2023年04月05日

あいが始まる前~Colosseum II, Strange New FleshのUKオリジナル

<いろいろ情報をいただいて、新たにわかったことがあるので、追記しました。>(2023年4月9日19:00)

あいが始まる前は恋である。
きゅん。
って、違う。そうじゃない。

「あいが始まる前」でピンときた貴方は、すでに病状がかなり進行している。
もはや諦めた方がいいかもしれない。
ボクはもう諦めている(笑)

では、考レコ学クイズ17の解答編である。

他力本願児さんから、②だという解答があった。
セカンド・プレスは歌詞等付インサートに仕様変更されていて、カスタム・インナースリーブというのがファースト・プレスの証じゃないかというわけだ。
なるほど、実際にそのような仕様変更があったとすると、(非常にありそうな仕様変更ではあるし)その前後でファースト・プレスとセカンド・プレスを区別することには合理性がある。

しかし、Discogsの登録からはそのような仕様変更はわからない。
UKオリジナルが2枚登録されているが、いずれも厚紙インナースリーブ(Cardboard Inner Sleeve)とされている。
(汎用インナースリーブ+歌詞等付きインサート仕様のものを、他力本願児さんは、実際にお持ちだということで、さらに、TLで、まっつんさんから画像を見せてもらい、ボクも実在することを確認しました。)

それに、仮に、インナースリーブ→インサートの仕様変更があったとしても、インナースリーブの時期でもファースト・プレスとセカンド・プレスが区別できるんじゃないかというのが、ボクの出題の意図なんである。

他のインナースリーブの仕様変更(厚紙から薄紙になったとか、角のカットの仕方や取り出し口のカットの仕方が変わったとか)があったとしても、同じことが言える。

ってことで、正解は②ではない。


TLでは、路傍の石さんやxxxeizoooxxxさんから、①または③からIsland配給であることがわかるが、Island配給ならファースト・プレスということじゃないかという解答があった。

確かに、Bronzeは、1977年にIslandからEMIに、さらに1980年にはPolydorに配給が変わる。
ただ、Discogsを見ても、EMI時代やPolydor時代の再発は登録されていない。
それに、仮に、EMI時代やPolydor時代の再発があったとしても、Island時代にすでに、ファースト・プレスとセカンド・プレスが区別できるんじゃないかというのが、ボクの出題の意図なんである。

①については、クレジットの違いではなく、ジャケットの色味の違いという点に注目する人もいたかもしれない。
実際、ボクがこのレコードを購入したとき、お店には3枚のUKオリジナルが置いてあって、緑っぽいものが一枚と青みの強いものが二枚だった。
で、実物を比較したとき、緑っぽいものが初回盤ぽい感じがしたことも、このレコードを初回盤だと判断して購入した一つの理由だったのである(でも、緑っぽいことは、青みの強いものと並べてみないとわからないよね)。


20230404-06.jpg


しかし、色味の違いは個体差の可能性もあり、決定的な証拠にはならない。
初回盤は緑っぽかったんじゃないかと思ってはいるが、断定はできないと思っている。

③については、TLで、ノイさんから、外周に隆起がある(CBSプレスだとわかる)レーベル形状のものがファースト・プレスで、フラット・レーベルがセカンド・プレスということじゃないかという解答があった。

確かに、Discogsにはフラット・レーベルというのが登録されている。
しかし、それが登録されているところにフラット・レーベルと説明されているわけではなく、外周隆起レーベルのところに、「あっちはフラット・レーベル」みたいな書き方だ。
ってことで、あのフラット・レーベルは、ホントにフラットなのかあやしいと思う。

うちの外周隆起盤も、写真の撮り方次第では、こんな風に見える。


20230404-07.jpg


フラット・レーベルなんて存在しないんじゃないだろうか。
少なくとも、ボクは、そこでファースト・プレスとセカンド・プレスが区別できるとは思っていないんである。

ってことで、①と③も正解ではないことになるから、正解は④である。

「マトが両面1Eとか、そんな初歩的なもん、出題するなよなー」と思った貴方!
もちろん、そんな初歩的な問題ではない(笑)
そもそも、このレコード、マトは両面1Eしか存在しないだろう。

着目すべきは、「あいが始まる前」である。

1976年のIsland配給のCBSプレスなので、このレコードも、メッキ処理は、Gedmal Galvanic Ltd.で行われている。
送り溝には、Eddy Goreckiによるメッキ処理であることを示すEGサインもある。


20230404-08.jpg


1976年のEGメッキといえば、以前、ジェスロ・タル(Jethro Tull)"Too Old To Rock 'N' Roll: Too Young To Die!"のUKオリジナルに関連して、話題にしたことがある。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-11-20

"Too Old To Rock 'N' Roll: Too Young To Die!"は1976年4月23日リリースなので、"Strange New Flesh"とは僅か4日違いである。
送り溝からのファースト・プレスの判断方法も、同じはずだ。
つまり、注目すべきは、一番先頭の2ということになる。


20230404-05.jpg


この2はスタンパー・ナンバーだと思われるが(スタンパー・ナンバーが2って、EMIならR、DeccaならUで、コレクター感激の若さだ)、ファースト・プレス用に何枚スタンパーを作ったかわからないので、数字の大きさからファースト・プレスとセカンド・プレスを区別することはできない(ちなみに、マザー・ナンバーは、EGサインの画像のところに映っている1だと思う)。

決定的なのは、この2というスタンパー・ナンバーの前に”Iー”がついていないことだ。
「あいが始まる前」がファースト・プレスで、「あいが始まった後」はセカンド・プレスだと考えられるのである。

Discogsの登録を見ると、少なくともスタンパー・ナンバー20からは”Iー”が付いている。
いくつから”Iー”が付くようになるのかわからないが、Discogsの登録では、14ではまだ付いていないようだ。

Side 1とSide 2を区別せずに見ていたが、その後寄せられた情報では、Side 1には”Iー”付きスタンパー・ナンバーの報告がなかったので、”Iー”付きが存在するのはSide 2のみなのかもしれない。
Discogsを見ると、Side 1のほうは、14や15でも”Iー”無しのようだ。
一方、Side 2のほうは、12ですでに”Iー”付きがあるようだ。
もっとも、12には”Iー”無しも存在するようで、このあたりは端境期の産物だと思うのだが、ちょっと不可解である。

いずれにせよ、ファースト・プレスの特徴としては、「両面とも”Iー”無し」に訂正する必要があるだろう。

ってことで、うちのSide 2の送り溝である。


20230409-01.jpg


Side 2も、一番先頭に刻まれているのは、2のみで”Iー”は付いていない。


いずれにせよ、”Iー”付きになったところで、少なくとも、追加で二回目のメッキ処理が行われたことを示すわけで、ここからセカンド・プレスと言っていいと思うのである。

Discogsには、”Iー”付きは”Iー20”の一枚しか登録されていないが、ボクがこのレコードを購入したとき、数字までは憶えていないが、購入したもの以外の2枚は”Iー”付きだった。
それで、「あいが始まる前」のファースト・プレスは案外少ないんじゃないかと思っていたのだが、考えてみれば、偶々ということもありうるよね。
ってことで、「あいが始まった後」のセカンド・プレスもけっこう存在するのか、あんまり存在しないのかについては、よくわからない。
posted by 想也 at 22:40| Comment(0) | Gary Moore | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月06日

Rockin' Every Night – Live in Japanの日本オリジナル

2月6日は、ゲイリー・ムーア(Gary Moore)の命日で、ボブ・マーリー(Bob Marley)の誕生日である。

まずはどちらを聴こうかとレコード棚を眺めていたら、"Wishing Well"のカバーのライブ・バージョンが無性に聴きたくなった。

ってことで、このレコードを引っ張り出した。


20230206-01.jpg


1983年1月24日と25日の新宿厚生年金会館でのライブをおさめた"Rockin' Every Night – Live in Japan"の日本オリジナル(Virgin VIL-6039)である。
帯に書いてある通り、当初は、日本独占発売だったから、これは日本盤がオリジナルだ。
ビクター・プレスで音もすこぶる良い。

送り溝を見ると、次のように刻印されている。

VIRG - 6039A 111 ⁜ E
VIRG - 6039B 112 ⁜⁜

Side 1の⁜は点が4つなので、数字に変換すれば5、Side 2の⁜⁜は二つ目の⁜が点無しなので、数字に変換すれば6である。
つまり、ラッカー・ナンバーは両面1で、マザーはSide 1が1でSide 2が2、スタンパーはSide 1が5でSide 2が6だ。
かなりの初期プレスである。

このレコード、発売日がいつかと調べたら、英語版WIKIに1983年5月21日と書いてあった。
それが正しいとすると、PMがEということは、1983年5月プレスだから、うちのは発売当月プレスということになる。
PMからも初期プレスであることが裏付けられた。

マザー/スタンパーとかPMとか特に気にしてなかった頃にテキトーに買ったものなのだが、どうやらアタリだったようだ。
このレコード、けっこう売れたので、マザー/スタンパーやPMが進んだ盤もそこそこ存在しそうだから、少し嬉しい(笑)

それにしても、"Wishing Well"から"I Can't Wait Until Tomorrow"への流れは、ホント好き。

そうそう、写真を撮り忘れたけど、ビクター・プレスだから、当然、半透明盤だよ。

R.I.P.
ラベル:Gary Moore
posted by 想也 at 23:21| Comment(0) | Gary Moore | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月29日

Gary Moore, Back on the StreetsのUKオリジナル

ゲイリー・ムーア(Gary Moore)"Back on the Streets"のUKオリジナルをもう一枚買ってみた。


20170729-1.jpg


奥が以前から持っていたもので、手前が先日入手したものである。
一見してわかるように、今回入手したものには、左上部にステッカーがない。

このステッカー、Discogsを見ると1978年にリリースされたEMI配給のUKオリジナル(MCA Records ‎– MCF 2853)のところのジャケット画像にはなく、翌1979年に配給がCBSに移ったあとの再発( MCA Records ‎– MCL 1622)のところのジャケット画像にはあるので、「UKオリジナルの初盤には貼ってあっちゃいけないんじゃないの?」と、ちょっと疑問に思ってはいた。

もちろん、以前から所有していたステッカー付の盤も、EMI配給のUKオリジナルである。
Matrix末尾は両面1Uで、竪琴のシンボルマールがあるので、ロンドンのユートピア・スタジオ(Utopia Studios)でマスタリングされたものであることがわかる。

ちなみに、CBS配給に変わったあとのCBSプレスでは、両面Matrix末尾1にBILBO TA1PE刻印(ロンドンのマスタリング・スタジオTape OneのDenis Blackhamによるマスタリング)となるようだが、これは聴いたことがない。

そういえば、CBS配給に切り替わった直後は、まだレコード番号もMCF 2853のまま、EMIから引き継いだスタンパーを使ってCBS工場でプレスされていたものがあったようなので(ジャケット裏の下部の配給表記がシールでCBSに修正されているもので、盤のほうは、レーベルはほとんど初盤と同じだが、下部のリム先頭のEMI RECORDS LTDが削られている)、いつ頃にラッカーの切りなおしが行われたのかは、ちょっとわからない。

話がちょっとそれた。
「初盤にはステッカーが貼ってなかったんじゃないか?」という話だった。

ステッカーに書いてあるのが"Includes Parisienne Walkways and Back on the Streets"というのも微妙である。
これが"Hit Single"とでも書いてあれば、("Parisienne Walkways"は先行シングルではなく、翌年にシングルカットされたものなので) 明らかに初盤には貼ってなかったことがわかるのだが、"Includes"というだけなら、初盤に貼ってあってもおかしくはない。

ってことで、買ってみたのである。
えっ?どういうことかわからない?
それは裏を見ればわかる(笑)


20170729-2.jpg


奥が以前から持っていたもので、手前が先日入手したものである。
えっ?光っててよくわからない?
では、拡大しよう(わざとらしいっちゅうの 笑)


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とはいえ、この手のゴールド・プロモ・スタンプは、通常盤に押してあるだけなので、初回リリース時のプロモーション用に配られた可能性もあるが、その後の何か別のプロモーションの機会に配られた可能性もある。
まぁ、EMIのスタンプなんで、CBSに配給が移る前であることだけは確かだが・・・

そこで見るのは、9時3時である。
そう、英EMIでプレスされたレコードのRunoutの9時3時(Runoutを時計に見立ててメインのMatrixを6時に置いたときの9時と3時の位置のこと)にはマザー(9時)とスタンパー(3時)の情報がある。
英EMIの場合、1Gが最初のスタンパーだ。

そう、今回ボクが入手した盤の9時3時は、両面1G(Matrix末尾はもちろん両面1U)だったのだ。
初回リリース時のプロモーション用に配られたものとみて間違いないと思うのである。

もちろん、プロモーション用だからステッカーが貼ってないということもありえないことではないが、逆に、ステッカーがすでにできていたのなら、プロモーション用にはなおのこと貼りたくなるんじゃないかって気もする。

ラミネート・コーティングのジャケットのため剥がそうと思えば綺麗に剥がせるので断定はできないのだが、初回出荷分にはステッカーが貼ってなかった可能性が否定できないと思うのである。

ちなみに、以前から持っていた盤(Matrix末尾はもちろん両面1U)の9時3時は、2RM/1RG(24番目と21番目のスタンパー)でかなり進んでいる。

レーベルはまったく同じである。


20170729-4.jpg


ただ、ステッカー以上に大問題の違いが一つあるのだ。


20170729-5.jpg


以前から持っていた盤のインナースリーブは実に美しい両面ラミネート・コーティングだったのだが、今回入手したプロモ盤のインナースリーブはラミネート・コーティングではないのだ。

このインナースリーブについてはまったく情報を持っていないのだが、仮にレイトでラミネート無しのインナースリーブが存在するとしても、それが入れ替わったということは考えにくい気がする。

「中古なんだから、入れ替わった可能性は否定できないだろう」と言われればその通りなのだが、とにかくレイトっぽくないんである。
この手のインナースリーブってレコードの出し入れをするところや4つの角とかが、かなり特徴的にカットされていて、レイトになると、そのカットの具合が変わることが多いし、紙質も変わる(だいたい薄くなる)ことが多いのだが、ラミネート・コーティングのインナースリーブと、カットも紙質(紙の色自体はちょっと違うが紙の質は同じに見える)もまったく同じなのである。

ってことで、これもごく初期だけ、「インナースリーブはラミネート・コーティングじゃなかったんじゃないか?」という疑問がわいてくるのである。

そもそも、インナースリーブにまで両面ラミネート・コーティングされているのってあんまり見ない。
思い浮かぶのはクイーン(Queen)の"Jazz"ぐらいである。
そして、"Jazz"がリリースされたのが1978年11月10日で、"Back on the Streets"がリリースされた9月30日と一月ほどしか違わないのだ。

インナースリーブにまで両面ラミネート・コーティングしろなんて言い出したのはむしろクイーンで、ゲイリーのほうは「あっ、じゃ、俺も!」なんてことだったとすると、"Back on the Streets"の初回出荷分についてはラミネート・コーティングじゃなかったって可能性もあるんじゃないかと思ったりするわけである。

いやぁ、ここまで空想(妄想?)を繰り広げられるなんて、レコードってホントにいいもんですね(笑)
ラベル:Gary Moore
posted by 想也 at 16:29| Comment(6) | TrackBack(0) | Gary Moore | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする