2021年09月27日

この声で

室田夏海ちゃんが2年以上前に作った『この声で』という弾き語りのミニ・アルバムがあるというので買ってみた。


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各曲に秀逸なアレンジが施された『そばにいなくても かわらないものがある』も素晴らしいが、ボクは、弾き語りには特別に惹かれるものがあるのだ。
まぁ、自分がやっていたということが大きいのだが(笑)

このミニ・アルバム、サブスクには置いてないし、収録楽曲も『そばにいなくても かわらないものがある』とは『もや』しか重なりがない(まぁ重なっててもアレンジ・バージョンと弾き語りバージョンじゃ全然違うからいいんだけど)し、たった500円だし、これはもう買うしかないじゃないか。

YouTubeにトレーラーが置いてあるので、貼り付けておこう。





あと、ラストにおさめられた『ただいま』という曲がリード曲だったらしく、MVも作られている。





やっぱり、弾き語りは沁みるよねぇ。


     ♪ あちこちに散らばった思い出を集めて
     ♪ あの日に帰ろう あの日に帰ろう


あの日に帰って、ボクもまた、ギターをひっぱり出そうかなぁ。
ラベル:室田夏海
posted by 想也 at 00:00| Comment(0) | 室田夏海 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月26日

新たな情況証拠発見

「RI工場はいつアトランティックのメイン工場になったのか?」という昨日の記事では、RI工場がアトランティックのメイン工場になった時点で三連アルファベット・マトが現れるとすると、それは1971年6月頃なんじゃないか、というのが一応の仮説だった。

情況証拠は、オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)の”At Fillmore East"とELPの"Tarkus"だけだったので、他に何かないかなぁと考えていたら、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)が思い浮かんだ。

アトランティックといえば、アレサである。

調査内容的にリリース年月日がわからないと役に立たないのだが、70年代初頭にリリースされたアルバムのリリース年月日となると、よほどのビックネームでなければ、簡単にはわからない。
アレサなら、わかりそうじゃないか。

で、早速、1971年6月頃にリリースされたアレサのレコードがないかと探してみると、5月19日に”Aretha Live at Fillmore West”がリリースされているじゃないか。

ビンゴ!

前にもちょっと書いたことがあるが、ボクがソウル系の音楽を聴くようになったのはCD時代に入ってからなので、レコードはほとんど持っていない。

アレサが亡くなった3年ほど前に、ボチボチとエイジド感のあるやつを安く見つけて集めようと思い立ったのだが、その後コロナ禍で思うようにレコード屋に行けなかったので、ほとんど増えていない。

ってことで、アレサのレコードはうちの棚にはほとんどないので、Discogsで調査したのだが、さすがアレサである。
RI工場プレスの初回盤の情報がしっかり登録されていた。

その登録情報によると、RI工場プレスの初回盤のマトは末尾C/D(Side 1がCでSide 2がDの意味)で、三連アルファベット・マトではない(kaori EさんがWLPをお持ちだったので、現物で確認させていただいた。間違いなく三連マトではなかった)
6月頃に三連アルファベット・マトが登場するのなら、5月19日リリースのこのレコードの初回盤は、当然三連アルファベット・マトでなくてよい。

興味深かったのは、なぜかSide 2の情報だけだが、FFFというマト末尾情報が登録されていたことだ。
これは、おそらく、追加プレスのためにFマトの追加カッティングが行われたが、その時点ではすでにRI工場はアトランティックのメイン工場になっていて、三連アルファベット・マトになっていたということだろう。

ってことで、1971年6月説の情況証拠が一つ追加されたのでありました。

このライブ・アルバムは名盤だし、ぜひUSオリジナルが欲しいが、初回盤を探すならマト末尾C/Dのを探さないといけないってことよね。
あっ、でも、RI工場プレスじゃなくて、PR工場プレスとかMO工場プレスを探したほうがいいのか(笑)

曇り空の広がる日曜の午後、せっかくなので、CDを引っ張り出して聴いてみる。


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うん。
実に良いライブ・アルバムだ。

ボックスに入っているのは、二枚組のデラックス・エディションなので、音源的には二倍楽しめるのだが、やっぱりこのアルバムはアナログで聴きたいなぁ。



(画像をクリックするとAmazonにとびます。)
ラベル:Aretha Franklin
posted by 想也 at 14:19| Comment(0) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月25日

RI工場はいつアトランティックのメイン工場になったのか?

一昨日、ちょっと時間を作って、近所のハードオフを2軒とブックオフを1軒まわってきた。
風の『windless blue』にB面マト1の盤があると聴いて、探しに行ったのである。
ジャンクコーナーを漁れば、1軒あたり3~4枚、合計10枚以上は見つかると思ってでかけたのだが、見つかったのはたった1枚だった。
しかも、B面のマトは3。
マト3まであるんかーい!

結局『windless blue』については収穫なしだったのだが、ジャンクコーナーで2枚ばかり拾ってきたものがある。
そのうちの1枚がこれだ。


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エマーソン・レイク・アンド・パーマー (Emerson, Lake & Palmer)が1970年11月にリリースしたファースト・アルバムのこれはUSオリジナルになる。
USオリジナルのリリースは2か月遅れの1971年1月だったようだ。

日本盤を卒業するときにUKオリジナルを買ってしまったので、USオリジナルに食指が動いたことは一度もないのだが、110円で聴けるなら、とりあえず聴いてみたくなるよね(笑)

ジャンクコーナーに転がっているだけあって、ジャケだけでなく盤もボロくて、かなりチリパチが聴こえるが、静かなところ以外ではそんなに気にならない。

音の方は、UKオリジナルのほうが鮮度的にもマスタリング的にも上だと思うが、USオリジナルも決して悪くない。
いまの中古市場の価格差を考えたら、これで十分なんじゃないかと思ったりもした。

とはいえ、ボクはUKオリジナルで聴くので、いらないといえばいらないレコードなのだが、しかし、このレコードは、別の意味で貴重なレコードなのだ。
実は、このレコードのおかげで、誤った思い込みをしていたことに気づいたのである。

レーベルを見てみよう。


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下部にST-CTN-702073 RIと印刷されていて、RI工場でプレスされたものであることがわかる。

RIは、通常、インディアナ州リッチモンドのPRC Recording Companyを意味するものと考えられているが、ここは元はMercuryの工場で、PRC Recording Companyという名称になるのは1972年4月である(1972年12月という説もある)。

だから、ボクは、RIという略称が用いられるようになったのは1972年4月からだと思い込んでいた。
で、アトランティックの中部メイン工場として利用されるようになるのも、この頃からだと思い込んでいた。

そうだとすると、このレコードは1971年1月リリースだから、ボクが手に入れたRI工場プレスの盤はリリースから1年以上経ったあとにプレスされた相当なレイト盤ということになる。
まぁ、ジャンクだからいいんだけど(笑)

でも、なんとなくあれこれDiscogs上の情報を見ていたら、おかしなことに気づいた。
1972年4月以前にリリースされた盤にもRI工場プレスは普通に存在するのだ。
最初は、それは全部、1972年4月以降のレイト・プレスだろうと思ったのだが、それにしちゃ、普通にありすぎる。
そこでようやく、ハッと気づいた。

オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)”At Fillmore East”のUSオリジナル初回盤にもRI工場プレスがあるじゃん!
"At Fillmore East"は1971年7月リリースだ。

誤った思い込みに気づいてあらためて調べてみると、1970年6月までがMercury Record Manufacturing Company、1970年6月から1972年4月までがPhilips Recording Company, Inc.、1972年4月からがPRC Recording Companyという名称になるらしい。

RIの略称の前の略称がMEだったとすると(このあたりの話は、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2018-07-17をどうぞ。今回の記事に合わせて修正してあります。)、それは1970年6月までで、すでに1970年6月のPhilips Recording Company, Inc.への名称変更の時点で、RIの略称が使われるようになったんだと思われる。
これで、全部辻褄があう。

では、アトランティックの中部メイン工場として利用されるようになったのも、1970年6月からなのだろうか?
それは違うんじゃないかと思っている。

周知のようにRI工場プレスの場合、マトの末尾がAAAとかBBBとかアルファベットが3つ並ぶのだが(”At Fillmore East”のRI工場プレス初回盤を思い浮かべてくれればわかるよね?)、当初はアルファベット1つで終っていて、しかも、PR工場やMO工場に送られるのとは違うラッカー(つまりマトのアルファベットが違う)から作られたマザー(またはスタンパー)が送られていた。
ちなみに、ボクが今回入手したELPのマトの末尾は両面ともEである(EEEではない)。

この三連アルファベット・マト(ボクが勝手に命名した 笑)が、アトランティックのメイン工場になった証だとすると、RI工場がアトランティックの中部メイン工場になったのは、1970年6月よりも、もうちょっと後のようだ。

では、いつだろう?
1971年7月6日リリースの”At Fillmore East”の初回盤は、すでにCCCという三連アルファベット・マトだった。
ちょうどELPの"Tarkus"がその前月の1971年6月14日リリースで、Discogs情報によるとマトの末尾はBのみでまだ三連アルファベット・マトは採用されていないようだ。

たまたまピンポイントで見つかったので、同時期にリリースされた他のレコードのRI工場プレス盤のマト状況はまだチェックしていないが、三連アルファベット・マトの登場は1971年6月頃とみていいんだろうか?

何かご存知の方、ぜひ情報提供をお願いいたしますm(_ _)m
posted by 想也 at 23:52| Comment(0) | アナログ・コレクターの覚書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする