は「店長・菅田-works-」から)。
http://www.thisboy.co.jp/
もはや躊躇う理由は何もない。
ボクは速攻で在庫確認をして、発注をすませたのであった。

さっそくプレス年月刻印―『60年代ロックLP図鑑 洋楽編』にならって、今後はプレスマーク(PM)と呼ぶことにしよう―の解説のところを読んでみると、その発見と解明は、菅田氏ではなく、ベンチャーズ・コレクターである柳生さんという方の功績だということで、柳生レポートなるものが掲載されていた。
PMの発見と解明が、まずコレクターによって行われたというのが、なんとなく嬉しい(笑)
柳生レポートを読んだ後は、最初のページからパラパラと見ていったのだが、基本的に本国盤オリジナル(たとえば、イギリスのアーティストなら英盤、アメリカのアーティストなら米盤)を集めてきたボクは、見事なまでにほとんど所有していない(笑)
これから手に入れようという気もないのだが、なんだか見ていて楽しい。
各ページにある説明やコラムなどで披露されている知識も、初めて知ることが多く、知識欲を充たしてくれる。
見て読んでいるうちに、ホンモノが欲しくなるような副作用があったらどうしよう?
そんな財力はないぞ・・・(笑)
さっきも書いたように、この図鑑に掲載されている日本盤レコードを、ボクはほとんど持っていないのだが、このレコードはさすがに持っている。

"A Hard Day's Night"の日本盤『映画「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」(サウンドトラック盤)』(Odeon OP-7123)だ。
日本独自ジャケなんで、やっぱりどうしても欲しくなって手に入れたのである。
20年くらい前の話だが。
この黒いOdeonのレーベルに赤盤というのも所有欲を掻き立てるよね?

まぁボクの場合は、一枚ぐらいは持っていたいという程度の所有欲だけど(笑)
さて、ボクの所有盤だが、正確に言えば、図鑑に掲載されているものではない。
では、図鑑に掲載されているもの(図鑑にはOdeon OP-7123が帯違いで二種類掲載されている)と、どこが違うのか。
「帯がついてないから違う」というのは半分正解で半分不正解だ。
というのも、うちの盤は、裏ジャケ右下部にある価格の前の記号がGだからである。

このG盤、実在数が非常に少ないうえに、帯なしで発売された可能性が非常に高いんだそうだ。
で、図鑑には掲載されていないわけである。
「実在数が非常に少ない」と言われると、それを所有していることがなんだか少しうれしい(笑)
それに、「帯がついてなくて残念だな~」とずっと思っていたのだが、もともと帯なしだったのなら、これで完品じゃないか(笑)
図鑑8ページによると、半掛け帯の初盤(F盤)がリリースされたのが1964年9月5日で、水色のV字帯のH盤の発売が67年2月とのこと。
G盤はその間の発売なのだが、図鑑45ページの推移表を見ると、65年6月頃から66年8月頃に発売されたもののようだ。
では、うちのはいつ頃プレスされたものなのか。
これはPMでわかる。

E6ということは、66年5月だ。
H盤への切り換え直前のプレスである。
そのことを示すような情況証拠が、さきほどの裏ジャケ写真にも写っていたのだが、おわかりだろうか?
そう、価格表示部分には、おそらく価格変更のシールが貼られていた痕跡が残っているのである。
図鑑14ページによると、物品税税率の引き下げに対応して値下げが行われたのが66年7月21日とのことなので、うちのG盤は、5月にプレスされたが、7月21日以降にシールを貼って販売されたものということになる。
まぁ、どうでもいいっていえばどうでもいいことである。
でも、ボクは、こういうことを解き明かすのがとても楽しいのである(笑)
ラベル:THE BEATLES