2021年02月25日

美狂乱

<urbantango82さんから貴重な情報を得て、記事内容を修正する必要が生じたので、修正&追記しました。>(2021年2月25日13:00)


ボクのTLに、このレコードを聴いているというしながうさんのツイートが流れてきたので、ボクも引っ張り出して聴いている。
(プロデューサーのチト河内さんのお誕生日らしい。)


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美狂乱のファースト・アルバム『美狂乱』(King Records ‎Nexus K28P-287)である。

キング・クリムゾン(King Crimson)に和の要素を融合させたミステリアスな内容は、唯一無二だと思う。
ボクは、たぶん、キング・クリムゾンと同じくらいターンテーブルに載せている。


このレコードについては、すでに見本盤を入手しているので、これ以上掘る必要はない。


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マトは、SILBT 11451-1/SILBT 11452-2で、Side 2の末尾が2なのが気になったので、同じく見本盤を聴かれていたしながうさんに確認したところ、やはり末尾は2だという。

もっとも、この末尾、ラッカー・ナンバーではないと思う。
Side 2の末尾2のほうは写真に撮るとわかりにくいので、Side 1の末尾1のほうを撮ってみたが、これはやはりスタンパー・ナンバーではないだろうか?


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さて、この見本盤はキング・レコードのカッティングなのだが、Discogsを見るとビクター・カッティングということになっている。
マトも111AC/111ということなので、ビクター・カッティングのビクター・プレスで間違いなさそうだ。
ってことは、追加プレスは全面的にビクターに委託したのね。

urbantango82さんから寄せられた情報によると、キング・レコードはどうやら84年頃から自社カッティング&プレスをやめて、ビクターに委託するようになったようだ。
つまり、84年以降にリリースされたものについてはビクター・カッティング&プレス、それ以前にリリースされたものについては、キング・カッティング時代のマザーかスタンパーを受け継いで、ビクターでプレスが行われたということらしい。

ってことは、Discogs掲載の『美狂乱』については、ビクター・カッティング&プレスではなく、キング時代のマザーかスタンパーを受け継いで、プレスのみビクターで行われた可能性が高い。
しかも、ACというのがPMだとすると、85年1月に使用されたスタンパーが、同年3月に再度使用されたものということになる。


大好きなアルバムなので、なんだかビクター・カッティング盤も聴いてみたくなってしまったのでありました。

結局、ビクター・プレスは、キング時代のマザーかスタンパーを使いまわした単なる再発っぽいので、一気に興味はなくなったのでありました(笑)
もっとも、まだ裏付けはとれてないので、『美狂乱』のビクター・プレスをお持ちの方は情報をご提供いただけるとうれしいです。
ラベル:美狂乱
posted by 想也 at 12:57| Comment(0) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月23日

CSの迷宮~太田裕美『木綿のハンカチーフ』

太田裕美『木綿のハンカチーフ』のスタンパー情報は、その後、さっぱり集まってこない。
もう少し集まれば何か見えてきそうな気もするので、自分でも少し買ってみたのだが、そしたらこんなになってしまった。


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もう買いたくない~(笑)

って、まぁ、スタンパー情報だけが目的で買ったわけではないのである。

ノイさんが「中古レコードのタチバナ」さんに取材に行って手に入れた情報は、スタンパー情報だけではなかった。
CSが三種類あり、そのうち「ヒット全曲集」CSに入っていたものが、スタンパーも若く、ダントツで音も良かった、という情報もあった。
つまり、CSが初回盤を探す手がかりになる可能性がある。

それからもうひとつ、このブログの記事にコメントを寄せてくれたいまさんから、CBS SONYのCSには製造年月のようなものが印刷されているとの指摘があった。
まったく気づいていなかったが、確認すると確かにある。
これで、CSが初回盤を探す手がかりになる可能性がさらに高まった。

