2022年01月31日

メッキ処理回数とプレス回数が音質に与える影響について~久保田早紀『夢がたり』

久保田早紀『夢がたり』(CBS SONY 25AH 919)については、以前、記事にしたことがある。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-07-28

マトはA1/B1だったのだが、マザー/スタンパーが1 J 9/1 H 4ととんでもなく進んでいることに吃驚して書いた記事だった。
当然、もっと若いマザー/スタンパーの盤が欲しいと思っていた。

で、高いレコードではないし、2枚ほど追加で買ってみた。


20220130-1.jpg


2枚買った理由については、「とりあえずある程度若いマザー/スタンパーの盤を見つけて買ったものの、その後もっと若いマザー/スタンパーの盤を見つけたのね」と思ったかもしれないが、実は、追加で買った2枚の盤のマザー/スタンパーはメッキ処理回数的に非常に近い。

いずれもマトはA1/B1だが、最初に追加で買った盤のマザー/スタンパーはこうなっている。


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1 A 16 +である。
これはSide 1で、Side 2のほうは、1 A 20だ。

次に追加で買った盤のマザー/スタンパーはこうなっている。


20220130-3.jpg


1 B 15である。
これはSide 1で、Side 2のほうは、1 A 21だ。

Side 2のほうがメッキ処理回数が1しか違わないことはすぐにわかるが、Side 1のほうはメッキ処理回数で考えるとどちらも17回で同じなのである。
1 A 16はマザー製造の際に1回とスタンパー製造の際に16回で計17回、1 B 15はマザー製造の際に2回とスタンパー製造の際に15回で計17回だからである。

ほぼ同じ若さのマザー/スタンパーが2枚、両者の音質に違いがあるとすれば、それはスタンパーの摩耗による音質劣化(プレスを重ねることに伴う音質劣化)に起因するものと考えられる。

しかも、最初に持っていた盤とはマザーの若さがかなり違っているので、3枚を聴き比べると、マザーが進むことによって生じる音質劣化とスタンパーの摩耗による音質劣化の違いというのが、なんとなくわかりそうな気がした。

とはいえ、メッキ処理を重ねることに伴う音質劣化とプレスを重ねることに伴う音質劣化とは複雑に絡み合うので、単純に、区別できるものでもないだろう。
こういう比較を実際にいろいろしているうちに、なんとなくイメージががつかめるかなぁ?という程度の試みである。

で、今回の結果だが、Side 1で比較したところ、はっきりと音質の違いが感じられた。
音質の差は、1 A 16盤と1 B 15盤はそれほど大きくないが、この2枚と1 J 9盤とはかなりの差がある。
1 J 9盤は個々の楽器やボーカルの輪郭がぼやけて肥大化している。
それに対して、1 A 16盤と1 B 15盤の音像はタイトで肥大化は感じられない。

しかし、1 A 16盤と1 B 15盤にも違いがあって、後者のほうが個々の楽器やボーカルの輪郭がより明確でキレがある。
キリっとしてシュッとしている感じ?

そういえば、1 A 16盤のほうにはスタンパー刻印の後ろに+がついてたんだった。
もしかして、これって、再利用を示すものなのかな?
東芝にしてもビクターにしても、PMを刻印する場合スタンパーの再利用は二重刻印になるのですぐにそれとわかる。
CBS SONYにはPMはないが、スタンパー再利用については、それとわかるように+を追い打ちしていたとか?
+なんて刻印は、いかにもそんな感じがするよねぇ?
まぁ、妄想だけどね(笑)
ラベル:久保田早紀
posted by 想也 at 00:03| Comment(0) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月30日

カタオモイ

アニメを観ないせいか、最近のAimerさんにはちょっとピンとこないのだが、アルバム『daydream』の頃までは、かなーり好きだった。

だから、THE FIRST TAKEに登場したAimerさんが、『カタオモイ』を歌ってくれたのは嬉しかった。





もう、繰り返し観ちゃうよね(笑)

で、久しぶりにオリジナルの方も聴きたくなったり。





ライブ・バージョンがアップされてるのを見つけたり。





この曲、the pillows『ストレンジ カメレオン』とか、Mr.Children『Hero』とか、阿部真央『いつの日も』とか、意識的なんだか無意識なんだかわからないけど、埋め込まれてるよね。
どの曲にも思い出とか思い入れとかがあったりするので、『カタオモイ』を聴いてると、それが総動員で押し寄せてくるんだな。

     ♪ 僕の心は
     ♪ 君にいつも
     ♪ 片想い
     ♪ 好きだよ
     ♪ わかってよ
     ♪ わかってよ
     ♪ わかってよ

思い出してキュンとしちゃうよね(笑)
ラベル:Aimer
posted by 想也 at 00:12| Comment(0) | Aimer | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月29日

逡巡のDEAD END

mat-mat-matさんから、サカナクションの山口一郎さんがキュレーターをつとめるNHK FMの番組Night Fishing Radioで、ゴダイゴ(Godiego)『DEAD END』の特集があったと教えてもらった。
1月23日に放送されたもので、1月30日までは聴き逃し配信で聴ける。
ってことで、山口さんのガイドを参考に、『DEAD END』を聴きこんでみることにした。

『DEAD END』(日本コロムビア YX-7192-AX)については、以前記事にしたことがある(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-05-14)が、あのときうちにあったのは、入れ替え疑惑もぬぐい切れないかなりレイトの盤だった。
しかし、最近、ファースト・プレスを手に入れた。
だから、聴き込むのはもちろんファースト・プレスである。

あれ?
そういえば、最近手に入れたファースト・プレス、聴いたことあったっけ?
聴いた記憶がないぞ・・・
いろいろまとめて買った中の一枚だったし、他は聴いたことのないレコードばっかりだったし、『DEAD END』については、時間があるときに、ゆっくりレイト・プレスと聴き比べでもしようと思って、そのまま放置してたんだったσ^_^;

そんなわけで、まずは聴き比べである。


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向かって右がファースト・プレスで、左がレイト・プレスである。
帯の『デッド・エンド』の文字が、ファースト・プレスは深紅なのに対して、レイト・プレスでは朱色という違いもあるが、決定的なのはこれだ。


20220128-2.jpg


レコード発明100周年マークである。
1977年がレコード発明100周年にあたるということで、1977年リリースのレコードの帯なんかにはこのマークが印刷されていた。
『DEAD END』は1977年11月25日リリースだから、ファースト・プレスの帯にはこのマークが印刷されているのだ(このあたりのことは、Cal De Rさんの記事 https://ameblo.jp/caldermusic/entry-12391624549.html をどうぞ)。
ほかにも、歌詞と解説が印刷されたインサートが、ファースト・プレスでは1枚紙なのに対して、レイト・プレスになると歌詞の和訳のついた見開きになるという違いもある。

うちのファースト・プレスのマトやスタンパーは次の通りだ。

AX-358-259-1 A2
AX-358-260-1 A1

両面マト1なうえに、マザー/スタンパーも見本盤レベルの若さである。

レーベル内PMも苦労して見つけ出すと、J-Xであることが確認できた。
J-Xは1977年10月を示すから、間違いなく発売日前月プレスである。
文句の付け所がない完璧なファースト・プレスじゃないか。

ちなみに、レイト・プレスのほうは両面マト2なのだが、上記のCal De Rさんの記事でもマト1/2のファースト・プレスの存在が確認できるので、どうやらマト1とマト2は最初から存在していた可能性が高そうだ。
ということは、マト2だというだけではレイト・プレスの証にはならない。
まぁ、うちのマト2は、PMがL-4で1979年4月プレスだから、レイト・プレスに間違いないのだが、もう一つ違いを発見してしまった。
ファースト・プレスは、レーベルにミス・クレジットがあるのだ。

レイト・プレスのレーベルは、このように正しい。


20220128-3.jpg


ファースト・プレスのレーベルは、このようにミスっている。


20220128-4.jpg


このようにってどこかって?
4曲目が"DE ADEND"になってるでしょ。
レイト・プレスのほうは、ちゃんと"DEAD END"に修正されている。
この修正がいつの時点で行われたのかは知らない。

さて、一番の問題は音である。
マト1とマト2が最初から存在していたとすると、その理由は次のどちらかだろう。

1 大ヒットが予想されたので、ラッカーを二枚用意した。
2 マト1に不満なところがあったので、マスタリングのレシピを変更したマト2を用意したが、最終的には、どちらも採用になった。

1の可能性は低そうな気がする。
なにしろ帯には「すべてのコマーシャリズムと精神的訣別をし」と謳っているのである。
そうすると、残る可能性は2ということになる。

実際、うちのシステムで鳴らすと、マト1とマト2はマスタリングのレシピが違っているとしか思えない。
マト2は音量をあげると、低域がぐーんと沈んでうなる。
それに比べて、マト1の低域は少々軽い。
しかし、音の広がりという意味では、マト1が良い。
実に気持ちよく広がる。

どちらが良いか・・・
正直なところ、ボクには判断できない。
少なくとも、マト2には、単純にレイトとして切り捨てられないものがある。
マト2の音量をあげて聴く『サムの息子』や『アンダー・アンダー・グラウンド』なんか、沈んでうなるぶっとい低域が大好物のボクには格別なのだ。

逡巡の『DEAD END』なのである。
ラベル:Godiego
posted by 想也 at 00:07| Comment(0) | 国内盤研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする