BLUE NOTE 1527の「ハトのサド・ジョーンズ」みたいに、「キリンのスティルス」なんて言うのかしらん?と思って検索してみたが、ドンピシャでひっかかったものはなかった(笑)
それにしても雪の中にピンクのキリンのぬいぐるみって意味不明すぎるだろーのスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)・ファースト・アルバムである。

聴きどころ満載の大名盤だが、内容についての話は検索すれば的確な評価がいくらでもひっかかるのでボクなんぞが出る幕ではない。
ボクがあえて記事にするのは、アナログ・コレクター的にひっかかるところがあるからだ。
さすがスティルス、このレコードは、出すやいなや売れた。
US盤(Atlantic SD 7202)は1970年11月16日にリリースされたのだが、わずか8日後の11月24日にはRIAAにゴールド認定されている。
ってことで、このUSオリジナル、ほとんどあの金ステッカーが貼ってある。
まぁ、でも、ゴールド認定されるまでにも相当数がプレスされているので、ステッカーのないオリジナルも特に珍しくはない。
ボクの持っているものにはステッカーが貼ってないが、どうやら、元の所有者は1970年12月26日に手に入れたようだ。

12月26日だったら、すでにステッカーが貼ってありそうだが、アメリカ人なら"DEC. 26, 1970"と書くだろうから、書いたのはおそらく日本人で、つまり、アメリカから輸入して12月26日に手に入れたんだと思う。
1970年当時、発売と同時に発送してもらっても、ひと月半くらいはかかったんだろう。
(船便はもっとかかるだろうから、今でいうSAL便みたいなものかな? 普通の航空便は高くて使えなかっただろうし。)
ってことで、もちろん、レーベルはBroadwayアドレスである。

MOなので、ロサンジェルスのモナーク工場でプレスされたものだ。
前置きはこのぐらいにして(前置きだったんかーい 笑)、本題に入ろう。
このレコード、マスタリング&カッティングはカリフォルニアのArtisan Sound Recordersで行われているので、送り溝にそれを示す刻印があるのだが・・・

その隣にaBという刻印もある。
Discogsによると、このaB、アトランティック・スタジオのマスタリング・エンジニアだったAl Brownのサインらしい。
Discogsでは、マスタリングがArtisan Sound Recordersで、カッティングがアトランティック・スタジオのAl Brownとなっていて、一見矛盾がなさそうだが、いや、1970年時点で、マスタリングのみでカッティングはやらないってことはなかったんじゃ?
だいたい、送り溝にあるArtisan Sound Recordersのマークの刻印て、ラッカーに刻印されたものでしょ?
どう考えても、Artisan Sound Recordersでカッティングまでやってるでしょ。
これと同じパターンて、Led Zeppelin IVにもあったよねぇ。
マスタリング&カッティングはペカム(George Peckham)でPorky刻印があって、AT/GPというGeorge Pirosのサインもあるってパターン。
これは、どう考えりゃいいんでしょうね?
アトランティックって日本のJIS規格みたいな規格があって、外部カッティングの場合は、アトランティック・スタジオのエンジニアが規格適合を判断する手続が必要で、スティルスのaBやZep IVのAT/GPはその承認サインみたいなもんなのかな?なーんて考えていたのだが、どうなんでしょ?
記事をアップした後、ふっと思いついたのだが、LED ZEPPELIN IIでラディック(Bob Ludwig)が無茶なカッティングやったんで、懲りたアトランティックは、外部カッティングであぶなそうなやつは、内部チェックをするようにした、なんて仮説はどうだろう?
ちょっとありそうな話じゃないだろうか?
ラベル:STEPHEN STILLS