2025年02月16日

誰がカロドナーに感謝したのか?~Vision Quest OSTのUSオリジナル

今朝のこと、POPSIKEのポストがTLに流れてきて、映画『ビジョン・クエスト/青春の賭け』(Vision Quest)オリジナル・サウンドトラックのジャケットに、主演のマシュー・モディーン(Matthew Modine)のサインが入ったレコードが、高額で落札されたことを報告していた。

説明文を読むと、どうやらマシュー・モディーン本人が関与したオークションらしい。

2月15日が映画公開40周年の記念日だったのね。


そういうことなら、このレコードのUSオリジナル(Geffen Records GHS 24063)はボクも持っているし、お祝いに聴かないとね。


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青春時代が蘇るなぁ(笑)


マスタリングはArtisan Sound Recordersで行われていて、音も素晴らしい。


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(送り溝のArtisanロゴ)



カッティングはグレッグ・フルギニティ(Greg Fulginiti)で、裏ジャケットにクレジットされている。


このレコードには、一つおもしろいことがある。

Side 2の送り溝に、こんなフレーズが刻まれているのだ。



(写真だと全部をうまく写せなかったので、動画でご確認ください。)



"THANK YOU JOHN DAVID KALODNER"と刻まれていることが確認できる。

Discogsを見る限り、この落書き?は、西海岸のAlliedプレスにしかなく、東海岸のSpecialtyプレスには存在しないようだ。

この落書き、いったい誰が書いたんだろう?


"JOHN DAVID KALODNER"=ジョン・カロドナーは、このレコードでは裏ジャケットにExecutive-Producerとしてクレジットされているが、 Geffen RecordsのA&Rだった人物だ。

WIKIを見ると、サミー・ヘイガー(Sammy Hagar)をソロでの成功に導いたとある。

落書きのあるのはSide 2で、彼の楽曲"I'll Fall In Love Again"が収録されているのもSide 2だ。

しかも、彼は過去に、ソロ・アルバムのマスタリングをArtisanのグレッグ・フルギニティに依頼している。

こうした情況証拠から、勝手に想像してみる(笑)


馴染みのエンジニアがカッティングするというので、自分の楽曲のチェックにぶらっと立ち寄ったついでに、彼はきっと、ふとした思いつきで、このレコードのExecutive-Producerでもある世話になったA&Rへの感謝の気持ちを、送り溝に刻んだのだ。

Alliedプレスにしか存在しないのは、たまたま彼が立ち寄ったときにカッティングが終わっていたのが、Allied向けのラッカーだけだったってことかな。


さて、真相やいかに?
posted by 想也 at 20:16| Comment(2) | Artisan Sound Recordersの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月09日

REO Speedwagon, Hi InfidelityのUSオリジナル

久しぶりに(4カ月ぶり?)Cal De Rさんがブログを更新して、REOスピードワゴン(REO Speedwagon)"Hi Infidelity"(日本盤タイトルは『禁じられた夜』だった。)のUSオリジナル(Epic FE 36844)を取り上げていた(https://ameblo.jp/caldermusic/entry-12819308279.html)ので、ボクもレコード棚から引っ張り出してきて聴いている。


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"Hi Infidelity"は、彼らの初めての全米ナンバーワン・ヒットとなったシングル"Keep on Loving You"を収録した1980年11月21日リリースの9作目のスタジオ・アルバムである。

アメリカ・レコード協会(RIAA)のWEBサイトによると、1986年11月には700万枚まで売り上げを伸ばし、2017年8月には1000万枚に達したという、まさにバカ売れしたアルバムだ。
バカ売れしただけに、ちょっと興味深いネタを提供してくれるレコードなので、Cal De Rさんの記事に触発されて、ボクも記事を書いてみることにしたのである。

マト1D/1Aで初期プレスかと思いきや、サンタマリア工場(1981年12月4日に閉鎖)で使用されていたスタンパーを引き取ったキャロルトン工場(1981年9月28日から稼働)でプレスされたレイト盤だったというCal De Rさんの盤もおもしろいが、うちの盤は更に興味深い。

うちの盤は、マト1D/1Dのサンタマリア工場プレスで、マトだけを見るとCal De Rさんの盤より(A面は同じだがB面は)進んでいるのだが、比較的初期のプレスだと思う。
比較的初期のプレスであることは、このステッカーが貼ってあることからわかる。


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"Hi Infidelity"からは、先行シングルとして1980年11月4日に"Keep On Loving You"がリリースされた後、81年3月に"Take It on the Run"、6月に"Don't Let Him Go"、7月に"In Your Letter"と相次いでシングルカットされている。
ステッカー上にこれらの曲名は全て載ってはいるが、The Hit Singleとして取り上げられているのは"Keep On Loving You"のみで、他の曲はAlso Includesとしてにすぎない。
つまり、このステッカーは、まだ"Keep On Loving You"しかシングルカットされていなかった頃のものということだろう。
もっとも、"Keep On Loving You"は先行シングルといっても、2週間ぐらいしか先行していないから、初回プレスには、このステッカーは貼ってなかったかもしれない。

それより、興味深いのは、このレコードのマスタリングとカッティングである。

インナースリーブに明記されている通り、このレコードのマスタリングは、ケント・ダンカン(Kent Duncan)によって行われている。


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もっとも、カッティングもケント・ダンカンによって行われたのはわからない。
KENDUNでのカッティングであることは、KENDUN刻印でわかる(使用スタジオによって、KENDUN-A、KENDUN-B、KENDUN-C、KENDAN-Dの四種類がある。)が、誰のカッティングであるかは、サインがないとわからない。

うちの盤は、A面については、KENDUN-C刻印なので、KENDUNでのカッティングであることはわかるが、誰のカッティングかは不明である。


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B面については、末尾にABCDがないKENDUNのみの刻印だ。


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この頃のKENDUNカッティングなら、使用スタジオによって、末尾にABCDがつくはずなのに不可解である。

その謎は、隣の刻印を見ると解ける。


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何かが搔き消された隣にGFというサインがある。
このGFというサインは、当時ARTISANにいたグレッグ・フルギニティ(Greg Fulginiti)のものだ。
ってことは、掻き消されているのは、ARTISANマークか?


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この拡大写真で、掻き消されたのがARTISANマークであることが、何となくわかるだろうか?

ARTISANマークというのはこのマークで、これは、やはりグレッグ・フルギニティがカッティングした1985年5月21日リリースのジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)"The Confessor"のものだ。


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つまり、B面のカッティングは、KENDUNからARTISANに外注されて、グレッグ・フルギニティが行ったのである。
KENDUNからARTISANへの委託なんて、初めて見たよ(笑)
こんなこともあったんだねぇ。
実に興味深いのである。

ところで、グレッグ・フルギニティといえば、つい先日、エイジア(Aisia)の"Astra"を取り上げた記事でも名前を出したエンジニアである。
"Astra"がリリースされた1985年11月には、彼はすでにMASTERDISKに移っていた。

彼がいつARTISANからMASTERDISKに移ったのかは、Discogsにも書かれていないのだが、1985年5月リリースの"The Confessor"がARTISANでカッティングされていることからすると、1985年5月から11月の間に移ったということになる。
Discogsにも書かれていない情報なので、メモしておくのである(笑)
ラベル:REO Speedwagon
posted by 想也 at 19:13| Comment(8) | Artisan Sound Recordersの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月10日

The Stranglers, Black and WhiteのUKオリジナルについてボクが気になる3つの事柄

ストラングラーズ(The Stranglers)のドラマー、ジェット・ブラック(Jet Black)が亡くなった。
12月6日に、自宅で安らかに息を引き取ったという。

昨日からTLには追悼ツイートがいくつも流れてきているが、ボクも、このレコードを爆音で聴いて追悼することにしよう。


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ストラングラーズが1978年5月にリリースしたサード・アルバム"Black and White"のUKオリジナル(United Artists Records UAK 30222)である。

初回プレス75,000枚には、 "Walk On By" 、"Mean to Me"、"Tits"の3曲が収録されたホワイト・ビニールの7インチが付いていたというが、残念ながら、うちのには付いていない。

初回プレス75,000枚のうちの一枚ではなくて、もともと付いていなかったという可能性もあるが、もともとは付いていたのが、どこかで迷子になってしまったという可能性もある。

とりあえず、うちのはマト両面1Uである。
Discogsの登録を見ると、まぁ誤登録の可能性もあるので断言はできないのだが、初回プレス75,000枚には1U/1Uだけでなく、1U/3Uもあったようだから、最初から複数ラッカーが使用されていたとすると、1U/1Uでも8万枚目くらいの可能性もなくはない。

ただ、B面にあたるBlack Sideのスタンパーがこれなんである。


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マザーは1だったので、マザー/スタンパーが1Rなのだ。
この異様に若いマザー/スタンパーは、さすがに75,000枚のうちの一枚だったんじゃないかと推測させる。

しかし、そんなにすんなりと推測できない事情もある。
A面にあたるWhite Sideのスタンパーがこれなんである(マザーは3)。


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刻印は4回打たれていて、OOOOである。
まぁ、最初の2つは重なっているので、刻印ミスでの再刻印としても、OOOだ。
グラモフォン・コード(GRAMOPHLTD)なので数字に変換すれば、555である。

555って、いくらなんでも進みすぎだろー
1枚のラッカーから500枚以上のスタンパーをとるなんて狂気の沙汰である。
いや、でも、流石に、実際にその狂気の沙汰をやってのけたとも思えない。
じゃ、このOOOって何だろう?
それが、このレコードについてボクが気になる1つめの事柄だ。

「兄さんの耳なんて信用できまへんなぁ。」と言われたら何も言えないが、音的には、AB面でそれほど差があるようにも思えない。
だから、実際のところは、White Sideのマザー/スタンパーは3Oなんじゃないかと、ボクは思っている。
まぁ、3OOの可能性も高そうな気はしないでもないが(最初のOOを二重打ちしてしまったので、再度OOと打ち直した可能性である。)、仮にOOだとしても、Discogsの登録を見ると、初回75,000枚の中には3桁スタンパーも混じっているので、やっぱり、うちのは、初回75,000枚のうちの1枚だった気がする。


ボクが気になる2つめの事柄は、これである。


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マト1Uがアルチザン(Artisan Sound Recorders)・カッティングで、USカッティングだということだ。
別にUSカッティングのUK盤なんて珍しくないだろーって声が聴こえてきそうだが、このレコードの場合、US盤のカッティングはA&Mスタジオで行われているようで(Discogsを見ると送り溝には手書きのマトしか刻まれていないようだ。)、アルチザン・カッティングではないようなのだ。

UK初回カッティングだけをアルチザンに依頼したってことなんだろうか?
気になるのである。

ここに、ボクが気になる3つめの事柄がからんでくる。

Discogsを見ると、A-2UはA PORKY PRIME CUT、B-3UはPECKOで、2U/3Uはジョージ・ペカム(George Peckham)のカッティングなんである。

初回プレス75,000枚にB-3Uが混じってくるのがホントだとすると、最初からペカム・カッティングも存在していたことになる。
ってことは、つまり、UK初回カッティングは、アルチザンとペカムの両方に依頼して良い方を採用する予定だったが、どちらも良かったので両方とも採用したってことか?

だとすると、ペカム・カッティングってだけでも気になるのに、さらに2U/3Uの音が気になってしまうではないか。

以上、このレコードについてボクが気になる3つの事柄をまとめれば、次のようになる。
1 うちの盤のWhite Sideのマザー/スタンパー3OOOOまたは3OOOの正体は?
2 UK初回プレスは1U/1Uのアルチザン・カッティングなの?
3 ペカム・カッティングも初回カッティングなの? それともセカンド・プレス・カッティングなの? なにより、ペカム・カッティングの音は?

ペカム・カッティングの2U/3U盤、探さないとなぁ・・・

R.I.P.
ラベル:THE STRANGLERS
posted by 想也 at 13:02| Comment(0) | Artisan Sound Recordersの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする