2022年05月03日

空を引き裂いて

5月2日である。

清志郎さんの命日だ。

今年もまた、このレコードを聴いている。


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     ♪ 空を引き裂いて 君がやって来て
     ♪ ぼくらを救ってくれると言った。

『ヒッピーに捧ぐ』では、このフレーズの最後にだけ、句点が打たれている。

この句点の意味を、考えてしまうのである。

R.I.P.
posted by 想也 at 00:33| Comment(0) | RCサクセション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月02日

『シングル・マン』のオリジナル

<送り溝のMI-1373刻印の意味について、匿名さんに教えていただいたので、関連部分を修正しました。>(2021年5月2日22:00)

清志郎さんの命日である。

大好きなアルバム『シングル・マン』を聴くのである。


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カートリッジは、ortofonのCadenza Redにご登場いただく。

しばらく前に、ようやく手に入れたオリジナル盤だからである。


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奥が1980年の再発盤(Polydor MR 3236)で、手前が1976年のオリジナル(Polydor MR 5077)だ。

え?わからない?
だよね(笑)


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帯もないし、違いはこの右上のレコード番号表記だけだからねぇ。

でも、ほんと、ずっと欲しかったレコードだから、レーベルのMR 5077も、ボクには燦然と輝いて見えるのである(笑)


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このレコードの内容については、以前記事にしたことがある(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2015-05-10-1)ので、そちらをご覧いただくとして、今日は、オリジナルと再発の音の違いに関する話題である。

結論から言うと、かなり音が違う。
というのも、再発はリカッティングされているからである。

再発盤の送り溝を見ると、MR-3236という刻印のほかに、MI-1373という刻印もあるので、後者はおそらくマスターテープ番号だろう
このMI 1373というのは、評論家の吉見佑子さんが中心となって立ち上げた「シングル・マン再発売実行委員会」によって当初自主制作限定300枚買い上げという形でリリースされた(最終的には1500枚売り上げたらしい)1979年の自主制作再発盤のレコード番号だとのこと。

だから、ボクは、オリジナルにはMI-1373という刻印だけがあって、オリジナルも再発もカッティングは同じなんじゃないかとと勝手に推測していた。
明らかに頓珍漢な推測をしていたわけだ(笑)

ところがオリジナルを入手してみると、送り溝にあるのはMR-5077の刻印のみで、MI-1373の刻印は見当たらない。当たり前である(笑)
つまり、カッティングが違うのである。

カッティングが違えば、当然、スタンパーの摩耗レベルではない音の違いがある。
このレコードのオリジナルの音は、まさに鮮度抜群の鮮烈な音なのだ。
再発でも十分に良い音なのだが、オリジナルの鮮烈さの前に霞んでしまうのは否めない。

ボクが入手したオリジナル盤のスタンパーは、Side 1はA-1-5だったが、Side 2はA-1-1だったので、かなりの初期スタンパーである。
PMはD6で、1976年4月プレスだ。

このレコードの発売日は、1976年4月21日なので、発売日当月プレスということになるが、予約枚数が多くなければ前月からプレスしなくても十分間に合うので、発売日に店頭に並んでいたものじゃないかと思う。

まぁ、このレコード、オリジナルのリリース時にはあんまり売れなかったから、オリジナルであればスタンパーは大差ないのかもしれないけど(笑)


R.I.P.
posted by 想也 at 22:00| Comment(2) | RCサクセション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月10日

シングル・マン

先週倉庫から持ち帰った「シングル・マン」のLP、なんだかドタバタしていて、まだ聴いていなかった。
ようやくさっき、ターンテーブルに載せて針を下ろしてみた。


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ボクがこのLPを購入したのは1982年の春のこと。
当然、1980年リリースの再発盤(MR 3236)である(ちなみに、1976年リリースのオリジナル盤のレコード番号はMR 5077らしい)。
まぁ、当時も新譜を買ったわけではなく、国立駅前のディスク・ユニオン(当時は国立にもあったんだなー)で中古盤を買ったんだけどね(貧乏学生はめったに新品は買わないのである 笑)。
買ったときから帯もインサートもついてなかったから、帯に書かれたお詫びもインサートの存在も知らなかった。

先週の「名盤ドキュメント」の中でも言われていたことだけど、このレコード、実に音が良い。
レコードを聴いてたら、別にハイレゾ買わなくても、これでいいやって気になってきた(笑)
だって高いんだもんσ^_^;

それにしても、この「シングル・マン」というアルバム、本当に名盤である。

後にロックバンドとしてブレイクするRCの萌芽を感じさせる「ファンからの贈りもの」「やさしさ」「ぼくはぼくの為に」で特徴づけられる「動」のA面が、フリージャズ的な実験作「レコーディング・マン」を挟んで、珠玉のジャズ・バラード「夜の散歩をしないかね」で終わるところなんざ、清志郎さんの引き出しの多さに舌を巻くばかりである。

「冷たくした訳は」をのぞけばすべてバラード曲という「静」のB面には、「ヒッピーに捧ぐ」「甲州街道はもう秋なのさ」「スローバラード」という珠玉の名バラードが3曲もおさめられている。
「ヒッピーに捧ぐ」なんて、むせび泣くような清志郎さんの声を聴いていると、胸が張り裂けそうになってしまうよ・・・

「名盤ドキュメント」の中でアレンジャーの星勝さんが「キング・クリムゾンなんかのプログレを意識していた」みたいな発言があって、ちょっと意外だったのだけど(実際、最終的には、アレンジャー抜きで、つまりメンバーとエンジニアのみでトラックダウンをやり直したせいで、プログレ色は相当に薄められたんだろう)、あらためて聴いてみると、ホーンやストリングスの使い方にかなりプログレ風味はある。

「名盤ドキュメント」では、「甲州街道はもう秋なのさ」のマルチトラックテープから豪華ストリングス・バージョンが紹介されていたけれど、「やさしさ」の「ぼくに背負わせないで~」のあとの展開なんて、"21st Century Schizoid Man"の影響がものすごーく色濃い。
今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。

さて、外はだんだん暗くなってきたことだし、A面最後の「夜の散歩をしないかね」をもう一度聴こうかな。
この曲、清志郎さんのボーカルも良いけど、柴田義也さんのピアノが実に良いのである。
それに楽器の定位がはっきりしていて、ジャズのレコードっぽい。
センター奥にブラシのドラムがいて、その前にベース、左側にピアノがいて(その外側というか前あたりにギターがちょこっと入る)、右側にボーカルである。
センターに女性のささやきが入っているのだが、音量は小さいのにセンターの真ん中にふんわりと浮かび上がる。

実はこのセンターの演出、よく聴くと歌詞とリンクしている。

「ぼくは口笛にいつもの歌を吹く」と歌ったあとに、「あっ」と女性の声。
つまり、口笛の合図に気づいたって設定。
そのあとに女性が窓の鍵を外すような効果音が入り、うれしそうな笑い声。
「きれいな月だよ 出ておいでよ」のあとには、ヒンジがきしむような効果音が入って、窓をあけたんだってことがわかる。
この後は、窓越しの二人の会話なんだけど、設定上、ボーカルの清志郎さんが男性のほうなんで、「ぼくの名前を読んで何かをささやいてる」女性の声だけがセンターに浮かびあがるわけだ。
まぁ「ねぇ見てあそこ・・・」とか「ちょっと待って」ぐらいしか聞き取れないけど。

たぶん、こういう解釈で合ってると思うんだけど、どうだろう?
posted by 想也 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | RCサクセション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする