ウソに関連のある画像は次の二つだ。


リム沿いが凸になっている特徴的なレーベル形状から、このレコードがフォノディスク(Phonodisc Ltd.)でプレスされたものであることがわかる。
しかし、それは、フォノディスクでカッティングされたことを意味しない。
フォノディスクは、外部のマスタリング・スタジオでカッティングされた盤をプレスすることが多いが、その場合には、マトの後に、どこでカッティングされたものであるかを、それぞれ特定の記号で刻印する。
二番目の画像で、マトの後に、Tと刻印されていることがわかるが、このTはトライデント・スタジオ(Trident Studios)を意味している。
つまり、このレコードは、トライデント・カッティングなのである。
誰がカッティングしたのかもわかる。
Side 2にこんなサインがあるからだ。

"RAZEL"というのは、当時トライデントのエンジニアだったレイ・スタッフ(Ray Staff)が使っていた別名だ(レイさん、"RAYS"というサインを使うことが多いが、別名を使うのも好きだったようで、"RASIN"だの"RASPUTIN"だの"RAZEL"だのいろいろ別名がある)。
間違いなく、このレコードは、トライデント・カッティングだ。
ってことで、最初の画像の下の段の真ん中辺りにある"Cut at Phonodisc"がウソなのだ。
では、どうしてこんなことが起こったんだろう?
おそらく、最初はフォノディスクでカッティングが行われたのだろう。
ところが、満足できる仕上がりにならなかった。
そこで、急遽トライデントに依頼することになった。
そんなところじゃないかと思う。
"Fighting"のUKオリジナルのマトは、一番若くてもA4 / B4(送り溝に刻印されているのは、1Y//4 / 2Y//4だが、わかりやすさを優先させて、A4 /B4と表記する。)である。
A4 / B5、A5 / B4、A5 / B5といったバリエーションがあるが、いずれも初回マトだと思う。
というのも、うちの盤は、マトA4 / B5なのだが、スタンパーが1 1 3 / 1 1 2と非常に若く、しかも、あまり番号が離れていない。
これは、マト4とマト5がどちらも初回プレス時から使用されていたことを推測させる。
それはともかく、いずれにせよ、マト3まではボツになったわけで、それがフォノディスクでのカッティングだったんじゃないかと思うのである。
つまり、当初はフォノディスクでカッティングの予定だったので、ジャケットにはそのようにクレジットされたが、結果的には、トライデントでカッティングすることになったので、ジャケットにウソの表記をすることになってしまったと、そういうことなんじゃないかと思うのだ。
では、トライデント・カッティングで最終的には素晴らしい音に仕上がったのかといえば、ボクにはそうは思えない。
もともと、UK盤の場合、中低域が分厚いかわりにいまひとつヌケが良くないものがあったりするが、このレコードの音は、B面はともかく、A面(うちのはマト4)については度を越している。
アンプのトレブルを最大にあげて、ようやくまともな音になる感じだ。
まさか、うちの盤だけが変なわけじゃないよねぇ?
気になるのが、私の手持ちのはA4/B4なんですが、B面にRAZELのサインが無いのですよね〜
マトの横にT刻印はあるのですが。
コメントありがとうございます(^^)
US盤、そんなに違いますか。
ジャケットも違いますし、これはぜひ手に入れないといけませんね。
>Yuzuさん
コメントありがとうございます(^^)
もしかしたら、マト4は、Ray Staffカッティングじゃないかもしれませんね。