ってことで、このレコードを引っ張り出した。

1971年11月11日リリースの"Nilsson Schmilsson"のUSオリジナル(RCA Victor LSP-4515)である。
まぁ、USオリジナルといっても、ファースト・プレスではない。
このレコード、すぐに表ジャケットのタイトル文字を大きくしたジャケットへの差替えが行われたので、タイトル文字の小さい差替え前のジャケットでなければファースト・プレスとは言えないが、うちのは差替え後のジャケットだからである。
タイトル文字が大きいとか小さいとか言っても、比べてみなければわからないが、識別は簡単にできる。
差替え後のジャケットは、表側の左下にREと印刷されているからである。

ちなみに、裏ジャケットも、当初、ギターの"Chris Spedding"の名前が”Chris Speddin"となっている誤植があって、これまた修正されている。
どうやら表と裏の修正は同時ではなかったようで、表だけ修正されて裏は修正されていないというものもDiscogsには登録されている。
うちのは、裏も修正されているもので、裏ジャケット左下にもREと印刷されている。

つまり、厳密に言えば、うちのはサード・プレスということになる。
だから、ファースト・プレスを見つけたら買おうとは思っているのだが、このジャケットの差替え、ホントにすぐに行われたようで、うちの盤も鮮度抜群で鳴るのだ。
で、まぁ、これでもいいかという気にもなっている(笑)
それよりも、今日引っ張り出して、ひとつ大きな発見をしてしまった。
これである。

このレコード、TML刻印があるということは、TMLでカッティングが行われたということである。
裏ジャケットにもダグ・サックス(Doug Sax)への謝辞がある。

それがどうして大きな発見なのかって?
それは、このレコードが1971年11月11日リリースだからである。
ボクは以前、手書きのTML刻印が現れるのは、1973年5月にリリースされたジョージ(George Harrison)の"Living in the Material World"が最初ではないかと推測していた(https://sawyer2015.seesaa.net/article/2022-03-13.html をどうぞ)。
それが1年半ほど遡ってしまったのである。
"Living in the Material World"が最初だと推測したのは、その前月リリースのイーグルス(Eagles)”Desperado”には刻印がなかったからなのだが、考えてみれば、”Desperado”の場合は、裏ジャケットに"Mastered at The Mastering Lab"と明記されている。
送り溝にまで彫らなくてもいいかと思ったとしても不思議はない。
"Nilsson Schmilsson"の場合は、ダグ・サックスの名前はクレジットされているが、TMLのクレジットはないから、送り溝に刻む必要を感じたのだろう。
ってことで、手書きのTML刻印の始まりは、リリース前月のカッティングだとして、1971年10月としておきたい。
1971年8月リリースのザ・フー(The Who)"Who's Next"は、ジャケットに何のクレジットもなく、かつ、送り溝にもTML刻印はないから、手書きTML刻印の開始時期は、さらに遡るとしても2~3か月の気がするなー
ラベル:Harry Nilsson