2022年07月27日

HBD ミック~Mick Jagger, She's the Bossその2

7月26日はミック(Mick Jagger)の誕生日ということで、お祝いに、このレコードを聴いていた。


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彼のファースト・ソロ・アルバム"She's the Boss"である。


このレコードについては、以前記事にしたことがある。

https://sawyer2015.seesaa.net/article/2019-07-27.html

この記事を書いたときで4枚持っていたが、現在では2枚増えて、合計6枚になっている。


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増えたのは、US盤が1枚とUK盤が1枚だが、今日聴いていたのは、そのうちの一枚で、UK盤(CBS 86310)のほうだ。

何故かと言えば、ハウィー・ウェインバーグ(Howie Weinberg)がカッティングしているからである。


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英マトはA1/B1だが、米マトはINTL-10/INTL-8で、実は英マトA3/B1のほうが、米マトINTL-8/INTL-8だというねじれ現象が起きている。
B面はB1だけではなくB2というマトもあり、これの米マトはINTL-9のようだ。

A1/B1は、MASTERDISK刻印については両面にあるが、HWのサインはA面のMASTERDISK刻印の下にしかない。
B2には、HWサインがあるようなので、A1/B2が両面HWサイン入りということになる。

ということで、このレコード、MASTERDISKでカッティングされているが、ボブ・ラディック(Bob Ludwig)がカッティングしたRL盤と、ハウィー・ウェインバーグがカッティングしたHW盤と、サインのない無印盤が存在するということになる。
(片面RLや片面HWもやまほどある。実際、うちのUK盤は片面HWだし、3枚あるUS盤のうち2枚は片面RL盤だ。)

さて、では、3人のエンジニアが関与していたのだろうか。
もちろん、その可能性もあるが、そうではない可能性もあるのではないかと思っている。

ちなみに、音質的には、RL盤がもっともキレキレである。
HW盤も遜色ないキレを感じさせる。
無印盤はほんのちょっとだけ落ちる。
そうすると、やっぱり、3人のエンジニアが関与したんじゃないかと考えたくなる。

ただ、どうも、HW盤と無印盤の筆跡が同じな気がするのである。

RL盤は、うちにある4面分すべて、マスターテープ番号冒頭の399がこの筆跡なので、これがラディックの筆跡で間違いないと思う。


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「の」を縦にしたような9は特徴的だ。


それに対して、HW盤の399は、あまり特徴がないが、こんな筆跡である。


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無印盤の399の筆跡はこうなっている。


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ボクには、同じ人間の筆跡に見えるのだがどうだろう?
まぁ、あまり特徴がないので、確信はもてないのだが・・・

しかし、さっきも書いたように、HW盤よりも無印盤のほうが、ほんのちょっとだけ落ちる。
これはどういうことか。

もしかして、ウェインバーグの場合は、最高のカッティングができたときにだけHWのサインを入れて、普通の出来のときはサインを入れなかったとか?

品質管理的にはマスタリング・スタジオの刻印(このレコードの場合MASTERDISK)だけで十分なはずだから、そこにエンジニアがサインを入れるのは、「オレはこんなに良い仕事をするんだぜ。」というアピールの意味があるんじゃないだろうか。
そうだとすると、最高の仕事ができたときにだけサインを入れるってことも十分にありうることなんじゃないかという気がするのである。

そんなことを妄想するミックの誕生日なのであった(笑)
posted by 想也 at 00:06| Comment(0) | Bob Ludwig(RL)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月22日

カッティング・エンジニアは複数?~Journey, FrontiersのUSオリジナル

1月22日はスティーヴ・ペリー(Steve Perry)の誕生日だと、TLに教えてもらった。

ってことで、このレコードを引っ張り出して聴いていた。


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ジャーニー(Journey)が1983年2月にリリースした8枚目のスタジオ・アルバム"Frontiers"のUSオリジナル(Columbia QC 38504)である。
同時期にマイケルの"Thriller"がヒット・チャートの1位を独走していたので2位にとどまったが、それでも9週連続2位の大ヒット・アルバムだ。
アメリカ国内だけで600万枚を売り上げているという。

個人的にも、初めてジャーニーのことを知ったアルバムで、当時本当によく聴いた。
一番思い入れのあるアルバムである。

そんなわけでちょっとだけ掘ったことがある。


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マスタリングがボブ・ラディック(Bob Ludwig)だということはインナースリーブに明記されているので、当然RLカットがあるはずだと思って探したのである。


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しかし、2枚ほどヤフオクでついで買いしてみたものの、RLカットではなかった。
それで、レコード店で見つけたらめくってみる作戦に変更したのだが、結局RLカット盤は見つからなかった。

Discogsで確認してみても、RLのサインのある盤は登録されていない。
どうやらカッティングは他のエンジニアにまかせてしまったらしい。

ところで、うちにある3枚だが、マトは次の通りで、キャロルトン工場プレスが1枚とピットマン工場プレスが2枚だ。
問題なのは、これらの盤、どうも複数のエンジニアによってカッティングされている気がするのである。

G1 PAL-38504-1E MASTERDISK
G1 PBL-38504-1C MASTERDISK

P PAL-38504-1G MASTERDISK
P PBL-38504-1L

P PAL-38504-1L MASTERDISK
P PBL-38504-1G MASTERDISK

二枚目のSide 2にMASTERDISKがないのは間違いではない。
実際、刻印されていないのである。
Discogsで確認すると、マト1AGとか1AHとかまでMASTERDISK刻印があるようなので、1LだけがMASTERDISKではないというは非常に考えにくい。
ってことで、刻印忘れの可能性が濃厚である。
ほかにもいくつかこういう例に遭遇したので、同じマトで片面にMASTERDISK刻印がなくても、単に刻印忘れだろうと気にしなくなった(笑)

さて、複数のエンジニアによるカッティングではないかと推測する根拠だが、まず、送り溝の幅の違いがあげられる。

Side 1の送り溝の幅はどれも10mm前後で大差ないが、Side 2の送り溝の幅がだいぶ違っているのである。
1Cが7mmで1Gが9mmというのはそんなに大きな差ではないが、1Lでは13mmで1Cと比べると倍ぐらい違う。
これはカッティング・エンジニアの違いを推測させる。

それに筆跡が違う感じがする。
PALとPBLの部分がわかりやすいので、PALで比べてみよう。

マト1G盤のPALの筆跡はこうである。


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それに対して、マト1LのPALの筆跡はこうだ。


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筆圧的な違い(マト1Lの方は筆圧が少し弱くて文字が少し斜めになっている)で全体的に違うが、PとAの特徴は明らかに異なってる気がするんだがどうだろう?
この筆跡の特徴は、盤を交差するが、末尾1G同士、末尾1L同士では同じである。
つまり、1G/1Gをカッティングしたエンジニアと、1L/1Lをカッティングしたエンジニアは、別人じゃないかと思うのだ。

で、マト1EのPALの筆跡はこうなっている。


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筆圧が強くて文字がまっすぐだし、Pについては中間的な感じもしないでもないが、頭が丸まってないAは1Gの方の筆跡に近いんじゃないだろうか。

Side 2の1CのPBLの筆跡は、1GのPBLの筆跡と同じだと思う。
これは送り溝の幅の違い(1Cと1Gは大差ないが、1Lは倍くらい違う)とも一致する。

ってことで、とりあえず、少なくとも1Gまで(可能性としては1Kまで)をカッティングしたエンジニアと少なくとも1L以降(可能性としては1K以降)をカッティングしたエンジニアが違うのかなと思っている。

音はどれも悪くないが、やはり1E/1Cの盤が一番良い。
音場の広さや低域の切れが素晴らしく、ボーカルやギターの輪郭が明快だ。
音量をあげると実に気持ち良く鳴るのである。
ラベル:journey Bob Ludwig
posted by 想也 at 20:45| Comment(0) | Bob Ludwig(RL)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月24日

The Rolling Stones, Tattoo YouのUSオリジナル

先日、40周年記念盤が10月22日にリリースされることが発表されたストーンズ(The Rolling Stones)"Tattoo You"(邦題は『刺青の男』だった)は、40年前の今日すなわち1981年8月24日に発売された。

ってことで、聴かないわけにはいかないよねぇ。


20210824-1.jpg


このレコード、ボクが持っているのはUSオリジナル(COC 16052)である。
厚手のインナースリーブに三色の文字が輝く。


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ボブ・クリアマウンテン(Bob Clearmountain)によるミックスに、ボブ・ラディック(Bob Ludwig)によるカッティング。
二人のボブが実に良い仕事をしているのである。
もちろん、送り溝には、両面ともMASTERDISK RLの刻印がある。

もっとも、このレコードを手に入れたのは確か5、6年前のことで、それまでは1986年の再発盤(FC 40502)で聴いていた。
マトが1A/1Aだったので、アナログ初心者だった20年くらい前には、これが初回盤だと信じ込んでいた。
レコード番号が違うんだからすぐに再発だと気づきそうなもんだが、初心者というのは、木を見て森をないことが多いのだ。
1A/1Aなのはヴラド・ミラー(Vlado Meller)によってリカッティングされたからで、まぁ再発盤の音である(笑)
ジャケの印刷も手抜きだし、インナースリーブもペラペラでクレジットの文字も黒一色だ。
いま見れば、まさにコテコテの再発盤なんだけどねぇ・・・

それに対して、USオリジナルは何から何まで素晴らしい。
黒が浮き立つような丁寧なジャケットの印刷。
インナースリーブは厚手で豪華、片隅のクレジットには青赤緑の三色が使われている。
何より、ラディックのカッティングが素晴らしい。

とにかく音が素晴らしいので、「こりゃ完全な初回プレスじゃないか?」と思ったのだが、そしたら、インナースリーブの片隅にこんな書き込みを発見した。


20210824-3.jpg


購入日をメモする人はけっこういるが曜日まで書いてあるのを見た記憶はあんまりない(笑)
それはともかく、どうやら最初の所有者は1981年9月8日にこのレコードを手に入れたらしい。
アメリカでのリリースからほぼ2週間後だ。
これは間違いなく初回プレスが日本に空輸されたものだよね?
ラベル:The Rolling Stones
posted by 想也 at 23:00| Comment(2) | Bob Ludwig(RL)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする