2021年01月31日

歪まない!

『木綿のハンカチーフ』のスタンパー調査は、ノイさんが「中古レコードのタチバナ」さんに取材に行ってくれたおかげで一気に7枚分の情報が入手できた(ノイさん、「中古レコードのタチバナ」さん、ありがとうございましたー)こともあって、現在17枚分のデータが集まっているが、こういうのはやはり数が必要で、何らかの推理をするには50枚分くらいのデータが必要かなぁと思っている。
そんなわけで、気長に待っておりますので、「『木綿のハンカチーフ』のシングル盤持ってるよ」という方、ぜひ送り溝を見て、スタンパー情報をお寄せください。

さて、本日は、まったく別の話題である。

ここに一枚のピンク・フロイド(Pink Floyd)"Animals"のUKオリジナル(Harvest SHVL 815)がある。


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外見上は、ファースト・プレスの特徴を備えている一枚である。
ワイド・スパインのジャケットに、厚紙のインナースリーブは四方がラウンド・カットで、取り出し口に切り込みがある。
マトも両面2Uだ。

しかし、このレコード、たいへん珍しい一枚なのである。
スタンパー刻印がどこにもないのだ。

「無知だなー。このアルバムにはスタンパー刻印のないオーレイク(Orlake)・プレスがあるんだよー。そりゃちょっとは珍しいかもしれないけど、『たいへん珍しい』というのは言いすぎだと思うなー」と思った貴方!

このアルバムにオーレイク・プレスがあることは、ボクも知っているのである。
しかし、ボクのもっているのはオーレイク・プレスではないのだ。


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ほらね。
どう見ても、オーレイク・プレスのレーベルじゃないでしょう?

オーレイク・プレスのレーベル形状を知らないという方は、Vernon Fitch氏による"The Pink Floyd Archives"というWEBサイトの関連ページで確認できるので、こちらをどうぞ。

http://www.pinkfloydarchives.com/DUKLPPF.htm#Anim2

で、このWEBサイトにも、スタンパー刻印のないバリエーションについては、オーレイク・プレスしか掲載されていない。
つまり、ボクの持っているレコードは、この膨大な情報量を誇るWEBサイトにも掲載されていないバリエーションなのである。
「たいへんに珍しい」というのも過言ではないでしょ?

このレコード、スタンパー刻印はないが、マザー刻印はある。
Side 1のマザーは3、Side 2のマザーは2で、通常の英EMIプレスと同様、メイン・マトの2Uを6時とすると9時か10時の位置に刻印されている。
レーベル形状的に言っても、限りなく英EMIプレスに近い。
しかし、繰り返すがスタンパー刻印がないのである。

しかも、このレコードには、とても大きな特徴がある。
盤面は塩ビ焼けの気配もなく美しいのに、盛大に歪むのである。
歪み方も塩ビ焼けのような歪み方ではなく、特定の帯域でバリバリと音割れするような歪みが盛大にのるのがずっと続く。
これはやはり塩ビ焼けではない(見た目、まったくくもりもないし)。
長いことレコードを聴いているが、こんな歪み方をするレコードはこれしか聴いたことがないので、原因は皆目見当がつかない。
スタンパー刻印もないことだし、何かプレス上の問題だと思うのだが、いずれにしろ、とても聴けた代物ではないのである。

ただ、SPU-GTで聴いたときは、歪みが多少緩和された。
なんだかその記憶がふっと甦って、同じく針圧の重い丸針カートリッジであるVNLだとどうなんだろう?と思い立ち、交換針Ⅲ針圧4.2gでかけてみたのだが・・・

歪まない!

あれほどバリバリいっていた歪みがすっかり消えて、ストレスなく両面聴き通してしまった。
これは非常にありがたい。

ためしに針圧を3.2gまで軽くすると、多少歪みっぽさが戻ってくるので、針先の形状だけでなく針圧も関係しているようだ。


歪みといえば、グリーンスレイド(Greenslade)のファースト・アルバムのUKオリジナル(Warner Bros. ‎K 46207)である。

詳しくは、ノイさんのWEBサイト(http://www.green.dti.ne.jp/ridingthescree/greenslade.html)を見ていただくとして、このレコードも歪む。
まぁ、うちの"Animals"みたいなひどい歪み方ではないが、カートリッジによってはかなり気になる歪み方だ。
多少ましに再生できるカートリッジもあるので、まぁ聴けないことはないレコードではあるのだが、これを交換針Ⅲ針圧4.2gのVNLでかけてみると・・・


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"Sundance"のイントロのピアノだって、まったく歪まないぞ!



歪みの拾い方がカートリッジによって大分違うというのは経験上わかってはいたが、ここまで違うことがあるというのは驚きだった。

アナログの奥深さをあらためて思い知らされた2021年1月最後の日曜日の午後なのであった。
ラベル:PINK FLOYD GREENSLADE
posted by 想也 at 16:49| Comment(0) | オーディオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月29日

HO調査は収穫ゼロ

『木綿のハンカチーフ』のスタンパー調査は、現時点ではまだ3件しかデータが集まっていない。
一家に一枚はあるレコードかと思ったのだが、そうでもないのか?
いや、とりあえず、土日を待つべきか。

そんなわけで、この土日にレコード棚から引っ張り出してくれる人がたくさんいることを祈りつつ、ボクも近所のHOまでスタンパー調査に出かけることにした。

近所のHOは、シングルについてはジャンクしか置いてない(必然的にジャンクの中に美品もあったりする 笑)ので、とにかくジャンク・コーナーを漁るしかない。

手を真っ黒にして漁ること1時間・・・

しかし、『木綿のハンカチーフ』のオリコン1位を阻んだ『およげ!たいやきくん』は5枚も見つかったのに、肝心の『木綿のハンカチーフ』は1枚も見つからない。

何故だー?

結局、自力のデータ収集はできなかったのであった。


調査の収穫はゼロだったが、釣果がゼロだったわけでもない。

『まごころ』(CBS SONY SOLL-119)を手に入れた。
太田裕美さんのファースト・アルバムである。


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帯はついてなかったが、8頁の歌詞ブックレット付だったし、盤面も綺麗だったので、収穫だった。
このレコード、聴いてみたかったのである。

マトはA2/B1だったが、あまり売れなかったレコードなので、A1/B1は存在しない気がする。
スタンパーも、Side 1が1 A 2で、Side 2が1 A 3と、ほとんどかわらないし。


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うん、スタンパーが若いと安心感がハンパないな。
これは、間違いなくファースト・プレスだろー(完全にビョーキだな 笑)。


しかし、A4の『雨の予感』て曲、なんだか凄く惹きこまれるな。
前に挿入されているクロスオーバーなインストがやたら良い音だし(笑)
ピアノの弾き語りとオーケストラが複雑に絡み合って、なんか不思議な曲だよねぇ。
この曲だけ(もちろんインストから)繰り返し聴いてしまったよ。
ラベル:太田裕美
posted by 想也 at 23:58| Comment(0) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月28日

カラクリが知りたい

最近、7インチを聴くのが楽しいので、いろいろ引っ張り出して聴いている。

ortofon VNLやSHURE M44-7は、昭和歌謡なんかも実に気持ちよく鳴らしてくれる。

ってことで、今日は、太田裕美『木綿のハンカチーフ』(CBS SONY SOLB-352)なんぞを引っ張り出してみたのだが・・・


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何故二枚あるのかはまったく覚えていないが、まぁ、当然スタンパーは違うだろうし、聴き比べてみるのもおもしろいかと送り溝をのぞいて、ボクは愕然とした(大袈裟だっちゅうの)。

マトは、どちらもA1/B1だったのだが、スタンパーときたら、一枚が1 A 81 / 1 B 55で、もう一枚が1 A 96 / 1 A 85である。

素直に読めば、最初の1は1しか見たことがないのでラッカーから1枚だけ作るマスターに便宜上ふられたナンバーだとして、マザーAから作成された81番目のスタンパーとマザーBから作成された55番目のスタンパーの組み合わせと、マザーAから作成された96番目のスタンパーとマザーAから作成された85番目のスタンパーの組み合わせである。

どっちも進みすぎだろー


とはいえ、聴いてみると、音はそんなにひどくない。
1 A 81 / 1 B 55のほうは微妙になまっている感じがする(音の輪郭が甘くなって立体感のバランスが少し崩れている)が、1 A 96 / 1 A 85のほうは、まぁ普通の音である。

あらためて、一番進んだスタンパー・ナンバーをしげしげと眺めてみる(笑)


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一般には1枚のラッカーから8枚のマザーを作ることができ、1枚のマザーからは8枚のスタンパーを作ることができると言われていると思う。
つまり、1枚ラッカーを切れば64枚のスタンパーができるわけだ。
もう少しがんばって100枚くらいのスタンパーは作れるかもしれない。

"96"という数字が、マザーごとの番号ではなく、通し番号だとしたら、まぁありえないことではなさそうだ。

しかし、CBS SONYの場合、1 B 1とか1 C 1とかいうスタンパーをよく見るので、通し番号ではないと思う。
だとしたら、やっぱりマザーAから96枚もスタンバーを作ったってことか?
いやぁ、さすがにそれは品質管理上問題ありだろー

何かカラクリがあるはずである。

そのカラクリが知りたい。

あなたのうちにある『木綿のハンカチーフ』のスタンパーはどうなってますか?
ラベル:太田裕美
posted by 想也 at 23:47| Comment(8) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする