2021年02月28日

キリンのスティルス

<ちょっと思いついたことがあったので、最後に少しだけ追記しました。>

BLUE NOTE 1527の「ハトのサド・ジョーンズ」みたいに、「キリンのスティルス」なんて言うのかしらん?と思って検索してみたが、ドンピシャでひっかかったものはなかった(笑)

それにしても雪の中にピンクのキリンのぬいぐるみって意味不明すぎるだろーのスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)・ファースト・アルバムである。


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聴きどころ満載の大名盤だが、内容についての話は検索すれば的確な評価がいくらでもひっかかるのでボクなんぞが出る幕ではない。

ボクがあえて記事にするのは、アナログ・コレクター的にひっかかるところがあるからだ。


さすがスティルス、このレコードは、出すやいなや売れた。
US盤(Atlantic SD 7202)は1970年11月16日にリリースされたのだが、わずか8日後の11月24日にはRIAAにゴールド認定されている。
ってことで、このUSオリジナル、ほとんどあの金ステッカーが貼ってある。

まぁ、でも、ゴールド認定されるまでにも相当数がプレスされているので、ステッカーのないオリジナルも特に珍しくはない。

ボクの持っているものにはステッカーが貼ってないが、どうやら、元の所有者は1970年12月26日に手に入れたようだ。


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12月26日だったら、すでにステッカーが貼ってありそうだが、アメリカ人なら"DEC. 26, 1970"と書くだろうから、書いたのはおそらく日本人で、つまり、アメリカから輸入して12月26日に手に入れたんだと思う。
1970年当時、発売と同時に発送してもらっても、ひと月半くらいはかかったんだろう。
(船便はもっとかかるだろうから、今でいうSAL便みたいなものかな? 普通の航空便は高くて使えなかっただろうし。)

ってことで、もちろん、レーベルはBroadwayアドレスである。


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MOなので、ロサンジェルスのモナーク工場でプレスされたものだ。


前置きはこのぐらいにして(前置きだったんかーい 笑)、本題に入ろう。

このレコード、マスタリング&カッティングはカリフォルニアのArtisan Sound Recordersで行われているので、送り溝にそれを示す刻印があるのだが・・・


20210228-4.jpg


その隣にaBという刻印もある。
Discogsによると、このaB、アトランティック・スタジオのマスタリング・エンジニアだったAl Brownのサインらしい。

Discogsでは、マスタリングがArtisan Sound Recordersで、カッティングがアトランティック・スタジオのAl Brownとなっていて、一見矛盾がなさそうだが、いや、1970年時点で、マスタリングのみでカッティングはやらないってことはなかったんじゃ?

だいたい、送り溝にあるArtisan Sound Recordersのマークの刻印て、ラッカーに刻印されたものでしょ?
どう考えても、Artisan Sound Recordersでカッティングまでやってるでしょ。

これと同じパターンて、Led Zeppelin IVにもあったよねぇ。
マスタリング&カッティングはペカム(George Peckham)でPorky刻印があって、AT/GPというGeorge Pirosのサインもあるってパターン。

これは、どう考えりゃいいんでしょうね?

アトランティックって日本のJIS規格みたいな規格があって、外部カッティングの場合は、アトランティック・スタジオのエンジニアが規格適合を判断する手続が必要で、スティルスのaBやZep IVのAT/GPはその承認サインみたいなもんなのかな?なーんて考えていたのだが、どうなんでしょ?

記事をアップした後、ふっと思いついたのだが、LED ZEPPELIN IIでラディック(Bob Ludwig)が無茶なカッティングやったんで、懲りたアトランティックは、外部カッティングであぶなそうなやつは、内部チェックをするようにした、なんて仮説はどうだろう?
ちょっとありそうな話じゃないだろうか?
ラベル:STEPHEN STILLS
posted by 想也 at 23:45| Comment(2) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月27日

HEROを探せ


     ♪ でも ヒーローになりたい
     ♪ ただ一人 君にとっての


ヒーローになりたかったんだけどなー
叶わなかったな・・・

って、HEROと言ってもミスチルの話じゃないんである。
ミスチルも大好きだし、『HERO』は弾き語りのレパートリーに入ってたりもするが、今日はこちらのHEROの話だ。


20210227-1.jpg


     ♪ HERO ヒーローになる時 Ah Ha それは今
     ♪ HERO 引き裂かれた夜に お前を離しはしない


甲斐バンドの『HERO(ヒーローになる時、それは今)』(EXPRESS/東芝EMI ETP-10523)である。

この曲がヒットした1979年初頭、中学生だったボクは、子供時代に憧れたヒーローとは違う意味のヒーローを思い描いて、ギターを抱えながら、この歌の主人公になりきったのであった。

そうです。
ただのナルちゃんです(笑)

まぁ、そんな恥ずかしい記憶も、いまとなってはもはや愛おしい。
ってことで、このレコードの初回プレスを探している。

しかし、この初回プレスもまた、寺尾聡さんの『ルビーの指環』同様に、見つけ方は簡単でも、見つけるのはとても難しい。

まぁ、発売日前のプレスなら初回プレスだとすれば、それほど難しくはない。
このレコードは1978年12月20日リリースなので、78年12月プレスでよければそこそこ見つかる。

79年1月1日から放送されたSEIKOのCMソングに起用されたことがきっかけで爆発的にヒットしたので、79年1月プレスや2月プレスも多いには多いが(オリコンの週間シングルチャートで1位を獲得したのは1979年2月26日―3月5日付とのこと)、楽曲のクオリティとCMタイアップを考えれば、当初からある程度のヒットは見込まれたので、78年12月段階で相当にプレスされたのだと思われる。

Cal De Rさんの調査(下記記事をごらんください)によれば、SEIKOとのタイアップで作られた見開きの別ジャケ盤も78年12月プレスのようだ(このSEIKO盤は、ただいま到着待ちなので、到着したらまた報告することにします)。

https://ameblo.jp/caldermusic/entry-12370570104.html


また、手許の一枚も、78年12月プレスである。


20210227-2.jpg
(PM8-Zは78年12月プレスをあらわす。)



このレコードのマトは、次の通り。

ETP-10523-A 2S 30
ETP-10523-B 1S2 7

スタンパーがちょっと進んでいる。
それもあって、78年11月プレス(PM8-Y)を探しているのだが、なかなか見つからない。
できれば見本盤が欲しいのだが、タイミングが悪いらしく、ボクがヤフオクで検索をかけたときにはひっかかったためしがない。
このレコードの見本盤には縁がないのかもしれない。

見本盤には縁がないかもしれないが、ビクター委託プレス盤には縁があった。
探すのが超面倒なので、半分諦めていたのだが、見つかるときには簡単にさくっと見つかるもんである。


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いやぁ、青のEXPRESS/東芝EMIレーベルで半透明って萌えるなぁ(笑)

へ?わからない?
そうですね。
それで正常です(笑)

ちなみにビクター委託プレスの送り溝はこうなっている。


20210227-4.jpg


マトの詳細は、次の通り。

ETP-10523-A 2S4 ** B
ETP-10523-B 1S3 C **

B面のCはスタンパーに打たれた刻印のようなのだが、東芝EMIの数字刻印より大きいし、打たれている位置も3のすぐ横で、東芝EMIプレスでスタンパーナンバーが打たれる位置ではない。
ということで何を意味しているのかわからないのだが、見えたままCとしておく(6の可能性もあるが、ルーペで確認してもCにしか見えない)。

A面のBはビクターのPMだとすると、79年2月プレスということになる。
(ビクターのPMについては、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2020-08-31をどうぞ)
オリコン週間チャート1位に駆け上がっていく時期のプレスである。
自社生産だけではとても間に合わなかったのだろう。

と思ったら、Cal De Rさんのところに出ているビクター委託プレスのPMはXだ(その後のVはビクタープレスをあらわすもので、うちのにもある)。

https://ameblo.jp/caldermusic/entry-12370812517.html

これは78年12月プレスをあらわす。

そっかぁ、12月から委託してたかー
レコード会社としては、もう絶対に大ヒットするって確信してたのね。
ラベル:甲斐バンド
posted by 想也 at 17:53| Comment(6) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月26日

15周年

コリーヌ・ベイリー・レイ(Corinne Bailey Rae)のファースト・アルバムが、2月24日でリリース15周年を迎えたらしい。

もう15年になるのかー

このアルバムはアナログ化して欲しいなぁと思っていたのだが、念のため調べてみると、当時アナログも出てたのね・・・

ボクが彼女のことを知ったのはセカンド・アルバムの"The Sea"が出たときで、それからファースト・アルバムに遡って聴いたので、全然知らなかったよ。
いや、でも、"The Sea"のアナログが出てるのも知らなかったから、当時は、新譜をアナログで買おうという意識がなかったのか・・・

しかし、Discogsの出品を見ると、VG+/VG+で400ドル、M/NMで1000ドルの二点のみ(しかも、なぜだかどちらも出品は日本から)。

買えねーよ!(ぐすん)


セカンドから遡って聴いたボクが持っている彼女のファースト・アルバムは、この2CD+DVDの三枚組だ。


20210225.jpg


おとなしくこれを聴いて、ひたすらアナログ再発を祈るのである。





アルバムの冒頭を飾る名曲"Like a Star"。
いまだにボクの「おやすみプレイリスト」(ベッドの中で眠りにつくまで聴くプレイリスト)に入っている。
ラベル:CORINNE BAILEY RAE
posted by 想也 at 18:01| Comment(0) | Corinne Bailey Rae | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする