TLに誘われて、このレコードを引っ張り出して聴いた。

ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)のBLP 1509である。
もっとも、うちにあるのはオリジナルではない。
そもそも、ブルー・ノートのオリジナルなんてそんなに持っていない。
ボクがジャズのレコードを集め始めた頃は、現在ほどとんでもない価格にはなってなかったとはいえ、それでもブルー・ノートのオリジナルといえばかなり高額だった。
どうしても欲しかったものは何とかオリジナルを手に入れたが、ほとんどはLIBERTYとかUAとかの再発を買っていた。
このレコードもLIBERTY再発である。

LIBERTYやUAの再発でも、さらには♪レーベルの再発でも、送り溝にアレがあればいいんである。
そう、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)がカッティングしたことを示す刻印だ。
しかし、このレコードの場合、確かに刻印はあるのだが、ちょっと謎なのである。
なぜなら、この刻印だからだ。

BLP 1509がリリースされたのは1955年だから、RVGは、まだこのスタンプの刻印は使用していない。
当時はRVGと手書きされていた。
つまり、このレコードも、オリジナルは手書きRVGのはずである。
ってことは、どこかの時点でなんらかの理由で、リカッティングが行われたのだ。
うちの盤、マトがA-1/B-2というのも、リカッティングが行われたことを如実に示している。
B面の数字が進んでいるのが問題なのではなく、そもそも、1500番台のオリジナルの場合、マトはA/Bで終っていて数字はつかない。
うちのLIBERTY再発は、オリジナルで使用されたラッカー由来のスタンパーではなく、リカッティングされたラッカー由来のスタンパーでプレスされたものであることは確実なのである。
では、いつ、どんな理由で、リカッティングが行われたんだろう?
Discogsを見ると、時期的には、NEW YORKレーベル時代にすでにA-1/B-2マトが登場している。
47 WEST 63rd NYCレーベル時代にはまだ登場してなさそうだ。
問題は、リカッティングした理由である。
リカッティングが必要なほど、つまり、最初にカッティングしたラッカー由来のスタンパーを使いきってしまうほど売れたんだろうか?
いやぁ、そんなことはないんじゃないかなぁ。
まったく売れなかったのなら、リカッティングもしないだろうから、それなりに売れてはいたんだと思うけど。
実際、Discogsを見ても、オリジナルのLexingtonレーベルから、47 WEST 63rd New York 23レーベルの盤、47 WEST 63rd NYCレーベルの盤、NEW YORKレーベルの盤が確認できる。
継続的に売れていたんである。
とはいえ、スタンパーを使い切るほど売れていたとも思えないのだが・・・
では、ほかにどんな理由が考えられるだろう?
このレコード、10インチでリリースされた"Wizard of Vibes"(Blue Note LP 5011)に収録されていた8曲に4曲を加えて再構成したもので、録音はRVGではない。
ジャケット裏に書いてあるように、BLP 1509のオリジナルからして、RVGのリマスターなのである。

もしかして、最初のリマスタリングに、RVG自身、何か不満があったんだろうか?
いや、不満があったとしたら、ライオン(Alfred Lion)か?
もし、そうだとすると、オリジナルよりもNEW YORKレーベル以降のレイトの音ほうが、ライオンの望んだ音だということになる。
そうだといいなー(笑)
まぁ、でも、素直に考えれば、品質を考えて、一枚のラッカーから作るスタンパーを制限していたために、スタンパーが足りなくなったってところかなぁ。
そうだとすると、ジミー・スミス(Jimmy Smith)とか、ばんばんラッカー切ってそうだよね。
それにしても、いつか、手書きRVGのオリジナルと聴き比べてみたいのである。
自分でオリジナルを買うつもりはないけどさ(笑)