2025年01月18日

ステッカーで考レコ学~Randy Travis, Storms Of LifeのUSオリジナル

カントリー・ロックなら日常的に聴いているが、ど真ん中のカントリー・ミュージックとなると、ほとんど聴かない。

それでもたまに無性に聴きたくなるときがあって、こんなレコードを引っ張り出したりする。


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1980年代半ばのネオ・トラディッショナル・カントリー・ムーブメントを牽引した一人、ランディ・トラヴィス(Randy Travis)が、1986年6月にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム、"Storms Of Life"のUSオリジナル(Warner Bros. 1-25435)である。

このレコード、カッティングがTMLのマイク・リーズ(Mike Reese)によって行われていて、音もすこぶる良い。

裏ジャケには"Originally mastered at Mastering Lab by Mike Reese"とクレジットされているので、レイトになるとTMLカッティングではないものもあるのかもしれないが、うちのには両面にTML-M刻印があるので、とりあえず合格である。

ただ、気になるのは、シュリンク上に貼られたステッカー二枚だ。

この手の「ヒット曲が入ってるよ」とか「なんちゃら賞を受賞したよ」とかいうステッカーは、初回盤じゃないことの証明だったりするからである。

「ヒット曲が入ってるよ」ステッカーについては、シングル先行リリースでないと、初回盤に貼ってあることはありえないし、「なんちゃら賞を受賞したよ」ステッカーについては、その受賞がリリースに先行してなきゃいけないので、さらにハードルが高くなる。

では、このレコードの場合はどうか。


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まず、「ヒット曲が入ってるよ」ステッカーについては、"1982"と"On the Other Hand"がすでにヒットしていたはずである。
ってことで、英語盤Wikiでリリース日を確認すると、"On the Other Hand"が1985年7月、"1982"が1985年12月リリースだ。
アルバム・リリースの前年にリリースされていたんである。
つまり、このステッカーは初回盤に貼られていておかしくない。

では、「なんちゃら賞を受賞したよ」ステッカーの方はどうか。
Academy of Country Musicというところが、Top New Male Vocalist of the Yearという賞をトラヴィスに授与したのが何年なのかが重要である。

幸い、Academy of Country MusicのWebサイト https://www.acmcountry.com/ があって、過去の各賞受賞者が検索できるようになっていた。
トラヴィスがTop New Male Vocalist of the Yearを受賞したのは1985年、やはり、アルバム・リリースの前年であった。
つまり、このステッカーも初回盤に貼られていておかしくない。

ってことで、うちの盤も初回盤でいいんじゃないかなー

このアルバム、300万枚以上売れたらしいので、レイトもたくさんありそうだ。
初回盤だと確認できて嬉しいのである。

あっ、でも、前年からシングル・ヒットを飛ばしていて、新人賞みたいのまで受賞していたわけだから、初回盤も大量にプレスされてたのか?
だとしたら、初回盤でも、あんまり有難味はないか(笑)
ラベル:Randy Travis
posted by 想也 at 21:15| Comment(0) | TMLの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月06日

David Lindley, El Rayo-XのUSオリジナル

<Kaori Eさんから、日本盤の発売日情報をいただいたので、修正しました。>2023年3月6日9:00

この週末は、浜松の両親のところに行っていたので(夕べの記事については、土曜の朝、出発前に、写真だけ撮っておいた。)、デヴィッド・リンドレー(David Lindley)の『化けもの』(El Rayo-X)は、スマホ(Spotify)で聴いていたのだが、帰宅後あらためて、アナログで聴いた。


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『化けもの』のタイトルがついた日本盤(ワーナー・パイオニア P-11016Y)の方ではなく、USオリジナル(Asylum Records 5E-524)の方である。

昨日の記事の写真でもわかるように、うちの日本盤は見本盤で、スタンパーも両面1-A-1なのだが、音質的にはUSオリジナルに軍配があがるからである。

Wikiによれば、"El Rayo-X"の米本国でのリリースは1981年4月なのだが、日本盤は、見本盤のPMが1-5で1981年5月プレスであることや、小倉エージさんの解説の脱稿が4月になっていることから推測して、おそらく6月リリースであるKaori Eさんからの情報によると5月25日だったようです(残念ながら、見本盤レーベルに発売日は明記されていなかった)。
そうすると、日本盤は、本国から2カ月1か月ほど遅れての発売になるので、鮮度的なハンディがあることは否めない。

それに、USオリジナルは、TMLカッティングなのである。
裏ジャケに明記されているように、マスタリングを行なったのは、ダグ・サックス(Doug Sax)とマイク・リーズ(Mike Reese)だ。
弾むように鳴る低域が実に心地良い。

初回盤のレーベルは、まだクラウズである。
ブラック&オレンジ・レーベルに変わるのは、1984年だと思う。


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この頃ののアサイラムは、東部のスペシャルティ(SP)と西部のアライド(AR)でプレスが行われていたが、うちのはアライド・プレスだ。
ウエスト・コースト・サウンドは、やっぱり、西部プレスで聴かないとね(笑)

Discogsを見ると、スペシャルティ・プレスのマトは両面数字がついていないSP、アライド・プレスのマトは両面1ARしか登録されていない。
2セットしかカッティングされなかったんだろうか?

刻印は、アライド・プレスの両面1ARは、TML-S/TML-Mである。


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写真を撮ってはじめて気づいたのだが、Side 2の方、微妙に塩ビ焼けしてるのかしらん?
まぁ、音に影響が出てないからいいか・・・

話を刻印にもどすと、スペシャルティ・プレスは、両面TML-Mのようだ。

TML-MとTML-Sはカッティング・レースの違いだが、どのように使い分けられていたのか、いまだにさっぱりわからない。

何かご存知の方(あるいは、仮説を立てている方)、ぜひ教えてくださいな。
ラベル:David Lindley
posted by 想也 at 01:09| Comment(0) | TMLの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月11日

Whitney Houston, Whitney HoustonのUSオリジナル

今日は、紙ジャケ探検隊、urbantango82さん、ハルちゃんの三人がうちに遊びに来てくれて、新年会だった。
「新年会って、もう2月やないかいっ!」って声が聴こえてきそうだが、ほら、年末年始はうちが新型コロナで隔離状態だったので、仕切り直しになったのである。

この新年会、紙ジャケ探検隊がいるんだから、毎年のことだが、そりゃもうディープである。
今年も、真っ白いレーベルにマジック書きの盤やら、BBCって書いてある白緑レーベルの盤やら、物凄い音のイタロのオリジナルやらが飛び交っていた(笑)

そこで宿題をもらったり、紙ジャケ探検隊からとても貴重な手土産をもらって新たな発見をしたりしたのだが、それらについては、もう少し整理した後で報告することにしよう。

みんなが帰った後、今日2月11日はホイットニー(Whitney Houston)の命日なので、このレコードをターンテーブルに載せた。


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1985年にリリースされたファースト・アルバムのUSオリジナル(Arista AL 8-8212)である。

このレコードについては前にも取り上げたことがあって、TMLの素晴らしい仕事であることは、すでに紹介済みだ(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2017-02-12 をどうぞ)。

ただ、今日初めて気づいたことが二つある。

一つは、Discogsを見て知ったのだが、このUS盤、音源の差替えが行われてるんだそうだ。
B4の"Greatest Love of All"が、初回盤におさめられていたピアノのイントロではじまるアルバム・バージョンから、シンセのイントロではじまるシングル・バージョンに差し替えられているのだという。

"Greatest Love of All"がシングル・カットされたのは1986年3月だから、差替えはそれ以降だろう。
差替え盤はSTERLINGカッティングらしいので、1987年のセカンド・アルバムのリリースに合わせてリカッティングが行われたんじゃないかと推測する。

一瞬、差替え盤を探そうかと思ったが、シングルを買えばいいだけの話よね(笑)


もう一つ気づいたことがあるのだが、それは、Discogsにはまったく書かれていない。

実は、うちの盤、透っけ透けなんである。


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RCAのインディアナ工場プレスなのだが、このレコード、インディアナ工場プレスであればすべて半透明盤なのか、それとも、インディアナ工場プレスには透ける盤もあるという程度なのかはわからない。

貴方の家のホイットニーは透けますか?

R.I.P.
ラベル:Whitney Houston
posted by 想也 at 23:23| Comment(6) | TMLの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする