前の記事で、キャロル・キング(Carole King)『つづれおり』(Tapestry)の日本盤(なお、帯は「つずれおり」という誤表記になっていたようで、後に内ジャケの表記も含めて「つづれ織り」に変更されるが、詳しい変遷についてはよく知らない。)について、「レイトの送り溝を見ると、SALBT 215(またはSALBT 216)のあとにB~Dがついているようで、それがラッカー・ナンバーっぽい。/つまり、アルファベットがないのが初回カッティングで、二回目のカッティングにB、三回目にC、四回目にDとふっていったようだ。」と書いたのだが、「兄さん、そのアルファベットは、ラッカー・ナンバーじゃなくて、マザー・ナンバーでないかい?」という疑問を持った方もいるのではないかと、夕べ風呂に入っているときに、ふっと思った。
まぁ、実際には、そんなことを気にする人は、たったの一人もいなかったかもしれないが(笑)
ただ、考えてみると、あのアルファベットは、そう簡単にラッカー・ナンバーだと断定できない。
むしろ、マザー・ナンバーだと推測するほうが素直かもしれない。
では、どうしてボクは、ラッカー・ナンバーだと推測したんだろう?
すっかり忘れていたが、昔、初回盤とアルファベットが追加された再発盤を比較して、その音の違いから、カッティングをやりなおしていると判断したことを思い出した。
「兄さんの耳と記憶なんて、あてになりまへんなぁ。」って声も聴こえてきそうなので(笑)、押し入れの奥から、再発盤を引っ張り出してきた。

奥が初回盤(キング・レコード ODE AML-96)で、手前が再発盤(キング・レコード GP-256)だ。
どちらもテクスチャー加工されたジャケットだが、再発盤のほうは経年劣化してもまったく毛羽立ちそうにない(笑)
ちなみに、再発盤も8頁ブックレット形式になっているが、テクスチャー加工されているのは表裏の表紙だけだ。
レーベルは、USオリジナルのODEレーベル(初回のODE70ではなく、70がとれてODEのみになったレイトのレーベル)を模したもの(細かく見ると違うところがいろいろある)に変更されている。

さて、では、肝心のマトだが、初回盤と再発盤の送り溝を比較してみよう。
ボクの持っている初回盤のマトは、前の記事にも書いた通り、SALBT 215-5/SALBT 216-4だ。
再発盤のほうは、SALBT 215 D-5/SALBT 216 D-12だった。
アルファベット無しとアルファベットD付がラッカー違いであることを、Side 1の送り溝で確認することにしよう。


マトの前にあるのが、初回盤ではJISマーク、再発盤では小さな〇になっているので、それだけでもラッカー違いであることがわかるが、もうひとつ、マトと音溝との距離にも違いがある。
初回盤の音溝とマトとの距離よりも、D付再発盤の音溝とマトとの距離のほうが長い。
明らかに違うラッカーなのである。
ってことで、マトのアルファベットは、マザー・ナンバーじゃないョ。