「思いがけないVISITORS」と言っても、「まったく予想もしなかった来客があってムネがドキドキした」なーんて話ではない。
突然、昔愛した女性そっくりの女の子が現れて「あなたの娘です。」と告げられた、なーてドラマみたいな展開があったら嬉しいけど、品行方正だったボクには、あいにくまったく身に覚えがないのである(笑)
ボクにふさわしいのは、そんな色気のある話とはほど遠い、アナログ・レコードの話だ。
『VISITORS』(CBS/SONY 28・3H-123)といえば、佐野元春さんが1984年にリリースした4枚目のアルバムである。
当時はヒップホップなんてまったく知らなかったから、初めて聴いたときには、「なんだこれは?」と目が点になった。
しかし、新しいものを貪欲に取り入れて進化していくのは、いかにも佐野さんらしい。
まぁ、それでも、ボクにとっては愛聴盤になることはなかった一枚なのだが、ボブ・ラディック(Bob Ludwig)がマスタリングしているので(ただし、送り溝にMASTERDISK刻印はあるもののRLのサインがないので、ラディック本人がカッティングしているのではないようだ)、見本盤が欲しいとは思っていた。
で、今回、見本盤を入手することができた。

これで、うちにある『VISITORS』は二枚になったのだが、今回手に入れた見本盤、ボクにはまったく思いがけないものだったのである。

なんとスタンパーがまったく同じだったのである。
送り溝に刻まれた情報は、もともと持っていた通常盤も今回手に入れた見本盤も、まったく同じで、下記のようなものだった(Bのみ手書きでカッティング・エンジニアのイニシャルを推測させるが詳細は不明)。
28-3H-123 A1 1 D 1 B MASTERDISK
28-3H-123 B1 1 E 5 B MASTERDISK
では、まったく同じ音だったかというと、やはり見本盤の方が良かった。
スタンパーが摩耗してない感じだ。
たまたま手許にある二枚の比較なので断定はできないのだが、見本盤プレス用には未使用のスタンパーが用意されるが、スタンパーがダメになるほど見本盤がプレスされることはないので、その後、通常盤のプレスの方にまわされる、ってことなんじゃないかと思う。
それにしても、手持ちの通常盤とまったく同じスタンパーでプレスされた見本盤が届くとは、思いがけなかったなぁ。