2025年04月05日

Stanley Turrentine, That's Where It's AtのUSオリジナル

今日4月5日は、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)の誕生日である。

ってことで、このレコードを引っ張り出して聴いていた。


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1962年にブルー・ノートからリリースされたアルバム"That's Where It's At"のUSオリジナル・モノラル盤(Blue Note BLP 4096)である。

このレコードは、ボクにとって、生まれて初めて手に入れたジャズのオリジナル盤だ。

ジャズのオリジナル盤といってもピンからキリまであるから、最初はもっと手軽なものから手を出せばいいのに、いきなりブルー・ノート4000番台だったのにはワケがある。

遡ること20数年前(たぶん、2002年頃)、関内のディスク・ユニオンで、「ジャズのオリジナル盤にも興味あるんだけど。」と言うボクに、紙ジャケ探検隊が「これなんかどう?」と探してきてくれたのが、このレコードだったのである。

当時は、右も左もわからないジャズ・オリジナル盤初心者だ。
紙ジャケ探検隊に勧められて、イヤと言えるはずがない。
というか、そもそも、全幅の信頼を置いていたので、何の疑問も抱かなかった。
それが、内容的に素晴らしいレコードであり、完全オリジナル盤だということに。

実際、これは素晴らしいアルバムだ。
レス・マッキャン(Les McCann)の思いっきりファンキーなピアノ・トリオをバックに、思いっきりファンキーに思いっきりソウルフルに、タレンタインのテナーが歌う。
そこにはジャズの熱さが濃縮されている。

Discogsを見ると、ファースト・プレスの条件というのが箇条書きしてある。

第一に、コーティング・ジャケットの裏の住所表記が、43 West 61st St., New York 23でなけれなならない。


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第二に、両面の送り溝にVAN GELDER刻印がなければならない。


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第三に、両面の送り溝にプラスティライトのマーク(通称イヤー・マーク)がなければならない。


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NEW YORK USAレーベルで、DGありでなければならない。


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うわー!
NEW YORK USAレーベルだけど、DGがないやないかいっ!

いや、でも、1962年だと、もはやDGは必要ないんじゃ?

DGはプレス機に由来していて、古い機械でプレスすればDGがつくが、新しい機械でプレスした場合はDGがつかないってことだったはず。
新しい機械がまだ導入されていない時代にリリースされたレコードは、DGがついてなきゃファースト・プレスとは言えないだろう。
しかし、すでに新しい機械が導入されていた時代なら、複数あるプレス機のうち、古い機械でプレスされたものはDGがあるが、新しい機械でプレスされたものにはDGがないというだけで、DGのないファースト・プレスも存在しうるのだ。

1962年だと、もう新しい機械が導入された後だよね?

ラベル:STANLEY TURRENTINE
posted by 想也 at 20:55| Comment(0) | Rudy Van Gelder(RVG)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月04日

John Coltrane Quartet, BalladsのUSオリジナルMONO

昨日3月3日は、コルトレーン・カルテット(John Coltrane Quartet)での活躍が有名なベーシスト、ジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison)の誕生日だというので、このレコードを聴いていた。


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コルトレーンとギャリソンに、ピアノのマッコイ・タイナー(McCoy Tyner)とドラムスのエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)を加えた、黄金カルテットによる1963年リリースの名盤、"Ballads"のUSオリジナルMONO(Impulse A-32)である。


ボクがアナログ・レコードを集め始めた2000年前後でも、現在ほどではないにしても、ジャズのオリジナル盤はそれなりに高額だった。
だから、オリジナルにこだわって集めたのは、ジャズの場合は、特別に好きなミュージシャンの特別に好きなレコードだけだ。
このレコードは、その一枚である。

しかも、それこそ一番最初に(ろくに知識もないのに)オリジナルを買おうと思った一枚だったので、思いっきり失敗を繰り返し、ようやく手に入れた初盤なのである(涙)

そんなわけで、うちにはこのレコードのMONO盤が三枚ある。


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最初は、「オレンジ・レーベルならオリジナルだよねー」というド初心者のお買い物だ。


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思いっきり光沢のない後期レーベルを買ってしまった。
それでも、製造者表記はこれだったので、最後期ということはなかったのだが。


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オレンジ・レーベルの最後期、1967年から68年の製造者表記は、"ABC RECORDS INC New York NY 10019"になる。
この"A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC."という表記は、1963年から67年まで使用されたものだ。

しかし、この盤には決定的な問題があった。


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そうBellsoundのサム・フェルドマン(Sam Feldman)によるカッティングだったのである。
同じジョンでもレノン(John Lennon)の”Imagine”ならフェルドマンでいいのだが、このレコードの場合は、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)のカッティングじゃなきゃダメなのだ。

ってことで、ボクはすぐにRVGカッティング盤を探し求めた。
でも、まぁ、数はあるので、すぐに見つかる。


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レーベルもちゃんと光沢がある。


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オリジナルMONO盤を手に入れて、ボクは満足していたのである。

しかーし、世の中はそんなに甘くない。

"Ballads"がリリースされたのは、1963年といっても1月なのだ。
"A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC."という製造者表記は、確かに1963年から始まるのだが、1963年の途中から始まるんであって、1963年の最初からではない。
つまり、1月にリリースされた"Ballads"の製造者表記は、"A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC."ではないのだ。

そして、ボクは、レーベルを確認して絶望したのである(いつも大袈裟だっちゅうの)。


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最初はね、もうこれでいいかとも思ったのだ。
製造者表記の変更が何月頃に行われたか知らないが、数か月遅れのレイトってだけでしょと・・・

しかし、それは、ショックのあまり頭が真っ白になってしまったが故の勘違いである。
"A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC."という製造者表記は、1967年まで使用される。
つまり、最大4年遅れのレイトの可能性があるのだ。

特別に好きなミュージシャンの特別に好きなレコードは、完オリ(ジャズのレコードでは、しばしば完全オリジナルを略してこう言う。)で聴きたいんだろ?

セカンド・プレスをターンテーブルに載せるたびに、ボクの中の悪魔がそう囁く。
もはや選択の余地はない。
ボクには、このレコードの完オリが必要なのだ。

そして、ようやくたどりついた。


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VAN GELDER刻印、よし!


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光沢レーベル、よし!


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製造者表記"A PRODUCT OF AM-PAR RECORD CORP."、よし!
(ちなみに、"A PRODUCT OF AM-PAR RECORD CORP."の製造者表記は、1960年から63年まで使用されたものである。)


完オリである。

それにしても、長い道のりだったなぁ・・・

20年以上前の話だけどね。
posted by 想也 at 20:00| Comment(0) | Rudy Van Gelder(RVG)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月04日

Ron Carter, A Song for YouのUSオリジナル

5月4日はロン・カーター(Ron Carter)の誕生日らしいので、ふだんはあまり聴かないこのレコードをターンテーブルに載せることにしよう。


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1978年だから、V.S.O.P.クインテットやザ・グレイト・ジャズ・トリオ(The Great Jazz Trio)なんかで活動していた頃のソロ・アルバム、"A Song for You"のUSオリジナル(Milestone M-9086)である。

ビンテージのWE線材を使用したリード線に交換したShure M44-7は、奥行きが広がった音場でタイトになった低域がリアリティを増している。
カーターのベースがメロディを歌いまくるこのレコードには打ってつけかもしれない。


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レオン・ラッセル(Leon Russell)の名曲をカバーしたタイトル曲も良いのだが、個人的には、B2におさめられた"Someday My Prince Will Come"が好きだ。
ケニー・バロン(Kenny Barron)のピアノ・ソロもとても良い。

録音は、イングルウッド・クリフスのヴァン・ゲルダー・スタジオで行われている。
USオリジナルは、カッティングもRVGなので、送り溝にはVAN GELDER刻印が確認できる。


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うちのはコロムビアのサンタマリア工場プレスで、マトはA-2/B-2だが、Discogsを見ると、両面マト1というのも存在するみたいだ。
ちぇっ・・・

まぁ、でも、きっと、あんまり違わないよね?
(違ったとしても、ふだんあんまり聴かないレコードだからいいか 笑)
ラベル:Ron Carter
posted by 想也 at 12:25| Comment(0) | Rudy Van Gelder(RVG)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする