
レーベル形状からわからなくても、左上の送り溝にラッカー/マザー/スタンパーを表す刻印が写っている。
そこから推測が可能だろう。
送り溝の刻印は、Eー3ー※と読める。
拡大してみよう。

E-3-まではポリドール・プレスの刻印だ。
つまり、ポリドールでカッティングされ、マザーまで製造されたことがわかる。
そのあとの※は、点が2つなのでスタンパー3であることを意味する。
これはビクター・プレスのスタンパー表記方式だ。
つまり、スタンパーはビクターで製造されたことになる。
ってことで、この盤はビクター・プレスなんである。
送り溝には、こんな刻印もある。

VZと読める。
ほかにPMと思しき刻印があるので、このVZはPMではない。
VはおそらくビクターのVで、Zは委託を表すものなんじゃないかと思う。
つまり、VZは、委託を受けてビクターでプレスされたということを意味しているんじゃないか。
というのも、PMと思しき刻印がこうなっているからである。

ZIである。
Iは、ビクターPMでは奇数年の9月を表すはずなので、先日、こちらの記事(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2023-03-13)で推測したように、Yが二巡目、Zが三巡目を表すとすると、ZIは1977年9月を表すことになるのだが、それではまずいんである。
なぜなら、このレコード、おそらく1975年(昭和50年)10月に購入されているのだ。

1975年だと二巡目なので、二巡目ならIの前につくのはYのはずである。
それに、そもそも、初回盤から委託されていれば1975年には二巡目に突入することになるが、ビクターに委託されたのはこのときが最初だったとしたら、その場合、ビクター側から見れば一巡目である。
Yもいらないはずだ。
そう考えると、やはり、Zは、委託プレスであることを意味する記号だと思うんである。
そうだとすると、PMのZIは1975年9月を表すものとして、矛盾なく説明できるのだが、委託プレスを表す記号が、何故YではなくZなのかという疑問は残る。
委託でも二巡目の可能性まではありうるのでYは残しておいたということだろうか。
あるいは、委託の一巡目がYで二巡目がZという可能性もあるか。
いずれにせよ、PMにつくYやZについては、これからも、見つけるたびに、矛盾なく説明できるルールを考えていくしかないだろうなぁ。
そうそう、ビクター・プレスなので、当然、この盤も透ける。

透ける『氷の世界』って萌えるわ~(笑)
ラベル:井上陽水
70年代中頃のレコードでも透けるものは結構あるのでしょうか?!
80年代に入ると、手に持つとタワむレコードを灯りに照らすと透けるイメージを持ってました。
日本のビクター・プレスは、60年代から70年代を通じて80年代まで、ずっと透けると思います。
あと、CBS/SONYプレスが、70年代の中頃まで透けます(74年まで確認)。
70年代の透けるレコードは、80年代のUS盤によくあるQUIEX IIみたいなやわらかい素材ではありません。
勉強になりました。
自身の手持ちレコードも確認してみます。
いえいえ~
送り溝におもしろい発見があったら、教えてください。
ビクターPMは、いま探求中なので。