そんなわけで、CSを手掛かりに、何枚か『木綿のハンカチーフ』を買ってみたのである。


では、『木綿のハンカチーフ』のCSについて情報を整理してみよう。

ノイさんが「中古レコードのタチバナ」さんで確認したものの中で、もっともレイトだと思われるCSは、この白いCSだった。


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もちろん、ボクが持っているこの白いCSは『木綿のハンカチーフ』が入っていたものではない。
これには、山口百恵『横須賀ストーリー』が入っていた。
1976年6月21日にリリースされたシングルだ。

で、このCSの製造年月のようなものは、このようになっている。


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M272が何を意味するのかわからないが、その後の7603 YSは、(YSの部分は謎だが)76年3月だとすると辻褄があう。
もっとも、この(M272)7603 YSと記載されている白いCSは80年代になっても使われているので、7603というのも、英DECCAのCSのような製造年月を示すものではなさそうだ。

では、この(M272)7603 YS、何を示しているのだろうか?
ボクは、この白いタイプのCSの型番号のようなもので、使用開始年月が型番号に埋め込まれているんじゃないかと思うのだがどうだろう?
少なくとも製造年月ではなさそうなので、とりあえず型番号と呼ぶことにしよう。


『木綿のハンカチーフ』に一番多いCSは、この青いCSだと思う。


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このCSの型番号はこうなっている。


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(M26)75 7 YSである。
75 7が75年7月であって使用開始年月を示しているとすると、『木綿のハンカチーフ』のリリースは75年12月21日だから、初回盤にもこのCSが使われていた可能性はある。
しかし、「ヒット全曲集」CSが初回盤に使用されたとすると、青の汎用CSは使用が停止されていた可能性もある。

ってことで、「ヒット全曲集」CSがいつから使用されたのかということが問題だ。

では、「ヒット全曲集」CSを確認しよう。


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しかし、このCSには年月に該当するようなものは印刷されていない。


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汎用CSとは異なり、このように(M246)だけなのである。
つまり、手がかりは、この「ヒット全曲集」が発売されたのが1975年11月1日だということしかないわけだ。

まぁ、でも、普通に考えれば、こういうCSは発売予告のために使用されるものだろう。
そうだとすれば、1975年9月遅くとも10月には使用が開始されたと考えられる。
ちょっと調べてみると、山口百恵『ささやかな欲望』(1975年9月21日発売)が、きわめて高確率で「ヒット全曲集」CSだ(ヤフオクで検索してチェック)。
やはり、「ヒット全曲集」CSは、1975年9月から使用されたことは間違いなさそうだ。
そうだとすると、『木綿のハンカチーフ』初回盤のCSは、やはり「ヒット全曲集」CSだということになる。

これでもうCSについては決着がついた気がしていたのだが、ヤフオクの出品を見ていると、緑のCSなのに「ヒット全曲集」CSではないものが付属しているものがあるのだ。

実は、青のCSの前の汎用CSは緑だった。
たとえば、太田裕美『雨だれ』(1974年11月1日発売)は、こんなCSだ。


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このCSの型番号は、こうなっている。


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(M26) 7402 KYである。
M26とKYが謎だが、7402が74年2月を意味しているとすると、このCSが『雨だれ』に使用されているのは辻褄が合うが、『木綿のハンカチーフ』に使用されているのは不可解である。
すでに75年7月には青いCSに切り替わっているはずだからである。

最初の一枚を見つけたときは、単に、どっかで入れ替わったんだろうという程度にしか思っていなかった。
しかし、もう一枚見つけると不安になってきた。
さらにもう一枚見つけたときには、即決だったこともあり、思わず落札ボタンを押してしまっていた・・・


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『雨だれ』のCSよりは少しくすんだ色だが、これは単に汚れとか経年劣化とかのせいか、そうでなくても個体差にすぎないだろうと思った。

しかし・・・


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へ?
(M26)75 7 YS?

そう、『雨だれ』のCSとではなく、青い汎用CSの方とまったく同じ型番号なのである。

これはいったいどういうことなんだろう?


中に入っていたレコードのスタンパーを見てみよう。

すでに報告したように、最初に買った「ヒット全曲集」CS付きはA2/B1というマト2盤だった。
2枚目に買った「ヒット全曲集」CS付きは、A1/B1のマト1盤で、スタンパーは、Side 1が1A7、Side 2が1A13だった。
そして緑の汎用CS付きは、なんと、A1/B1のマト1盤で、スタンパーは、Side 1が1A7、Side 2が1A13、つまり、2枚目に買った「ヒット全曲集」CS付きとまったく同じスタンパーだったのである。
スタンパーが同じだけあって、音のほうも、大きな差はない。

これでは、まったく前後関係が推測できない。
ってことで、CSの迷宮に入り込んでしまったのである。

果たしてこの迷宮から抜け出せる日は来るのだろうか?
ラベル:太田裕美
posted by 想也 at 21:16| Comment(8) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月22日

Cheap Trick at BudokanのUSオリジナル

タイムフリーで草野マサムネさんのロック大陸漫遊記@TOKYO FMを聴いた。
今週は、草野さんがもっとも影響を受けたという【70年代チープ・トリックで漫遊記】だ。
ボクも、70年代チープ・トリックならよく知っている。
80年代以降のチープ・トリックはほとんど知らないが。

漫遊前の一曲は、「いろんな人から、これって元ネタ、チープ・トリックだよね?」と言われたという『エスカルゴ』。
仮タイトルも「ザンダー」だったそうで(笑)

で、漫遊した「70年代チープ・トリック」は、以下の通り。

Way Of The World ー Dream Police (1979)
Surrender ー Heaven Tonight (1978)(邦題『天国の罠』)
Clock Strikes Ten(邦題『今夜は帰さない』)― In Color (1977)(邦題『蒼ざめたハイウェイ 』)
I Want You To Want Me (邦題『甘い罠』)― In Color (1977) 
Such a Good Girl ― The Epic Archive Vol.2
He's a Whore ― Cheap Trick (1977)

草野さん、『甘い罠』をかけたあたりで、自分の青春を形作ったと言っても過言ではない人として、「当時のMUSIC LIFE誌編集長、東郷かおる子さん、それから、ソニーの当時の洋楽ディレクター、中野規雄さん」と言ってたけど、後者は野中規雄さんでっせ(笑)

野中さんと言えば、『チープ・トリック at 武道館』をめぐるインタビューは実に興味深い。

[前編]https://www.110107.com/s/oto/diary/detail/3136?ima=4838&cd=rensai
[後編]https://www.110107.com/s/oto/diary/detail/3161?ima=1305&cd=rensai

読んでると猛烈に聴きたくなるよね。

このライブ・アルバムは、日本先行というか、最初は日本限定リリースだったのが、野中さんのインタビューにも出てくるように、海外でも評判になって国内売上と同じくらい輸出され、ついにはアメリカ本国でもリリースされるに至ったということのようだ。

ってことは、このレコードのオリジナルは日本盤ということになる。

が、ボクは、US盤(Epic FE 35795)しか持っていない。


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(ジャケットと12頁ブックレット)



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(US初回盤はオレンジ・レーベル)



US盤にも12頁ブックレットが付属しているが、日本盤についていたものと同じである(日本盤のカタログ番号まで入っている)。
日本盤と同じ帯までついていたようだ(ボクのにはついてないけど)。
つまりは、どう考えても、日本盤がオリジナルである(笑)

しかし、日本盤は独自カッティングなのである。
US盤のカッティングはSTERLINGでGreg Calbiによって行われている。


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(STERLING刻印とGreg CalbiのサインであるGC)



そして、ボクは、このUS盤の音が大好きなのだ(マトは両面1Eのサンタマリア・プレス)。

ボリュームをぐーんとあげれば、ビートルズへの熱狂を思わせる女性の激しい歓声とともに、重くて分厚い音が飛び出してくる。
「良い音か?」はよくわからないが、ライブの熱さがリアルに伝わってくる音だ。
音圧にクラクラしながら陶酔するのである(笑)
ラベル:Cheap Trick
posted by 想也 at 02:18| Comment(0) | STERLINGの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする