2021年09月11日

Hello, my friend

Hello, my friend



あれが恋だったのかは定かではないけれど


好きな音楽の話や好きな映画の話で意気投合した10年前の夏から


最後に会った7年前の夏まで


いろんな思い出がよみがえってくる。



いっしょに観た映画


いっしょに聴いた音楽


いっしょに行ったライブ


いっしょに過ごした時間


ぼくたちはいつも笑っていた。



切なくて、苦しくて、涙があふれた。






淋しくて 淋しくて 君のこと想うよ

離れても 胸の奥の 友だちでいさせて


悲しくて 悲しくて 君のこと想うよ

もう二度と会えなくても 友だちと呼ばせて



♪「音楽が奏でる情景」は、好きな音楽にインスパイアされて書きとめた(たぶん 笑)フィクションです♪
ラベル:森恵
posted by 想也 at 01:31| Comment(0) | 音楽が奏でる情景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月29日

夢を見た

夕べ、夢を見た。

朝起きたときに鮮明に覚えていたから、夕べではなく、明け方に見た夢だったのかもしれない。

それは、逢うこともなくなって久しい彼女の夢だった。


彼女のことが好きだった。

それが恋だったのかどうかは、いまだに定かではないが、とてもとても好きだった。

僕たちは恋人ではなかったが、うまく説明することができない、なんだか少し特別な関係だった。


夢の中の彼女は、最後に逢ったときから確実に歳を重ねているように見えた。

外見も、物腰も、話し方も。

それでも夢の中の僕たちは、あの頃と少しも変わらない関係で、たわいもない話で笑い合った。


そこには、あの頃と同じ関係がまた始まるんじゃないか、と思わせる空気が流れていた。

少なくとも、僕はそう感じていた。


僕たちは、彼女に誘われるままに、彼女の部屋に向かった。

あの頃と同じ関係ではなく、あの頃とは違う新しい関係が始まるのか?

僕は少しドキドキしながら、彼女と並んで歩いた。


彼女の部屋にはすぐに着いた。

鍵がかかっていないらしく、彼女はそのまま玄関のドアをひく。

すると、奥から声が聴こえた。

「おかえり。」

男の声だ。

「ただいま。」

彼女は奥にそう応えたあと、

「どうぞ。あがって。」

僕に向かって、そう言った。


リビングでは、彼女と同い年ぐらいの男が、立ち上がって僕らを迎えた。

男の顔には困惑があった。

僕を見たあと、説明を求めるように彼女を見た。


「この人は、私にとって特別な人なの。あなたと結婚しても、ずっと特別な人なの。だから、あなたに紹介しておかなきゃいけないと思ったの。」

男がどんな顔をしていたかはわからない。

僕はただ、彼女の真剣な顔にみとれていた。

凛とした彼女は、とても綺麗だった。


あの頃と同じ関係で、あの頃とは違う関係を、彼女は始めたいのだ。

あぁ、そうか。

それが僕の望んでいた関係だったのか。


いつの間にか夢からさめていた僕は、ぼんやりとした頭で、そう思った。






♪「音楽が奏でる情景」は、好きな音楽にインスパイアされて書きとめた(たぶん 笑)フィクションです♪
ラベル:Official髭男dism
posted by 想也 at 23:59| Comment(0) | 音楽が奏でる情景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

羊の声で

”あなたでも本気で怒ることってあるの?”

お酒が入って少し陽気になった彼女がそう訊いた。

”そりゃ、僕だって怒るときは怒るさ。でも、狼の血筋じゃないから、吠えるとしても羊の声でだけどね。”

”なにそれ?”

なにやらツボにはまったようで、彼女はケラケラと笑い出した。

僕と彼女は「Mr.Childrenが好き」というので意気投合したのがきっかけで親しくなった。
だから、当然通じると思ったのだが、どうやら『SUPERMARKET FANTASY』はあまり聴きこんでいないらしい。

”ミスチルに、「羊、吠える」って曲があるんだけど、知らない?”

”どんな曲だっけ?”

僕はポケットから取り出したiPodで「羊、吠える」を再生して、彼女に渡した。
彼女はイヤホンを耳に挿し込んで、じっと聴いている。
ときどきクスリと笑いながら。

聴き終えた後、まっすぐに僕の目を見ながら、彼女は笑った。

「馬鹿みたい」
ではなく、
「あなたらしい」
と言ながら。





♪「音楽が奏でる情景」は、好きな音楽にインスパイアされて書きとめた(たぶん 笑)フィクションです♪
ラベル:Mr.Children
posted by 想也 at 01:36| Comment(0) | 音楽が奏でる情景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする