2025年04月28日

David Bowie, David BowieのUKオリジナル

<PHILIPSロゴ変遷の観点からの考察を追記しました。>(2025年4月28日)

昨日聴いたボウイ(David Bowie)のレコードはこれだった。


20250327-1.jpg


1969年11月14日にフィリップスからリリースされたセルフ・タイトルのセカンド・アルバム(後にRCAから再発されたときには、タイトルが"Space Oddity"に変更された。)のUKオリジナルである。


20250326-5.jpg


今回、『デヴィッド・ボウイ・レコーズ DAVID BOWIE'S RECORDS』に協力する過程で最もショックだったことは、うちのがセカンド・プレスだと言われていることを知ったことだ。

Discogsによれば、レーベル上のパブリシャーのクレジットが二種類あり、"Space Oddity"と"The Wild Eyed Boy From Freecloud"のみがEssex Music Intl. Ltd.で、ほかはCopyright Controlとなっているものがファースト・プレスだというのだ。
つまり、全曲のパブリシャーがEssex Music Intl. Ltd.なのはセカンド・プレスということになる。


20250327-2.jpg


えぇえぇ、うちのは両面ともEssex Music Intl. Ltd.一行でございますとも・・・(涙)


しかし、ボクは、疑い深いのである。
そう簡単には、信じないぞー

だいたいCopyright Control盤のスタンパー情報が登録されてないじゃないか。
マトは1Y-2/2Y-2しか存在しないが、スタンパーはある程度バリエーションがあるだろー
11って、マザーまでしか登録されてないってのは、いったいどういう了見だ!(たぶん、テスト・プレス以外はすべてコピペだろう。)

うちのは、紛れもなく111のファースト・スタンパーなんだぞー(Side 2は112)


20250327-3.jpg


とはいえ、論理的に考えれば、確かにCopyright Controlが先の可能性が高い。
しかし、キャメル(Camel)"Snow Goose"の例もある。
(詳しくは、https://sawyer2015.seesaa.net/article/2017-03-04.html をどうぞ。)
Copyright Controlが後から出現することがないとも言えない。

ボウイは、サードの"The Man Who Sold the World"の時点では、Titanic Music Ltd.とパブリシャー契約を結んでいる。
つまり、Essex Music Intl. Ltd.からは離れたかったわけだ。

交渉の結果、シングル・リリース曲のパブリシャーだけEssex Music Intl. Ltd.ということになったのは確かだ。
1972年のRCAからの再発では、"Space Oddity"、"The Wild Eyed Boy from Freecloud"、"Memory of a Free Festival"の3曲がEssex Music Intl. Ltd.で、それ以外はTitanic Music Ltd.になっているからである。
"Memory of a Free Festival"は1970年にシングル・リリースされているから、シングル・リリース曲のパブリシャーだけがEssex Music Intl. Ltd.なのだ。

Essex Music Intl. Ltd.とのパブリシャー契約が最初はシングル曲のみだったのが、全曲の契約に変わり、その後Titanic Music Ltd.とパブリシャー契約を結ぶ際に、Essex Music Intl. Ltd.とはシングル曲のみの契約にもどした、ということであれば、シングル曲以外はCopyright Controlというのがファースト・プレスということになる。

それに対して、もともとEssex Music Intl. Ltd.と全曲のパブリシャー契約を結んでいたが、後にシングル曲だけの契約に変更した、ということであれば、その時点で(まだ交渉中とかで)Titanic Music Ltd.との契約が成立していなければ、シングル曲以外はCopyright Controlという事態が生じる。
つまり、Copyright Control盤はセカンド・プレスということになる。
これは、1970に"Memory Of A Free Festival"がシングル・リリースされる前でなければならないので、時期的にはかなり限定されるが、ありえないことはない。

おぉ!
Essex Music Intl. Ltd.一行表記がファースト・プレスの可能性が出てきたぞ!

誰か、Copyright Control盤のスタンパー情報知りませんか?
少しでも、スタンパーが進んでたら、ボクの仮説のエビデンスになるかなと・・・


『デヴィッド・ボウイ・レコーズ DAVID BOWIE'S RECORDS』をAmazonで購入される場合は、下記リンクからどうぞ。

https://amzn.to/41RQgwQ

PHILIPSロゴ変遷の観点からの考察

先日、4月24日のトニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)の誕生日に、このレコードを聴きながら、(Discogs上では初盤と言われている)パブリシャーにCopyright Controlを含む盤の情報をあらためて求めたのだが、それはまったく空振りに終わった。

しかし、そのとき紙ジャケ探検隊が、ポツリとつぶやいた。
「CCよりPHLIPSロゴの違いの方がアテになるかもですね」

PHILIPSロゴの違いにはまったく気づいていなかったボクは、慌ててDiscogsをチェック!
確かに、Essex Mus. Int. Ltd.一行表記レーベルとCopyright Controlを含む二行表記レーベルでは、PHILIPSロゴのフォントが違っている。


20250428-2.jpg
(向かって右側、Copyright Controlを含む二行表記レーベルの画像はDiscogsから拝借した。)



前者の方が太字で、後者はすっきりしている。
最後のSの字の違いが特徴的だ。
前者を太字フォント・ロゴ、後者をすっきりフォント・ロゴと呼ぶことにしよう。

このPHILIPSロゴの前後関係と変更時期が特定できれば、どちらが先が確定できるじゃないか。

ボクは早速、Discogsで1969年から1970年にかけてPHILIPSがリリースしたレコードをチェックした。
ざっと見ただけで、太字フォント・ロゴからすっきりフォント・ロゴに変更されたことが確認できる。
つまり、Essex Mus. Int. Ltd.一行表記レーベルのほうが、レーベルの変遷的には先なのだ。

1969年から1970年にかけては、品番の形式も変わる。
品番SBL 7912でマスター番号852 146 BYというこのレコードに見られる形式から、品番とマスター番号が統一されて、たとえば6308 009(1970年リリースのHungry Wolfの品番)という7桁の数字で表されるようになる。
この品番形式の変更と同時にロゴも変更されたのだとすると、すっきりフォント・ロゴのCopyright Control二行表記レーベルはレイトに確定だ。
ロゴ変更と品番形式変更、いかにも同時に行われていそうじゃないか。

この時点で、ボクは、Essex一行表記レーベル初盤説に確信を持つにいたっていた。
しかし、世の中、そんなに甘くないのである。

Discogsに登録されている1969年から1970年にかけてのロック系のリリースをすべてエクセルにまとめてみると、惜しいことに、ロゴの変更時期と、品番形式の変更時期がずれている。
どうやら、品番変更よりも先行して、ロゴ変更が行われたようなのだ。

1969年10月リリースとされているSBL 7910のScott Walker, The Best Of Scott Volume 1までは太字フォント・ロゴ・レーベルで、(おそらく)1969年末にリリースされたSBL 7917のLivin' Blues, Worried DreamsやSBL 7923のLinn County,Till The Break Of Dawnはすっきりフォント・ロゴ・レーベルである(品番順にリリースされなかったようで、SBL 7915のHarvey Mandel, Games Guitars Playは1970年リリースで、もちろん、すっきりフォント・ロゴ・レーベルだ)。

そう、SBL 7912のDavid Bowieだけに、太字フォント・ロゴ・レーベルとすっきりフォント・ロゴ・レーベルが存在するのである。

確かに、1969年に太字フォント・ロゴのEssex一行表記レーベルでリリースされ、1970年にすっきりフォント・ロゴのCopyright Control表記レーベルでリリースされたという可能性が一番高いとは思う。

しかし、まさにPHILIPSロゴの切替時期と重なっていたとすると、すっきりフォント・ロゴの新レーベルでまずCopyright Control表記盤がリリースされ、直後に太字フォント・ロゴの残余レーベルを使用してEssex一行表記盤がリリースされた可能性もゼロではない。

もっとも、USと違ってUKでの残余レーベル使用というのはあまり聴かないので、その可能性は1%といったところか(笑)
ってことで、太字フォント・ロゴのEssex一行表記盤が初盤だということは、99%間違いないのではないかと思うのである。
ラベル:David Bowie
posted by 想也 at 21:45| Comment(0) | David Bowie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください