2022年01月08日

Thin Lizzy, ChinatownのUKオリジナル

1月4日のこと、フィル・ライノット(Phil Lynott)の命日だったので、シン・リジィ(Thin Lizzy) ”Chinatown”のUKオリジナルを聴いていたのだが、なんとなく気になってDiscogsを見てみたら、なんとマトが4/1で登録されているじゃないか。

ボクは打ちひしがれた。

うちの盤のマトは4/2なんである。

どこで聴いたか憶えていないのだが、このアルバムのUKオリジナルは、エンボス・ジャケットで厚紙インナースリーブだったら初回盤でいいんじゃなかったんかいっ!


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うちのだって、エンボス・ジャケットで厚紙インナースリーブだぞ。
インナースリーブが厚紙なのはどう撮っていいかわからないので、エンボス・ジャケットだけ接写で紹介しておこう。


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なのに、なんでマト4/2なんだ?
初回盤じゃないのかよ・・・

しかし、ここで耳寄りな情報を得た。
マト4/1盤を持っているというurbantango82さんがスタンパー情報を提供してくれたのだが、1224/1113だというのだ。

その情報のどこが耳寄りなのかって?
うちのマト4/2のスタンパーは、1213/1113だったのである。

Side 1は同じマト4だが、urbantango82さんのマト4/1盤のスタンパーより、うちのマト4/2盤のスタンパーの方が若いのだ。
これはどういうことかというと、Side 2のマト1とマト2は同時にカッティングされた可能性が高いということである。
つまり、マト4/1だけでなく、マト4/2も、初回盤と言っていいかもしれないのだ。

そもそもSide 1のほうはオッケーが出るまでに4枚もラッカーを切っているわけだから、Side 2のほうも最初から2枚のラッカーを切ってたって、ちっともおかしくない。
もう、マト4/2も初回盤に違いないという気になってきた(笑)

もちろん、若いスタンパーのマト4/1があったら欲しいが、いまうちにある盤も初回盤として大切にしようと思ったのであった。

さて、うちの盤だが、レーベルのグラデーションが通常のオレンジ・レーベルよりも弱くて一番下にいっても黄色というより薄いオレンジ程度にしかならない。


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まぁ、でも、これは個体差かな?
いや、Vertigoのレーベル・デザインの変遷についてはあまり詳しくないのだが、"Chinatown"がリリースされた1980年というのは、スペースシップ・レーベルからオレンジ・レーベルにちょうど切り替わった時期で、初期はグラデーションが弱かったとかそういうことがあったらいいなーと思ったのである(笑)

このアルバムからは、カッティングがThe Town Houseになる(前作まではUtopia Studios)ので、送り溝には"TOWNHOUSE"刻印がある。


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エンジニアはイアン・クーパー(Ian Cooper)で、インナースリーブに明記されている。

音質の方は、中低域の分厚いUK盤らしいぶっとい音で、イアン・クーパーさん、なかなか良い仕事をしているんじゃないかと思う。

音量をあげれば、これぞハードロックって鳴り方で、とても気持ち良いのである。
ラベル:Thin Lizzy
posted by 想也 at 00:09| Comment(4) | Thin Lizzy | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月28日

Thin Lizzy, Shades Of A Blue OrphanageのUKオリジナル

ちょっと前に、ツイッターのボクのTL上で、シン・リジィ(Thin Lizzy)"Shades Of A Blue Orphanage"のUKオリジナル(Decca ‎TXS 108)のことが話題になった。

このレコードのUK盤のレーベルには、ブルー、グリーン、グレーという3つのカラーバリエーションがあるのだが、いずれがファースト・プレスなのか、よくわからない。

メインのMatrixは ZAL-11209.P-2/ZAL-11210.P-3でずっとかわらない(80年代の再発ではかわるけど)ので、スタンパー情報が頼りなのだが、Discogsにもあんまり載ってなくて、情報が決定的に不足しているのである。

とりあえず、グレー・レーベルについては、Discogsに掲載されているもののジャケットに"SPECIAL LONDON IMPORT"のステッカーが貼ってあるので、輸出仕様なんじゃないかと推測しているが、確証はない。

また、Discogsには、℗1972が6時方向にあるブルー・レーベルがファースト・プレスだとの記述もあるが、℗1972が3時方向にあるブルー・レーベルがレイトというのは確かだとしても、「ファースト・プレスは℗1972が6時方向にあるブルー・レーベルでなければならない」かどうかは定かではない。
グリーン・レーベルだって、℗1972は6時方向なんである。

どのみちよくわからないので、ボクは、ある一つの情報のみを頼りに、とにかく一枚買ってみた。


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くぅ~
このジャケ、たまらん!

で、レーベルは、グリーンである。


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そして、ボクが頼りにした情報はコレだ。


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そう、CSの日付である。

実を言うと、ebayの写真は逆さまで解像度もあまり高くなかったので、この9-72が2-72に見えた。
"Shades Of A Blue Orphanage"のリリースは1972年3月10日なので、CSが入れ替えられていなければ、ファースト・プレスに間違いないと推測したのである。

ところが、届いてみたら、写真の通り9-72だった。
ビミョーである。

ちなみにスタンパーは1H/1Gだった。
1B/1Bなら文句なしにファースト・プレスだと言えたのだが、これまたビミョーである。

しかし、このアルバム、当初はあまり売れなかったらしい。
シングル"Whiskey In The Jar"(Decca F 13355)のスマッシュ・ヒットで知名度があがる以前に、追加プレスが行われたというのも考えにくい気がする。

"Whiskey In The Jar"のリリースは1972年11月3日、ヒット・チャートに入るのは翌1973年1月20日である。
1972年9月の時点では、まだファースト・プレスしかなかったんじゃないだろうか。

ってことで、ボクは、さしあたり、これがファースト・プレスでいいんじゃないかと思っているのだが、果たして真相やいかに?
ラベル:Thin Lizzy
posted by 想也 at 21:53| Comment(2) | Thin Lizzy | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

Thin Lizzy, Live and Dangerous UK盤の不思議

シン・リジー(Thin Lizzy)の名作ライブ"Live and Dangerous"のUK盤(Vertigo 6641 807)には一つの不思議がある。


しばらく前にレコード・コレクターズで紙ジャケ探検隊の報告があったSide 1のMatrix末尾1をめぐる不思議である(2017年2月号に掲載された紙ジャケ探検隊の「私の収穫2016」をご覧ください)。


"Live and Dangerous"のUKオリジナル(いわゆる初期プレス盤)には、Side 1のMatrixが1のものは存在しない。 ところが、1980年前後のレーベルがスペースシップからオレンジ・イエローに切り替わる時期になって、突如として、Side 1のMatrixが1の盤がプレスされた。


しかも、これには、冒頭にナレーションが入り、ドラマ仕立てで1曲目のJailbreakが始まるという、実に楽しい演出が収録されていて、オリジナルとはまったく違う出だしだというのである。


これは何としても聴いてみたい。

ってことで、ずっと探していたのだが、なかなか見つからない。

半分諦めていたのだが、見つかるときは簡単に見つかるものである。

昨日、サクッと手に入ってしまった。


早速聴いてみると、これが実に楽しい(笑)

何度も繰り返し聴いてしまった。



さて、この盤、肝心の1枚目が80年前後から使用された(正確にはいつから使用されたか知りませんσ^_^;)オレンジ・イエロー・レーベルで、2枚目がスペースシップになっているものしかないと思っていたのだが、今回ボクが入手したものは、1枚目もスペースシップだった。



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オレンジ・イエロー・レーベルのものより、ちょとだけプレスが早いのかもしれない。


しかし、スペースシップのMatrix末尾1だからといって、これがオリジナル・ファースト・プレスだという可能性があるのかというと、それはない(笑)


一応、その根拠を明らかにしておこう。


ボクが手に入れた盤の4面全部のMatrix末尾は1/2/3/1である。

Discogsに掲載されているMatrix情報とボクが以前から所有していた盤のMatrix(4/2/1/1―これはDiscogs未掲載)を合わせて考えると、おそらく、1枚目は3/1か4/1か5/1→3/2か4/2か5/2へと変遷、2枚目は1/1→3/1へと変遷した。

しかも、1枚目の変遷のほうが先行しているっぽい。

そうだとすると、Side 2のMatrixが2で、2枚目のMatrixが3/1というのは、相当に後のプレスということになる。

Side 1がMatrix 1でも、他の面は全部レイトをあらわしているのである。

つまり、ファースト・プレスのわけがない。


もう一つ、手持ちの4/2/1/1との比較も証拠になる。

Side 2のMatrixがどちらも2なのだが、Side 1のMatrixが1の盤のほうが、Side 2のマザー/スタンパーがはるかに進んでいるのである。 わかりにくいので表にしてみよう。

1/2/3/1盤と4/2/1/1盤の1枚目の比較
Side 1のMatrixSide 2のMatrixSide 2のスタンパー
1239
426


ここから、Matrix末尾4/2の盤よりも、Matrix末尾1/2の盤のほうが、はるかにレイトプレスであることがわかる。

つまり、ファーストプレスのわけがない。


では、何故、レイトになって突如、Matrix末尾1の盤が現れたのか?

これは紙ジャケ探検隊も推測しているように、ボツにしたのが誤って復活してしまったという可能性が一番高い気がする。

すべて廃棄されたはずのスタンパーが1枚だけ残っていて(コピーシェル用に別に保存されていて廃棄されなかったとかさ)、それが使われてしまったのではないかと思うのである。

まぁ、妄想だけどね(笑)



さて、今回手に入れた盤だが、レイトが一般にそうなのかどうかわからないけれども、ジャケットがずいぶん黄色い。



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ただ、インナースリーブは厚手のものがちゃんと付属していた。



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残念ながら、オリジナル盤に付属していたこのインサートは附属していなかった。



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(こちらは、今回入手したものではなく、以前から持っていたオリジナル盤とインサート)



ジャケット写真の一瞬前か一瞬後かを捉えたこのインサートの写真も実に良い写真である。

最後まで、ジャケット写真をどちらにするか迷ったんじゃないだろうか。


あれ?でも、Discogsには、このインサートの写真が掲載されてないどころか、付属していたという記述すらないぞ・・・


これ、裏は”The Thin Lizzy Collection"というタイトルで、Vertigoからリリースされた"Nightlife"から"Bad Reputation"までの5枚のアルバムの写真が掲載されているものなので、このライブ・アルバムで初めてシン・リジーを聴いたって人は、遡って買ってねって意味で、オリジナルに附属してたもんだと思ったのだが・・・


そこで、ツイッターで親しくさせていただいている「シン・リジーならおまかせ」というコレクターの方に尋ねてみたのだが、どうやら「初期盤に付属していたもの」のようではあるものの、少なくとも「すべての初期盤に付属していたという類のものではない」ようで、そうだとすれば、今回入手したもの(マト1のくせにレイトプレス 笑)に付属していないのは当たり前なのであった。


関連情報として、このインサート写真のカラー版が当時の英国でプロモ用ポスターに使われたということを教えてもらったので、ネットで検索しまくって実物の写真を見たのだが、これがとんでもなくカッコイイんである。


欲しい・・・
ラベル:Thin Lizzy
posted by 想也 at 20:32| Comment(4) | Thin Lizzy | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする