
"Hi Infidelity"は、彼らの初めての全米ナンバーワン・ヒットとなったシングル"Keep on Loving You"を収録した1980年11月21日リリースの9作目のスタジオ・アルバムである。
アメリカ・レコード協会(RIAA)のWEBサイトによると、1986年11月には700万枚まで売り上げを伸ばし、2017年8月には1000万枚に達したという、まさにバカ売れしたアルバムだ。
バカ売れしただけに、ちょっと興味深いネタを提供してくれるレコードなので、Cal De Rさんの記事に触発されて、ボクも記事を書いてみることにしたのである。
マト1D/1Aで初期プレスかと思いきや、サンタマリア工場(1981年12月4日に閉鎖)で使用されていたスタンパーを引き取ったキャロルトン工場(1981年9月28日から稼働)でプレスされたレイト盤だったというCal De Rさんの盤もおもしろいが、うちの盤は更に興味深い。
うちの盤は、マト1D/1Dのサンタマリア工場プレスで、マトだけを見るとCal De Rさんの盤より(A面は同じだがB面は)進んでいるのだが、比較的初期のプレスだと思う。
比較的初期のプレスであることは、このステッカーが貼ってあることからわかる。

"Hi Infidelity"からは、先行シングルとして1980年11月4日に"Keep On Loving You"がリリースされた後、81年3月に"Take It on the Run"、6月に"Don't Let Him Go"、7月に"In Your Letter"と相次いでシングルカットされている。
ステッカー上にこれらの曲名は全て載ってはいるが、The Hit Singleとして取り上げられているのは"Keep On Loving You"のみで、他の曲はAlso Includesとしてにすぎない。
つまり、このステッカーは、まだ"Keep On Loving You"しかシングルカットされていなかった頃のものということだろう。
もっとも、"Keep On Loving You"は先行シングルといっても、2週間ぐらいしか先行していないから、初回プレスには、このステッカーは貼ってなかったかもしれない。
それより、興味深いのは、このレコードのマスタリングとカッティングである。
インナースリーブに明記されている通り、このレコードのマスタリングは、ケント・ダンカン(Kent Duncan)によって行われている。

もっとも、カッティングもケント・ダンカンによって行われたのはわからない。
KENDUNでのカッティングであることは、KENDUN刻印でわかる(使用スタジオによって、KENDUN-A、KENDUN-B、KENDUN-C、KENDAN-Dの四種類がある。)が、誰のカッティングであるかは、サインがないとわからない。
うちの盤は、A面については、KENDUN-C刻印なので、KENDUNでのカッティングであることはわかるが、誰のカッティングかは不明である。

B面については、末尾にABCDがないKENDUNのみの刻印だ。

この頃のKENDUNカッティングなら、使用スタジオによって、末尾にABCDがつくはずなのに不可解である。
その謎は、隣の刻印を見ると解ける。

何かが搔き消された隣にGFというサインがある。
このGFというサインは、当時ARTISANにいたグレッグ・フルギニティ(Greg Fulginiti)のものだ。
ってことは、掻き消されているのは、ARTISANマークか?

この拡大写真で、掻き消されたのがARTISANマークであることが、何となくわかるだろうか?
ARTISANマークというのはこのマークで、これは、やはりグレッグ・フルギニティがカッティングした1985年5月21日リリースのジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)"The Confessor"のものだ。

つまり、B面のカッティングは、KENDUNからARTISANに外注されて、グレッグ・フルギニティが行ったのである。
KENDUNからARTISANへの委託なんて、初めて見たよ(笑)
こんなこともあったんだねぇ。
実に興味深いのである。
ところで、グレッグ・フルギニティといえば、つい先日、エイジア(Aisia)の"Astra"を取り上げた記事でも名前を出したエンジニアである。
"Astra"がリリースされた1985年11月には、彼はすでにMASTERDISKに移っていた。
彼がいつARTISANからMASTERDISKに移ったのかは、Discogsにも書かれていないのだが、1985年5月リリースの"The Confessor"がARTISANでカッティングされていることからすると、1985年5月から11月の間に移ったということになる。
Discogsにも書かれていない情報なので、メモしておくのである(笑)
ラベル:REO Speedwagon
またまたお邪魔させていただきます。
このレコードについてではないのですが、US盤EPIC、CBSのレコード番号の頭のアルファベットについてです。
このレコードを例にするとFEですが、BFEとなっている盤、Eだけになっている盤など…
CBSですと同じ盤でPZやQZなど…
再発ではなく、同時期の盤でこのようになっているカラクリをご存知でしたらご教示下さいませ。
またまたお邪魔させていただきます…
この盤自体ではなく、US盤EPIC、CBSのレコード番号の頭のアルファベットについてです。
この盤ですとFEですが、BFEとなっているもの、Eだけのもの、CBSだとPZのもの、QZのものなど…
再発ではなく、同時期でこのようになっているカラクリをご存知でしたらご教示下さいませ。
Discogsを見ても、Hi InfidelityにはFEしか存在していないので、ちょっと質問の意味がわかりませんσ^_^;
具体的に、FEのほかにBFEやEだけのものが存在しているレコードをあげてもらえませんか?
お手数おかけします…
一例ですと、EUROPEの"FINALCOUNT DOWN"、同、"WINGS OF TOMORROW"等です。
PZ、QZはOZZY OSBOURNEの"BARK AT THE MOON"です。
いずれも掘ったことがないどころか一枚も持ってないので、確定的なことはわかりません。
OZZYの方は、おそらく、QZがオリジナルでPZはちょっと後に廉価盤で再発されたものだと思います。
下記の記事なんかを参考にしてみてください。
https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2019-07-05
EUROPEの方は、Discogsに登録されている情報から推測すると、PEがUS国内向けで、BFEが輸出用とかですかねぇ?
でも、よくわかりませんσ^_^;
なるほど、言われてみるとOZZYのはそういう感じがしますね…
EUROPEについてはそういう事として整理することにします。
お忙しい中、ありがとうございました。
また何かあった際にはよろしくお願いします。
ほかにちょっと気になって調べてみたら、1983年もので、EPICでBFE(FEも存在)、COLUMBIAでBFC(FCも存在)というのを見つけたんですが、それはどうも、BFEやBFCの方がオリジナルで、FEやFCの方は再発っぽいんですよね。
裏付けまではできてないので違うかもしれませんが・・・
いずれにしても、BFEやBFCについては、そう簡単な話ではなさそうなので、宿題ということにしといてください。
う〜ん、やはり一筋縄ではいかないみたいですね…
新情報ありましたらよろしくお願いします!