今日4月13日は、1984年にリリースされたキャメル(Camel)の10作目のスタジオ・アルバム、"Stationary Traveller"のリリース記念日だというので、引っ張り出して聴いていた。

佳曲揃いのなかなかの名盤である。
とりわけラティマー(Andy Latimer)節全開のタイトル曲が、ひたすら切なく、美しい。
寂寥感がひしひしと伝わるジャケットを眺めながら聴いていると、涙が零れそうになる。
このレコード、リアルタイムで買った記憶があるので、当時は貧乏学生だったし、うちのあるのはUS盤かなと思ったら、出てきたのはUK盤(Decca SKL 5334)だった。
Discogsを見ると、US盤の登録がない。
つまり、US盤はリリースされなかったってことだろう。
お金がなくても、当時のボクは、UK盤を買わざるをえなかったのである。
ところで、このレコード、二つばかり気になることがある。
一つはこれである。

うちにあるのは、Side 1のマトが4なのである。
4まで進んでいても初盤なのかが気になるのではない。
Discogsを見ると、UK盤のSide 1のマトは、5しか登録されていないのである。
マト4というのは、そんなにレアなマトなんだろうか?
ちなみに、Side 2のマトには1と2があり、うちの盤は2である。
ただ、うちの盤は、Side 1のマザー/スタンパーが1 1 1で、Side 2のマザー/スタンパーも1 1 3だし、Discogsの登録情報から考えても、Side 2のマト1とマト2は同時にカッティングされたもので、最初からどちらもあったんじゃないかと思う。
マト4のレア度も気になるが、それ以上に非常に気になるのはこれである。

インサートには、TMLでダグ・サックス(Doug Sax)がマスタリングしたと明記されているのだ。
しかし、送り溝には、どこを探してもTML刻印はない。
実際、TML刻印なんてあるはずがないのだ。
なぜなら、このレコードは、TMLではカッティングされていないからである。
送り溝には、このような刻印があるのだ。

この▽420は、PRS. Ltd.でプレスされたことを表しているが、その後にEが刻印されているということは、カッティングはUKのEMIスタジオで行われたということである。
このレコードのカッティングが行われたのは、TMLではなく、UKのEMIスタジオなのである。
そのほか、Side 1の送り溝には、こんな刻印もある。

このBAA、Discogsを見るとマト5にも刻印されているようで、カッティング・エンジニアのサインの匂いがプンプンするが、調べてもわからなかった。
それにしても、ダグ・サックスのカッティングは何処にいってしまったんだろうね?
urbantango82さんから、テスト・プレスに関する貴重な情報をいただいた。
Side 1のマトが2のテスト・プレスでは、冒頭の"Pressure Points"のかわりに"In the Arms of Waltzing Frauleins"が収録されているという。
なるほど、曲の差替えがあったので、Side 1のマトが進んでるのね。
市販盤バージョンの最初のカッティングがマト3なのかマト4なのかは不明だが、うちのマト4は、市販盤バージョンのファースト・カッティングの可能性もあるということだ。
ちょっとうれしい(笑)
Discogsで調べてみると、UK盤CDはこのテスト・プレスのバージョンになっていて、”Pressure Points"はExtended Mixがボーナス・トラックとして収録される構成になっている。
もしかしたら、このバージョンが、ラティマーの頭の中にある、このアルバムの本来の姿なのかもしれない。
マト2もTMLカッティングではなく、BAA刻印があるそうで、ダグ・サックスのカッティングは、差替えのためにボツになったというわけではなさそうだ。
ラベル:CAMEL