2022年06月24日

Milt Jackson BLP 1509の謎

TLに誘われて、このレコードを引っ張り出して聴いた。


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ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)のBLP 1509である。
もっとも、うちにあるのはオリジナルではない。

そもそも、ブルー・ノートのオリジナルなんてそんなに持っていない。
ボクがジャズのレコードを集め始めた頃は、現在ほどとんでもない価格にはなってなかったとはいえ、それでもブルー・ノートのオリジナルといえばかなり高額だった。
どうしても欲しかったものは何とかオリジナルを手に入れたが、ほとんどはLIBERTYとかUAとかの再発を買っていた。

このレコードもLIBERTY再発である。


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LIBERTYやUAの再発でも、さらには♪レーベルの再発でも、送り溝にアレがあればいいんである。
そう、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)がカッティングしたことを示す刻印だ。

しかし、このレコードの場合、確かに刻印はあるのだが、ちょっと謎なのである。
なぜなら、この刻印だからだ。


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BLP 1509がリリースされたのは1955年だから、RVGは、まだこのスタンプの刻印は使用していない。
当時はRVGと手書きされていた。
つまり、このレコードも、オリジナルは手書きRVGのはずである。

ってことは、どこかの時点でなんらかの理由で、リカッティングが行われたのだ。
うちの盤、マトがA-1/B-2というのも、リカッティングが行われたことを如実に示している。
B面の数字が進んでいるのが問題なのではなく、そもそも、1500番台のオリジナルの場合、マトはA/Bで終っていて数字はつかない。

うちのLIBERTY再発は、オリジナルで使用されたラッカー由来のスタンパーではなく、リカッティングされたラッカー由来のスタンパーでプレスされたものであることは確実なのである。

では、いつ、どんな理由で、リカッティングが行われたんだろう?

Discogsを見ると、時期的には、NEW YORKレーベル時代にすでにA-1/B-2マトが登場している。
47 WEST 63rd NYCレーベル時代にはまだ登場してなさそうだ。

問題は、リカッティングした理由である。

リカッティングが必要なほど、つまり、最初にカッティングしたラッカー由来のスタンパーを使いきってしまうほど売れたんだろうか?
いやぁ、そんなことはないんじゃないかなぁ。

まったく売れなかったのなら、リカッティングもしないだろうから、それなりに売れてはいたんだと思うけど。
実際、Discogsを見ても、オリジナルのLexingtonレーベルから、47 WEST 63rd New York 23レーベルの盤、47 WEST 63rd NYCレーベルの盤、NEW YORKレーベルの盤が確認できる。
継続的に売れていたんである。
とはいえ、スタンパーを使い切るほど売れていたとも思えないのだが・・・

では、ほかにどんな理由が考えられるだろう?

このレコード、10インチでリリースされた"Wizard of Vibes"(Blue Note LP 5011)に収録されていた8曲に4曲を加えて再構成したもので、録音はRVGではない。

ジャケット裏に書いてあるように、BLP 1509のオリジナルからして、RVGのリマスターなのである。


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もしかして、最初のリマスタリングに、RVG自身、何か不満があったんだろうか?
いや、不満があったとしたら、ライオン(Alfred Lion)か?

もし、そうだとすると、オリジナルよりもNEW YORKレーベル以降のレイトの音ほうが、ライオンの望んだ音だということになる。

そうだといいなー(笑)


まぁ、でも、素直に考えれば、品質を考えて、一枚のラッカーから作るスタンパーを制限していたために、スタンパーが足りなくなったってところかなぁ。
そうだとすると、ジミー・スミス(Jimmy Smith)とか、ばんばんラッカー切ってそうだよね。


それにしても、いつか、手書きRVGのオリジナルと聴き比べてみたいのである。
自分でオリジナルを買うつもりはないけどさ(笑)
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2021年11月29日

LIBERTYレーベルの真実~Herbie Hancock, Maiden Voyage

ハービー(Herbie Hancock)の『処女航海』スペシャル・パフォーマンス@東京JAZZ、実に美しい演奏で、素晴らしかったなぁ・・・
映像もとても美しくて良かったよね。


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さて、前の記事にも書いたように、うちにある"Maiden Voyage”はLIBERTYレーベルの再発ステレオ盤(BLUE NOTE BST 84195)である。


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画像にも映っているように、送り溝には、もちろんVAN GELDER刻印はあるが(UAレーベル再発の最初の頃まである)、耳マークはない。

前の記事にも書いたように、うちの盤はちょっと歪みっぽいので、そのうちオリジナルのモノ盤が欲しいなぁとは思っていたのだが、内容的にものすごく好きなのに、すぐにでも手に入れようと血眼になるようなことがなかったのには理由がある。

”Maiden Voyage”のオリジナルがNEW YORKレーベルなのはわかっていたが、BLUE NOTEがLIBERTYに売却されたのは1965年である。
”Maiden Voyage”も1965年のリリースだ(リリース日が不明なのだが、65年3月17日に録音されているので、65年中にリリースされたのは確実だと思う)。
つまり同じ年なのである。
ってことは、確かにNEW YORKレーベルがオリジナルではあるものの、すぐにLIBERTYレーベルに切り換わったとすると、セカンド・レーベルとはいえ、音質的には大差ないのではないかと思った。

しかも、うちのはステレオ盤である。
1965年~66年といえば、まだモノ盤が主流で、ステレオ盤のプレス枚数はそれほど多くなかったんじゃないかと思う。
だとすると、LIBERTYレーベル初期のステレオ盤は、音質的には「大差ない」どころか「ほとんど変わらない」可能性さえあると思った。

しかし、ボクはひとつ、大きな勘違いをしていた。
どうやら、NEW YORKレーベルからLIBERTYレーベルへの切り換えは、1965年にLIBERTY傘下に入ってすぐに行われたわけではないようなのである。

世間一般には1966年に切り換えが行われたように言われていたので、1966年初頭から切り換えられたと思い込んでいたのだが、初頭どころか66年中でさえなく、もしかしたら、67年になってからかもしれない。

小川隆夫さんの『ブルーノート・コレクターズ・ガイド』(初版)によると、NEW YORKレーベルは4253まで(と4256)で、4255から(4254は80年代までリリースされなかった)LIBERTYレーベルに切り換わったとされている(改訂版で修正されてたらごめんなさい)。


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実際、Discogsでも、(4256や4253や4251では確認できないが)4252や4250のNEW YORKレーベルの存在を確認することができる。
これらはいずれも1967年リリースである。
つまり、NEW YORKレーベルは、67年初頭まで使用されていたのだ。

ってことは、やっぱり、LIBERTYレーベルへの切り換えは、67年初頭だったんじゃないかと思うのである。

さて、では、うちのLIBERTYレーベルのステレオ盤はいつ頃のプレスだったのかというと、どうやら切り換わったばかりの頃のプレスのようだ。


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うちのは直輸入盤に解説を付けて国内販売されたもののようだが、LIBERTYのCSに掲載されているブルーノートのレコードは、4250のホレス・シルヴァー(Horace Silver)"The Jody Grind"までだからである。

66年初頭のプレスじゃないかという期待は木端微塵に砕け散ったが、67年初頭のLIBERTY切り換え時のプレスではありそうで、ちょっとほっとしている。

実際、M44-7で歪みなく再生すれば、LIBERTY再発盤とはいえ、うちの盤、ホント、素晴らしい音で鳴るんだよ。
ラベル:Herbie Hancock
posted by 想也 at 00:01| Comment(0) | Rudy Van Gelder(RVG)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月11日

Chet Baker, She Was Too Good To Me

<記事を書いたときにサボテン・レコードさんから貴重な情報をいただいていたのに、追記を忘れていました。ブログ引っ越しに伴う過去記事チェックで、追記しました。>(2025年5月14日)

去年の秋頃、ラジオから流れてきた"Autumn Leaves"を聴いて、チェット・ベイカー(Chet Baker)の"She Was Too Good To Me”のUSオリジナル(CTI Records CTI 6050 S1)がどうしても欲しくなった。

USオリジナルといっても、70年代半ばのCTIレーベルのレコードだから、Discogsの出品を見ても、美品でも現地価格30~40ドルといったところなのだが、アメリカからの送料を考えると総額は6000~7000円になる。

これはCTIのレコードに出す金額としてはちょっと高い。
(個人の感想です 笑)

そんなわけで国内での出会いに期待していたのだが、国内に流通しているのは当然ながら圧倒的に国内盤である。
なかなかUSオリジナルにはめぐりあわない。
結局、手に入れるまでに半年ほどかかってしまった。


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今回手に入れたのは、惚れ惚れするくらいの美品である。
CSの抜けさえない(笑)
しいてあげるとすれば、ジャケットの端に一か所、コーティングの浮きがあるが、もともと美品コレクターではないボクにはまったく気にならない。

ところで、このレコードのジャケット、手に入れるまでは、何か抽象的なイメージかと思っていたのだが、女性?の横顔だったのね。


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チェットの哀愁にみちたトランペットが切ない”Autumn Leaves"ももちろん良いのだが、このアルバムはやっぱりタイトル曲"She Was Too Good To Me"がいいよねぇ・・・

男はいつも身勝手で、失ってはじめて、いつもそばにいてくれた彼女の大切さに気づくもの・・・
あっ、こういうのは、男に限らないか(笑)


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このレコードには手持ちのカートリッジではSPU-GTが一番合ってるかなぁ?

ところで、今回入手したレコードは、両面VAN GELDER刻印なのは当然として、マトがA-4 RE/B-3 REなんである。
Discogsを見ても、これより若いマトは出ていないんだが、A-4 RE/B-3 REが初回マトでいいんだろうか?

何かご存知の方は、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m


サボテン・レコードさんから、「マトA-3/B-4のWLPとマトA-4/B-4のWLPが存在していて、どちらもREがついていない」との情報をいただいた。
いつか出会えますように・・・

サボテン・レコードさん、ありがとうございました!
ラベル:CHET BAKER
posted by 想也 at 15:21| Comment(0) | Rudy Van Gelder(RVG)の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする